脳内一人旅日記・改

登山、ロードバイク、一人旅好きのつれづれなるブログ。

屋久島後記・2 記憶喪失と若者二人

2006年05月29日 | 登山記
さてさて、前回はヒッチハイクをするためにタクシーを使うという、本末転倒なことを見事にやってのけました(せんだ偉い!)。今回はヒッチハイクを使った本格的な奇声の旅、いや、帰省の旅の様子をお届けいたします。


旅の様子をお伝えする前に、ここでちょっとヒッチハイクにおける私見を述べておこうと思います。
某SNS(mixi)のコ●ュニティに、「ヒッチハイクをしてくれた人には必ず連絡先を聞いて、あとで何らかの形でお礼をする。」というようなことを書いてた人がおりました。まあ、ヒッチハイクというのは善意で成り立つものなので、律儀にそのようなことをするのは大変すばらしいと思います。

それに対してわたくしはというと、そんなことは一切しません。もちろん、口頭でお礼はちゃんと言いますが、それ以外のことは記憶に留めておけばよいのだ、と考えております。

ヒッチハイクの出会いというのは偶然の産物、まさに一期一会ですので、それは思い出として自分の中で大事にしておけばよい、というわけです。実際、思い出しては懐かしく、そして胸が温かくなるような出会いばかりでした。もしもピアノは弾けませんが、もしもまたどこかで再会したらそれはそれで素敵なことですし。

ということで、鹿児島インターチェンジからのヒッチハイクの模様は都合によりカット致します。いや、ただ単にその部分の記憶が無い為です。
何が一期一会だ、ばかやろう!このノータリンが!

ポカーン

気を取り直して、半開きになった口を閉じて、慢性ちくのう症の僕が鼻呼吸でいってみようと思います。


とりあえず、次は熊本市内を走る国道沿いでヒッチハイクを始めることになりましたが、道の反対側にファミレスがあったことが、ここでの重要ポイントとなりました。

なかなか車は停まってくれず、2、3時間程経過後、やっと一台のRV車が停車。この車の乗組員はなんと若い女の子二人。
車に乗り込み話を聞いてみると、この二人組、実はザ・ピーナッツでした(んなこたぁない)。
車に乗り込み話を聞いてみると、この二人組、実はミラクル☆ガールズでした(んなこたぁない)。

特段面白くも無かったですが、実はこの二人組、前述したファミレスのアルバイトスタッフで、バイト中においらの行動を目撃していたというのです。そして、バイトが終わり、
「ちょっとあの人乗っけてみようか」
というノリで停まってくれた、というわけです。

こんなラッキーもあるもんだと思いつつ、車内での会話も弾みます。


女の子A「どこから来たんですかぁ?」
ぽっくん「東京から来ました!」
女の子A・B「うわーすごーい!キャッキャッ」
ぽっくん「(ほんとは埼玉だよ!だ埼玉の埼玉(さきたま)古墳の竪穴式住居だよ、ばーか!)」

それにしても、女の子が話す方言がとてもラブリーに思えるのはなぜなんでしょう。無理に標準語で話そうとするところも、脳漿が耳から垂れるぐらいにかわいかった。
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!

っていうか、この女の子達はおいらが単なる異常者だってことは知る由も無いんだろうなあ。


そんなドタバタ劇がありましたが、みかげとともみの二人はおいらを熊本市内の高速道路付近までしか行ってはくれず、またもやインターチェンジ入り口でのヒッチハイクと相成りました。

屋久島後記・3へ続く。

屋久島後記・1 ヒッチハイクしちゃうぞこのやろう!

2006年05月25日 | 登山記
さて、この屋久島・後記では、友人M君と鹿児島で別れた後のおいらの足取りを追ってみたいと思います。すでに屋久島での波乱な旅も終わり、あとは帰途につくだけなのですが、ここで普通に帰ってしまってはモッタイナイと思い、「モッタイナイ」を国連会議の場をはじめ世界各地で呼びかけながら、ヒッチハイクでの帰省を決意します。


当時、小生が目論んでいたことはおいらの住まいである埼玉まで全てヒッチハイクを使うということだったのですが、おいらの休暇もこの日を含めて残り二日。冷静に勘案すれば、その日数で九州南部から関東までヒッチハイクをするには時間があまりに足りません。非常に無理があるミッションです。

つまり、この旅で発生したポルターガイスト現象、生存危機、異臭騒ぎなどのハプニングの連続で、おいらの思考回路はすでにショート寸前だったといえます。電話もできないミッドナイト、林原めぐみのラジオは東京ブギーナイト(関係ない)。

とにもかくにも、鹿児島からヒッチハイクの開始です。

地図を取り出し熊本・福岡方面に伸びている高速道路を検索。九州自動車道の鹿児島インターチェンジが最も近かったので、インターチェンジに通じる幹線道路沿いで早速ヒッチハイクを始めます。

まずはインター入り口まで行き、そこからさらに高速道路を使う車を捕縛します。そして、熊本、あわよくば福岡まで一気にいってみようやってみようという大胆かつ堅実な計画を立案していました。

ここでちょっと話は変わりますが、おいらは一人旅に対して一つのポリシーを持っており、それはお金がかかる移動手段は極力使わないというものです。具体的には、

飛行機・新幹線→×
タクシー   →×
特急列車   →▲(キセルなら乗車)
バス     →▲(近距離なら乗車)

この信念はおいらの中で非常に堅固・強固となっており、いかなる障害・困難・侵略があろうと揺らぐことはありません。この九州の知覧から飛び立ち、若くして散った特攻隊員のそれとも相通じるものがあるといえるでしょう。我の魂は靖国に祀られ、英霊達との再会を果たせるものと確信しております(感極まって号泣)。

もちろん、この屋久島の旅においても信念は変わりません。ヒッチハイクの車を待つ我の胸中にもその思いがかけ巡ります。

そして、行き先を示すために今まで掲げていたボードを静かにリュックへと収め、代わりに、天井に突起物があるちょっとハイカラな普通乗用車に向かって片手を挙げたのでした。


我「九州自動車道の鹿児島インターチェンジまでお願いします。」

彼「インターチェンジの入り口まででいいの?お客さん。」




……
もう台無し!エリーゼ台無し!音が違うでしょー?



