忘れられない場所へ

ここまでの闘いぶりにあまりに感動し過ぎて、なかなか言葉が浮かばない。

わたしにとっての初めての日本シリーズは、やはり特別な場所だった。
そして特別な時間だった。


ナゴヤドームでの初戦。
よく「日本シリーズは独特のムード」だと言うけれど、本当に本当だった。
空気が重い、呼吸が苦しい。
観ているわたしたちが、まだ試合が始まる前からこんな調子なのだから、選手達の重圧はどれほどのものなのか、はかりしれない。


初戦の１回ガッツの第１打席。
２年前のプレーオフ第１ステージ西武戦の２試合目、第１打席のホームランを思い出していた。
第１試合に負けて後がない中で、わたしたちに勇気を与えてくれた１発。
残念ながらこのときも、そしてナゴヤドームではついにガッツのバットから快音は聞こえなかったけれど、うるうるとこみ上げた感情は、間違いなく選手達への感謝の気持ちだった。
この場所に連れて来てくれたことへの感謝。

結局第１戦は多少の若さの露呈と、そして何よりも中日の選手たちの素晴らしい堅守ぶりに負けてしまったけれど、随所に思い切りのいいプレー（稀哲くんの捕殺とか）があって、悲観どころか、あまりに締まったイイ試合を観れたことに対する充足感でいっぱいだった。


第２戦は観ているわたしたちも少し落ち着いた感じで、ドキドキは少しおさまったけれど、これは選手たちも同じだったのかもしれない。

シリーズ前から新庄が繰り返した「楽しむ」「楽しめ」という言葉。
その言葉通りに明るくニコニコプレーしている姿は、見る人が見たら軽く思われるのかもしれない。

でも、新庄が言い続けることで他の選手達がリラックスできているのは言うまでもないし、新庄自身が、率先してチームのためにプレーしていることがありありとわかる。
ただ楽しんでいるだけではない、選手個々がやるべきことをやりながら、一生懸命楽しんでいる・・・
そのことが、大きなうねりになってファイターズに良い流れを生み出しているのではないか。

なにより短期決戦では、選手全員による「フォア・ザ・チーム」の精神、全員で闘っているという信念と絆が大切なんだ。

もう、「勢い」や「ムード」だけで勝っているのではない！
間違いなくファイターズは強くなった！


初戦の負けは、頂点へ立つための伏線だったのだ。
第２戦の選手会長金子のヒーローインタビュー。
第３戦のガッツ、そして第４戦の金村復活劇・・・

こんなできすぎたストーリー展開はちょっとこっぱずかしいくらいだけど、これに続くシナリオはもう１つしかないはず！

さぁ、今夜で決められるのかどうか。。
シリーズ前の予想（という名の願望）では、今夜で決められるはず。
新庄が宙を舞う姿をイメージしながら、試合開始の時間を待とう。
試合を重ねるごとに強くなって行く選手たちに、感謝し感動しながら。
そして日本シリーズは「忘れられない場所」になる。