「まだ、こんなにキレイな景色が残ってたんだね」
終末の空を見上げた君は、微笑みながらつぶやいた。
争い続けた果てに残っていたのは、何もかもが涸れた荒野だけで。
砂っぽい風と、ひび割れた大地と、荒んだ街並みしかないと思っていたのに。
すぐそこに迫った滅びの空は、皮肉なまでに美しく輝いていて。
肩を寄せ合う世界の終わりは、こんなにも穏やかで温かい。
この時代に生きていて、良かった。
君に出逢えて、本当に良かった。
けれど願わくば、あと少しだけ。
どうか、あとほんの少しだけ。
こうしていられますように……