いやーなんちゅーか、残り少ない時間でヒッチハイクをしなければならなかったわけですから、インターの入り口まで行く時間がもったいないと思ったんですよ。たいむいずまにーということなんですな。

そう思い立ったが吉日、もう迷うことなくタクシーを使ってインターまで一気にいってみようやってようしたわけですな。これこそが、大胆かつ堅実な計画なのです。

ということで、タクシーを有料でヒッチハイクし、関東までの帰省の旅が新たに始まったのでした。

屋久島後記・2へ続く

屋久島旅行記・5 体臭という名の異臭

2006年05月24日 | 登山記
悪天候と食糧危機の中、屋久島山中でその困難をなんとか乗り越えようとしている男たちの凄絶な生き様を世に示すべく、屋久島旅行記その5が始まります。

寒さと飢えの中、ただ何もせずに時間が過ぎるのをじっと待つというのは耐え難い苦痛でございました。堪え難きを堪え、忍び難きを忍んでいたわけです。しかし、朕としてはここで簡単にポツダム宣言を受諾せしめるわけにはいきません。


寒さだけでも何とかしなければ!


保温効果を高めるため、まず、両膝を立てて体育座りの姿勢になります。そして、自らがまとっている上着を膝から足先まで覆いかぶせます。


この状態は、俗に言う「ペットントン」状態と呼ばれているものです。小学校時代、冬の体育の時間というのは非常に寒く、このペットントン状態に陥る人達が全国で続出していたという旧厚生省の報告もあります。


ぼくは、しばしば、この状態で、よだれを垂らして笑いながらピョンピョンとあたりを飛び跳ねたりしていたので、着ていた服はびろんびろんに伸びきり、また、つまづいて前に並んでいたクラスメイトに頭から突っ込んでひんしゅくを買ったりと、そういった事件・事故が多発しておりました。


むろん、寒さと飢えの極限状態の中で、そんな昔のことを懐かしむ精神的余裕は当時の私には全くありません。このとき、懸念される一番の問題というのは、おいらのクラスメートの一人がやたらにその状態をペットントンだと言っていたが、ほかにそのように言うものは誰もおらず、果たしてそれが全国区であったのかが未だに謎である、ということなのです。川口探検隊でもその謎は解明されないでしょう。


そんなこんなで、時折、M君と会話しながらなんとか時間が過ぎるのを待ちます。やがて雨も上がり、空もだんだんと明るくなってきました。


やっとこの無間地獄から解放される!全国です。人の世に熱あれ、人頭に光あれ。


即座に荷物をまとめ下山準備に入ります。


ほんとにここの天気は変わりやすい!雨が上がると同時に雲も晴れ、木の葉の間から太陽の光が差してきていました。


下山途中に見た、木の葉についている雨の雫が太陽の光で反射している様子は、この世のものとは思えないほど神秘的な輝きを放っていました。まさに神秘の世界です。岩永哲哉も桜井智もびっくりです。


そして、靴や衣服が泥で汚れながらも、無事にふもとまでたどり着きます。登山口にはタクシーが停車していたので、観光案内所等がある市街地までタクシーで向かいました。


市街地に到着。M君がお金を下ろしたいというので銀行へ直行。しかし、銀行に入った次の瞬間にある異変に気づきます。
その異変というのは、ある分子が鼻の粘膜に存在する嗅細胞を刺激し、その刺激が一種の電気信号となって大脳皮質まで届いた時に起こったものです。


つまり、異臭、悪臭、刺激臭。異論!反論!オブジェクション!!のような知性が溢れ出ていますね。


(二人とも)登山と夏の熱気で多くの水分を消費した体内は、汗腺からの発汗作用により、鳳凰寺風も真っ青な緑の疾風をその身にまとっていたのです。そして、その暖かな風が室内に入ったことで循環され、僕達の鼻先を優しくなでていったわけです。


風はいい…。きっとこの風は、何事にも動じず、いつもじっと同じところで瞬き続け、私たちを見守ってくれることでしょう。


我々は、お互いを果てしなく遠ざけ得るその存在に初めて気づき、顔を見合わせ苦笑いすることしかりです。屋久島を離れる前にどこでもいいから風呂に入れるところを見つけようと、次の行動に移ります。


海沿いまで歩いていくと、一応風呂に入れそうな建物を発見。外観はめちゃめちゃボロいほったて小屋のような感じで一抹の不安を隠せません。是非もないので、とりあえずはそこで汗を流すことに。


浴場はその建物とは別の場所にあったのですが、そこは仕切りも何もない、外からは丸見えの状態で位置しておりました。
設備もお世辞にも良いとは言えません。にしては、料金がべらぼうに高かった記憶があります。


こーゆう、劣悪、粗雑、蒙昧、迂愚が四重奏を奏でているような場所は熱核攻撃で宇宙の塵となればいいのです。


そうして、最後までいろいろあった屋久島を昼過ぎには後にします。M君とは西鹿児島駅(現:鹿児島中央駅)でバイバイし、短いようで短かった屋久島の旅も終わりを告げることとなりました。

屋久島・後記に続く

屋久島旅行記・4 寒さと飢えの中…

2006年05月23日 | 登山記
江川卓の魔球はコシヒカリということで、屋久島旅行記その4いきます。
前回は恐怖のホーンテッドマンション、むしろ、病院坂の首くくりの家をほうほうのていで脱出、日も暮れている屋久島山中でさあこれからどう夜を過ごそうか、ところから始まります。

高塚小屋での宿泊が不可能となった以上、どこかで野宿するしか選択肢はありません。M君と二人で顔を見合わせしばし御前会議の後、高塚小屋対策特別措置法及び縄文杉野宿法が参議院本会議にて強行採決されました。

もうすでに辺りは暗くなっています。縄文杉へ向け、元来た道をマッハ文珠で引き返します。

縄文杉前へ猫バスで到着。二人とも疲労の局地です。荷物を降ろしそれをそのまま枕にして地面に寝そべります。

その後、あの高塚小屋での怪奇現象について、あれは霊の仕業だ、いやポルターガイストだ、いやいやユリ・ゲラーだ、いやいやいやエスパー伊東が入っているかばんだ、などと白熱した議論を展開。肉体的のみならず精神的疲労をさらに深める結果となりました。

そんなこんなで21時頃には二人とも深い眠りへと落ちていきました。


…もう0時を回った頃でしょうか。おいらは身震いと共に目が覚めます。
なんかすげぇ寒ぃ!
日中とは比較にならないほど気温が下がっています。加えて木の葉の間から雨も落ちてきていました。

山の天気は変わりやすいからなあ。はっはっは

しかし、事態はそんなのんきなことを言ってられるほど平易な状況ではなくなっていました。いわゆる「準備」というやつが致命的に欠けていたのです。

われわれ二人パーティの装備品・所持品は、防寒着はうすっぺらいYシャツ一枚、食料はせんべい、飴玉などのお菓子類がごく僅か、地図やらライトやらはありましたが、あとはガラクタです。

どんだけ山をなめていたんでしょう。いわば、ひのきのぼうとぬののふくでバラモスに対峙するようなものです。


ここで、M君も数千年の眠りから目が覚めます。嵐に乗って飛行石を持つものを迎えに来たようです。
M君がさわやかに、そしてすこやかに起床した時を同じくして、雨足がさらに強まります。

ざぁぁぁーーーー!!!!!ぎゃあーーーー!!!


木の葉に当たる雨音はショパンの調べどころではありません。ウィーン少年合唱団がメロディに合わせて微妙に体を左右に揺らしているのがなんか分からないけどムカつく、つまりはそんなところです。


また、雨と共に気温もさらに低下し体の震えも止まらなくなっていました。震えで歯がガタガタいって、それが断続的になっています。超高速ビートです。この時の歯のガタガタは高橋名人の16連射にも匹敵するでしょう。歯のガタガタでスターソルジャーをやらせたら超高得点間違いありません。


食料不足も深刻です。屋久島に到着してから今までまともな食事をしてないわけですから。簡単に言えば、「飢え」です。別に女に飢えてるわけでもお金に飢えてるわけでもありません。食べ物に飢えてるのです。この豊かな国、日本で!
北朝鮮ばんざーい!将軍様ばんざーい!


この飢えた状況を簡潔に示すと、名作「火垂るの墓」を想像するのに難くはありません。

清太「せつこぉ!!!」

節子「ニィちゃん、ウチ、う○こびちびちやねん」


そんな状況を思い浮かべながらサクマドロップをおいらとM君で分け合うという極限の状態に瀕していたわけです。

こうして、時間が経過するにつれ、事態の深刻さ、混迷の度合いはいっそう深まり、いやおうなく、寒さと飢えがそれを実感させていったのでした。


しかし、とにもかくにも、切り抜けるしかありません。日が昇って明るくなれば安全に下山できますから、それまでなんとか生き延びようと、二人して誓いを立てます。生きろ!森と共に!というアシタカの声もかすかに聞こえてきました。

屋久島その5へ続く

屋久島旅行記・3 物言わぬ死人

2006年05月22日 | 登山記
屋久島入りして早速、ちょっとしたハプニングがあったものの、登山は順調に進みます。この時点ではもちろん、これから起こる恐怖体験を知る由もありません。
ということで、屋久島旅行記その3続きいきます。
いっちゃうぞこらー!
出てこいやー!(高田)

前回の小川からさらにずんずんずんどこ道を進んでいきます。この時点ではまだまだおいらの体力ゲージは減ることなく元気ハツラツです。オロナミンCです!ピッチャー鹿取。

ちょっと道幅の広いところに出て程なくすると、前方になにやら登山者の人だかりができていました。友人M君も興味深々で二人してその近くまで行くと、どうやら鹿が出没してるようです。

M君は、その鹿を見て、ヤクシカだろうとおいらに告げます。しかし、おいらはそれを素直に認めることは出来ません。屋久島に生息してる鹿がヤクシカなわけはないのです(あるのです)。

そもそもここは屋久島などではなくシシ神様の森、山であり、前方に見えるそれはまさにシシ神様そのものではりませんか。

しかしながら、他の登山者達はまるでバンビを見るようなまなざしでカメラ片手に必死にその姿を撮影しています。

怒りがふつふつとこみ上げてきました。

貴様らーーー!神をも恐れぬバチあたりの大たわけ者どもがーーー!!!

怒りに打ち震えるその手で、そしてその指でおいらもデジカメのシャッターを押します。ばっちぐーです!
やったぁ!

野生のヤクシカが人前に姿を現すことはどうやら珍しいことなようなので、ほんとにラッキーでした♪おいらが北海道に旅したときも、野生のキタキツネやらリスやらエゾシカやら遭遇してきたので、そのへんの縁はあるようです。

うきうき気分、りんりんらんらんで登山を再開します。

これまでとは打って変わって勾配がかなりきついルートに入ります。道自体も足場が悪く、ここで多くの体力が奪われました。極度の疲労で二足歩行が出来ないのです。山道を四つんばいで這うようにして登る姿に、人類の面影はありませんでした。

ここでこの日の日程を説明すると、最終目的地はかの有名な樹齢何千年かの縄文杉がある場所まで登り、そこからちょっと先の高塚小屋というところで一泊します。もう日が暮れるというぎりぎりの時間でなんとか小屋までたどり着きました。

しかし、実際にその小屋で宿を取ることについて我々はかなりのためらいがありました。すでに数日前から現地入りしていたM君は、この日の前日に、泊まっていた民宿のおかみさんから驚愕すべき情報を得ていたのです。

高塚小屋から行方不明者の死体が出た。

………
……


ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!

つい前の日まで、物言わぬ死人が横たわっていた小屋で我々も横たわろうというのです。躊躇しないわけがありません。

そもそも、高塚小屋というのは本来、登山者がほとんど利用しない小屋である為、我々が登山に行く前日まで誰も利用していなかった、ということになります。つまり、我々の登山する日が一日早くなっていたら我々自身が死体を発見していたことにもなります。

とりあえず様子を見てみようと、小屋の戸を開け中に潜入します。中は薄暗く、且つ、物が乱雑に置かれており、いかにもボロ小屋といった様相を呈していました。とその時…

シャンシャンシャン♪

何かの音楽が鳴り出します。音漏れしてる感じでした。

M君「なんか鳴ってますけど…」

おいら「え?俺かな…」

どうやらリュックに入れていたCDウォークマンが鳴っているようでした。

おいら「???」

CDウォークマンを取り出すと確かに作動しています。しかし、おいらは誤動作を防ぐために本体、リモコン共にHOLD状態にしていました。勝手に動くはずはありません。

そのことをM君に告げ、念のため確認します。

おいら「俺のリュック、なんもさわってねーよな?」

M君「さわってないっすよ!」

二人「…?!」

二人して顔を見合わせしばしの硬直…。

そして、二人とも我先にと小屋の外へ飛び出していました…。

その4へ続く。

屋久島旅行記・2 日の丸飛行隊=ジャンプ

2006年05月21日 | 登山記
前回の続き。屋久島の登山を開始、というか悲劇の始まりその1というかヒカゲタダオです。

沖雅也「おやじ、涅槃で待ってる…」

バスで登山口に到着。やっぱ人気観光地のためか、観光バスや他の登山者がぎょうさんおりました。
登山に入る前にまず事務所みたいなとこに登山計画書を提出します。それだけ本格的だということですな。

まあ、最初の方の道は急な勾配もなく算数すいすい進んでいけました。ほどなくして、川を渡る道が見えてきます。人が渡れるように、川には大小の石がいくつか置かれており、多少段差がある石たちを、風雲たけし城の竜神池のように渡っていきます(ネタが古くてすいません)。

同行している友人M君は足を滑らせないようにと慎重になっていましたが、おいらはそんなふうにごく普通にここを渡ろうなんて思っておりません。

それがきちがいのきちがいたるゆえんであり、事件はかならず現場で起こるのです。

話を戻します。
川の向こう岸手前まで歩を進めると、そこには大きめの石が配置されており、そこを上りまた降りれば川を渡り終えます。むろん、M君は細心の注意を払いながら大きな石を降りて無事に向こう岸までたどり着きました。

ここでおいらの胸に去来した歌…


ダイダイダイダイダイナマン爆発爆発科学戦隊ダーイナマン♪


そう!ダイナマン!戦隊ものです!
しかし、なぜここで戦隊ものなのか?
戦隊ものといえば、「とぅ!」という声と共にどっか高いところからジャンプして僕達の前に颯爽と現れるのが常です。

つまり、キーワードは「とぅ!」

おいらは大きな石に上り、「とぅーーー!!!!」という裂帛の掛け声と共に石の上からジャンプしたのです。

I am hero!gorenjai!

着地も完璧でした。しかし、おいらが数秒の空中遊泳を楽しんでいた間、ある物理現象が発生していました。

背負っていたリュックの外側の口が開いており、おいらがジャンプした瞬間に、リュックの中身がその遠心力で外へ放り出されてしまったのです。まさに飛び出せ青春です。

投げ出された中身はある一定の高さまで上昇した後、万有引力の法則により川へと自由落下していきました。

あまり大事なものは入れてなかったのですが、そこに入っていた財布、タバコ、デジカメの説明書、その他小物類がすべて屋久島の清水で濡れてしまったわけです。

特にタバコはその軽さのため、そのまま下流へと流されていきました。タバコの毒素が流れ出てイタイイタイ病が発生していないかが心配でした。

友人M君とすれば、こんな頭のいっちゃってる人、脳みそが腐ってる人と登山することをやっと後悔したことでしょう。

まだまだ悲劇は続きます。その3へ続く。

屋久島旅行記・1 試練の始まりで風来のシレン

2006年05月20日 | 登山記
今回は、世界遺産である屋久島へ旅したときのことを記します。今回は現地で合流する友人と共に屋久島を登山することになるのですが、とにかくハプニングだらけの旅となりました。というか、屋久島現地集合とかいってありえねえ。

時は社会人一年目の夏休み(2002年ぐらい)で、休暇が4日間しかないので超強行日程。まず、一日目は東京から熊本まで夜行列車(ムーンライトながら)・普通列車を乗り継ぎ25時間かけて到着します。2日目の朝には鹿児島に着かなくてはいけなかったので、そのまま深夜にヒッチハイクを決行。

3台の車を乗り継いだのですが、その夜は豪雨と雷に見舞われます。その時に見た雷というのがこれまた芸術的というか神秘的。雲が一瞬光るというものではなく、稲光というか光の柱が綺麗に空から地上へ降り注いでいたという感じです。一言で言えばギガデイン。

まあ、とにもかくにも、ヒッチハイクをする際、人の心情を如実に反映してか、悪天候の場合は成功率が格段に高まります。長い時には5時間・6時間待ったこともありましたが、この日のヒッチハイクは全て1時間以内に収まりました。

しかし、実際に鹿児島までヒッチハイクできたわけではなく、鹿児島の手前の川内というところまで行き、そこからJR鹿児島本線で鹿児島入り。そして、鹿児島港から屋久島行き高速船トッピーに乗り、屋久島へ上陸。ノルマンディを思い出さずにはいられません。

今回、すでに屋久島入りしていた友人M君といっしょに登山をすることになっていたので、M君と落ち合い登山口までバスで移動します。登山の所要時間は8時間、屋久島に着いたのが10時頃だったので、時間の余裕が全くありません。

自分の身に課せられた人生最大の試練はこうして始まりました。つづく。

AIRの旅・10 きちがいの狂宴

2006年05月19日 | AIR聖地巡礼
AIRの旅も第20010回目とあって、やっとこさ佳境に入って参りました。

前回で、生涯二度目のスピード違反という、家系の恥とも言うべき醜態をさらしました。しかしながら、雨ニモ負ケズ、風ニモ負ケズ、公権力ニモ負ケズ、高速道路を疾走し・駆け抜けていくシーン139から、今回のお話が始まります。

憎むべき特別高等警察(特高)から解放されると、その開放感は自然と尿意へ向かいました。わが膀胱は胸わくわくの愛がぎっしり、色とりどりの夢がどっさりです。車を降り、トイレで足早に妖怪変化をぶっ飛ばします。

ここで、数時間後に会う予定になっている数年来の友人、むて君に戦況報告。

小官 「いやー、ちょっと聞いてくれよ~。またスピード違反で捕まっちったよ~、あはは。」

むて 「マジで!あんたアホでしょ?」

小官 「違うんだよ!俺は自らの金銭と違反点数を以って、おまえに笑いを提供したんだよ!」

こんな、理知的かつ耽美的な会話をひとしきり終え、わが白い彗星(VITZ)は再び南へと車を走らせます。

高速道路を走っている道中、スピード違反を犯したと思われる普通車と覆面パトカーが路肩にランデブーしていたのを発見。

はっはっはっは!ざまーみやがれ!調子に乗ってスピード出してるからそうなるんだ、この痴れ者が!片腹痛いわ!

ええ、ここでサラリーマン川柳をひとつ。

我もまた笑止千万度し難し
(お釈迦様には甘茶、お釈迦様には甘茶)

数時間後、大阪府内某市のコンビニ前に到着。程なくして、むて君のまぬけな顔が登場します。まあ、向こうとしても、わざわざ大阪まで来てスピード違反したバカが来たよ、というような感じで小生をみていたことでしょう。

これから向かう先は、京阪電鉄守口市駅。ここに何があるのかというと、AIRを生み出したKEYの、渾身の第一作であるKanonの舞台となっている場所です。

もちろん、小官はKanonをすでにプレイ済みであり、今回の旅はAIRメインだが、ついでに寄っておこうと当初の計画から盛り込まれていたのです。ここで、我が壮挙の一端が垣間見えたといえるでしょう。

Kanonの舞台へ赴くなどという世迷言を初めて告げられた、隣席のむて君の表情は、苦虫を噛み潰したように苦渋に満ちていました。

当然といえば当然です。むて君はただの一般人。わたくしのような、高貴で誇り高いきちがいとは違うのです。常軌を逸し、人の道に外れている人外はあくまであたくし。つまるところ、ネズミの思考では、獅子の友とはなり得ぬのです。

正気に身を委ねてはならない。白痴万歳!国家の吹奏だ!

話も人の道も逸れましたが、失笑・嘲笑するむて君をよそに1時間ほどで守口市駅前に到着。近くのスーパーに車を止め、小躍りしながら踊念仏で駅正面へと走ります。

ここ守口市駅前の風景は、ゲームに出てくる風景とほぼ同一であり、実際に目の当たりにしたときの感動は筆舌に尽くせません。半狂乱となりながら無我夢中、五里霧中で写真撮影したことを覚えています。目と目が合ったことも覚えています。

こうして、狂気の宴が終幕し、次に向かう場所は和歌山県美浜町。
ここは、AIRのTV版で舞台となっている場所。非常にマニアックですねえ。しかも、その場所は和歌山県のほぼ南端に位置しており、一日で近畿地方の最北から最南を縦断するという、なんともダイナミック、というか、単なる時間とガソリンの無駄というか、そのような様相を呈しておりました。

快調快便に高速道路を南下するにつれ想定外の事態が発生します。天候が急激に悪化したのです。天気予報では曇りでしたが、ちょうちょ結びの高気圧はすでに退去し、く~も~りガ~ラスの向こうは完全に局地的な豪雨に晒されていました。

むろん、天候が良いに越したことはないのですが、雨が降ろうと八代亜紀が降ろうとそんなことは意に介しません。AIRの舞台となっている場所に、いかなる障害をも退け、この不肖たるわが身を置く。それだけがわたくしの生存目的・存在理由、すわなちレーゾンデートルなのです!

AIRの舞台へ行く!その情熱・怨念は尋常ならざるものがありますが、戦争にしろテロにしろクーデターにしろ、何事にも準備・後方支援が必要です。つまり、AIRのTV版の舞台が美浜町であるという事実があるだけで、小官はそれ以外の細かい情報を得てはおりませんでした。

とりあえず、雨の高速を抜け、裏切りの街角を抜け、一般道を走り、なんとか美浜町に到着します。到着した頃には雨も止み、私の精神も病んでおります。

美浜町といってももちろん、ドラクエやFFなどのように、数分で街の隅々を探索できるほどに現実の街は狭くはありません。具体的に、街のどの場所が舞台となっているか、これが分からない以上、目的地を設定することもままなりません。

とりあえず、やっぱりAIRは海だろう、というすでに陳腐化されたピタゴラスの定理を用いて、車を海際へと走らせます。
天気が悪いせいもあってか、特に大きな感動を呼ぶこともなく、時間だけがいたずらに過ぎていきました。

むしろ、これまでAIRの舞台各地を回って、すでにおいらのAIR熱は飽和状態にあったといえます。加えて、旅の疲れで徒労感も募ってきておりました。

適当に街の中を走らせ、大きな収穫もなく帰途につきます。しかし、ここで何も得ないで帰ることは、痴人の名折れです。なんとしても、この俺様がこの街に来たという存在証明を示さなければ!

ちょうど、車内では水樹奈々という、非常に歌の上手い声優さんの曲がかかっておりました。曲調はPOPでノリのよいサウンドです。ここで、小官の存在証明のサイレンが鳴り響くこととなります。

信号待ちしている前方に一台の車が停車しており、おいらの車と同様、信号が青になるのを今やおそしと待機している状況。

前方の車の運転手に我の生き様を示すべく、神経伝達物質を媒介とした全身の艦隊運動が始まります。分かりやすく言えば、曲に合わせてのヘッドバンキング。一心不乱に頭部を前後にスイングさせます。相手の運転手がそれに気づいていたのかどうかは知る由もありません。当然です。自己陶酔の権化と化した怪しい視線が常に定まることなく揺れているだけです。

むて君曰く

「ほんとやめて!恥かしいから!っていうか、ヘッドバンキングするほど激しい曲でもないやろ!」

そんな、大阪人らしいツッコミも交えたむて君の非難も、おいらにはどこ吹く風。

曲がいけないということなので、アーチストをSex Machinegunsに切り替え、これで万事OK。

次の交差点での信号待ちでも、おいらのヘッドバンキングは止まりません。信号が青になり、むて君に促されるまで、おいらの頭部運動は、ただひらすらに、実直に、切実に続けられておりました。

実はこの交差点、時差式の交差点であり、こちらの車線が赤で止まってる最中、反対車線の車は青になっておりました。

おいらの艦隊運動中、むて君が突然バカ笑いし始めたのですが、どうやら、反対車線にいた車がおいらの横を通るとき、その運転手の人が、目を見開き、まるで珍獣でも見るような、恐怖と驚きの表情でおいらを凝視していったとのことです。

その視線は、首が回る開度を限界まで使って、おいらが見えなくなるまで続いていたそうです。むろん、それに続く後続車も同じようにおいらの狂喜乱舞・龍虎乱舞を観察していったようでした。

車の中で、何かの発作に襲われたように頭部を前後に激しく動かしている人は、端から見れば単なる異常者であることは疑いようがありません。

そうです!これがおいらの狙いなのです。美浜町にいる、少なくとも、おいらの祭りを見た人達は、「今日、車に乗ってたら変な人がいた!きちがいがいた!」と口々に噂するでしょう。彼らにおいらの存在証明を銘記させたのです。

小官の任務は達成されました。なんとも言えない爽やかな風が、有酸素運動で汗ばんだ顔を吹き抜けます。

むて君はもちろん、ドン引き。
「ほんともう、勘弁してくださいよ~。」と涙目になっております。おいらの余興がこれほどの感動を呼び、嬉し涙を誘うとは思いもよりませんでした。

そうして、一仕事を終え、再び高速道路に乗って、元来た道を引き返します。上りの高速道路は渋滞を極めており、抜けるのに相当な時間を要しました。その渋滞中、前方の車がなにやら挙動不審です。頻繁にブレーキランプが点灯し、車体が上下に揺れています。まあ、おいらの先程の狂気に比べればかわいいもんですが。

そうして、21時半頃にむて君を家の付近まで送り、再会を約束してバイバイします。おいらも、宿泊しているビジネスホテルへ直行。こうして、長いようで短かったおいらの旅も終わりを迎えることとなりました。

AIRの旅・9 国家権力に抗う

2006年05月18日 | AIR聖地巡礼
前回は香住町にある神社に強行突入するところで話が終わりました。

今回は、突入後の人質救出作戦の模様を克明に映し出していきたいと思います。
佐々警視正(当時)の命令による鉄球作戦と放水作戦が功を奏し…
っていきなり何の話だろう( ̄▽ ̄;
ちなみに、当時駆けつけた警察メンバーに、銃撃された、国松孝次元警察庁長官(当時広報課長)もいました(どうでもいい)



社までの参道は木で光が遮られて薄暗く、外界から切り取られた異空間のようです。階段を登りきり、社までたどり着きます。

AIRに登場する神社から比べると敷地が狭かったのですが、まあそれなりの雰囲気を醸し出しておりました。特に何を思うわけでもなく数分で神社を後にします。

神社は小高い丘のような公園の中に位置しています。車に戻り、丘を一周している道路を通って次の目的地へ向かいます。
次の目的地…それはガソリンスタンド!

この時、車のガソリンメーターは完全エンプティ、警告ランプが点滅している状態でした。こんなところでガス欠だけは避けなければいけない。無駄に豊岡市を行ったり来たりし、挙句にAIRの神社を見に来て坂でガス欠起こしちゃましたぁ、えへへ♪なんてJAFの人に言えるわけもない。

JAFの人に別の言い訳をしなければ!なんて言おうか、そんな不安を抱えながら車を進めると、外の景色が一望できる所があったので、そこで停車し景色を撮影します。

そうして、丘を下り一目散にガソリンスタンドに向かいます。時間はまだ7:20頃。そんな朝っぱらからスタンドがやっているのか疑問は残りますが、なんとか辿り着くしかありません。閉まっているのならスタンド前で何時間も座り込めばよいのです。あわよくば、厚生省の前で人間の鎖を作ることも辞さない構えです。

そんな悲壮感漂う凄絶な決意を胸に、ガソリンスタンドへ一直線に向かう車は漁港前でその足を止め、いつものように写真撮影を開始。「遊魚館」と冠されたよくわからん建物のほか、漁港内のどうでもいい風景を我を忘れて撮影します。

そんな紆余曲折を経て昭和シェルのスタンド前に到着。スタンドオープン時間にはまだ数十分ありましたが、スタンドの主と思しきおっさんの存在を確認できたので、ガソリン、いやむしろ闘魂を注入してください!と受け口で懇願。ビンタされることはなかったのですが、露骨に嫌な顔をされつつなんとか承諾をもらいました。

そうしてガス欠の危機は去り、元気ですかー!といわんばかりに車は走り出します。
次に向かったのは学校。これもAIRです。学校-堤防-海という位置関係はAIRに似たりですが、正確には違います。まあそれでも、学校の裏手や正門を写真に収め、次はこの街のちょっとした住宅街へ車を進めます。

探検発見気分で住宅街を探索後、香住町はここで見納め。
次に向かうはこの前の日に約束したむて君宅付近へ。


なんとものんびりな田舎町を進み、運転しつつ写真を撮りながら大阪中心部へ向かう高速道路へと乗り継ぎます。

高速道路では前日と同じように快調にスピードを上げて飛ばしておりました。時速140km~150km程でしょうか。

この時おいらはある存在に気が付いておりませんでした。高速道路にはオービス(自動速度取締り機)のみならず、覆面パトカーも存在していることを…。

右車線を前述した速度で飛ばしながら、そろそろトイレに行きたいと思っていたのでパーキングに立ち寄ることを決意します。

ちょうどパーキングに差し掛かるところで左車線にいた車を追い越し、左車線に車線変更したその刹那、バックミラーに目をやるとおいらと全く同じ速度でおいらを追うように左車線に車線変更した車の姿が目に入ったのです。

まさか…
まさか…?!
まさかりかついだ?!

確信を得る間もなく、その車の上部から赤色燈が無情にものし上がり、まばゆいばかりの赤い光を放っていました。

やっぱり…
やっちまった…

てへへ♪スピード違反は二度目でぇ~す、きゃは☆

もうどうにもこうにもまこっちゃん、てやんでぇ!あとは煮るなり焼くなり好きにしろ、あとは仕上げをごろうじろうだこのやろう!

パーキングに入る路肩の道で車を停め、背後にいる交通機動隊との決戦に備えます。いざ鎌倉!

そして、パトカーから降りてこちらへ向かってくる警官をサイドミラーで捕捉、運転席の真横に来たと同時に、クールにウィンドウを開け、相手の言葉を聴くまでもなく、クールにこう質問します。

「何kmオーバーですか?ふっ…」

相手の警官も髪を掻き上げ

「30kmオーバーだね、ふっ…」

とクールに答えました(んなこたぁない)

とりあえず、おいらは覆面パトカー内で事情聴取の運びとなります。
ってかさぁ、大阪出張行って現地でレンタカー借りて、んで、覆面にスピード違反で捕まるとかいって…

あほじゃね?orz

覆面にやられた、と思った瞬間に何が一番不安だったかといえば、やっぱりそのスピード。以前はオービスで70kmオーバー、罰金10万円、違反点数12点というどうしようもない愚挙をさらしたことがあったので、開口一番の質問もやっぱりそれだったわけです。

不幸中の幸いだったのが、パーキングへ入るために多少減速していたため、30kmオーバーで済んだということですな。

以前もらったのが一発免停、即出頭の証である赤紙だったのですが、今回は青紙。ただ罰金25000円を払うだけでOKの紙です。
事情聴取されている車の中で、

「このくらいのスピードでも捕まえるんですか?」

と警官に質問。

「そうだねえ」

と警官は返答。

絶対嘘だろ、と思いましたけど。
向こうが目論んでいたスピードは140km~150kmだったはず。制限速度80kmのところですから、そうなると、50km以上のオーバーで確実に免停にもっていけたはずです。ざまーみやがれ!はっはっはっはっは!!!はは…はぁ…

あと、期限が数十日後に迫った次の免許の更新でゴールドになる予定だったので、そのことを尋ねると、三ヶ月以内に違反をしなければ、この違反は帳消しになるとのことだったので一安心。

まあ、金さえ払えばいいんだろう、金さえよ~、という浅ましいことを考えながらなんとか事情聴取も終わり、解放となります。

AIRの旅・8 AIRの聖地総本山へ

2006年05月17日 | AIR聖地巡礼
昨夜(AIRの旅・7)ではほんとに最悪でした。最悪というか、自分の愚挙に言葉も出ません。初めから現金を用意しておけば、3時間以上も時間を無為に過ごすことなく、ベットでゆっくり足を伸ばして熟睡できたのです。
結局は車で寝ることになり、そして…夜が明けます。


横を通り過ぎる車の音でおいらは目が覚めます。時計を見てみるとちょうど6時ぐらい。またもや寝坊…。

ぎょええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!

朝っぱらからおいらの断末魔の悲鳴がこだまします。

日の出を見たいというおいらの夢と希望は、ここで粉々の木っ端微塵、宇宙の塵と化しました。
でも、しょうがないです。これが我に課せられた宿命・宿便ならば、受け入れて前に進むしかない。

気持ちを切り替え、まだ朝靄のかかる国道を香住町へ向かって走り出します。

20分ほどで街に到着。昨日とは打って変わって街は静かです。まだ早朝、しかも日曜日とあって当たり前ちゃあ当たり前ですが。一度は足を踏み入れた街なのですが、今じゃ全くの異空間・異世界、セフィーロです。港へ続く道を走るにつれ、心がざわめき出します。

たいていの人もそうだと思いますが、おいらは忙しい日常生活で景色を気に留めることなどあまりありません。特に、それが都会の無機質なビルやコンクリートなら尚更です。

おいらがこうやって一人旅をする時、感覚のスイッチが切り替わります。何かを色のついたセロファンを通して見るように、世界が変わるのです。むしろ、普段の生活してる時に、モノクロのセロファンを通して世界を見ているんでしょう。それは、感覚への道をふさぐシャッターみたいなもんかもしれません。

しかし、それが取り払われた時、空はいつも以上に高く、海の色はいつも以上に鮮やかに見えるのです(ってか何が「見えるのです」だ、ばかやろうこんにゃろうめ)。
スイッチが切り替わった時、同時に自分の中にもう1人の自分が月光仮面のように颯爽と現れます。普段は、だんまりを決め込んでいてあまり話すことはありません。倦怠期を向かえ、気まずくなったカップルのようです。

月光仮面は、中畑清のように絶好調です。堰を切ったように、おいらにいろいろと際限もなく話しかけてきて、うるさくてたまらないほどです。見るもの聞くもの、感じる全てのものが彼の中で咀嚼され、それが言葉となって自分の中にあふれ出てきます。

今走っている静かで何気ない香住町の街並みも、ただ通り過ぎるだけではいられません。ここに暮らしている人々の営みを想像してしまうのです。どんな暮らしをしているのか、大きな欲も無く、ただ毎日静かに暮らすことに幸せを感じるのか、ここで生まれた若い人たちは、きっと都会に夢を求めて街を出て、一年に何回は分からないけど、そこで得たものをおみやげに持ち帰って、家族に話したりする、ここもそんな街なのだろうか、この街を出たことがない人たちは、こことは比べ物にならないくらい時間が速く進んで、何かに追い立てられる世界や人々がいるのが想像つかないだろう、そんなことをとめどなく考えてしまうわけです。まあ、最終的には、

「こんなド田舎クソ田舎には自分は死んでも住めねえ。ってか、死んじゃう死んじゃう。」

と思うわけですが。

なんか語りが長くなってしまいましたが、街を通り抜けてやってきたのが港。AIRといえばやっぱり海。そして、往人さんが行き倒れになって運ばれたのが漁港。
うーん、まさにAIRの世界観です。

港の端っこまで行き、岸壁のところで車を止め、漁港を写真に収めます。もう太陽は地平線を過ぎており、空はなんともいえない青さで澄み切っておりました。

次に向かうべき場所は、やっぱり神社!この街にもちゃんと神社があるのです。ネットから得た情報では、なかなか分かりにくい場所にあり、同じようにこの場所に来た先人達はそれを見つけるのに何時間もかかった様子。そんな英霊たちの屍を乗り越えて、私たちは存在しているのです。靖国万歳!

岸壁から車を引き返し元の道に戻ると、曲がり角にはこんな朝っぱらからじゃりどもがたむろしておりました。

てめーら、一体何の理由で、しかもここぞとばかりに曲がり角に群がっているのだ?それがおまえらの人生の曲がり角かこのやろう!

無性に怒りがこみ上げ、鳥居がある本来行くべき道を直進せずに、全然違う方向へ車を向けてしまいました。どうかしてる…。
なんとか自分を取り戻し、そして道も引き返し、鳥居がある細い道へ車を進めると、またもやガキどもが!

しかも、さきほどいたじゃりとは比較にならない程の数量で、おいらの行く手をさえぎっています。その小道の脇には小さな公民館のような建物があり、朝から何らかの催しものがあるようで、そこに有象無象と集まってると判断されます。

もちろん、そのガキどもをちぎっては投げちぎっては投げ、車でばったばったと轢き倒しながら進みたかったのですが、一応、この世には刑法という法律があることを知っていたので、やめておきます。

神社は小高い丘に位置しており、その入り口に行く途中はけっこうな坂を上っていくことになります。そうしてたどり着いた神社の入り口。周りを木に囲まれ、荘厳な雰囲気をかもし出しています。
かなり途中ですが、AIRの旅・9へ続く

AIRの旅・7 これが無駄というものです。無駄無駄無駄無駄!

2006年05月16日 | AIR聖地巡礼
前回はかなり辛気臭くなっちまいましたが、今回はいつも通り、ハイカラさんも通り、元気にやっていきます。天橋立を出発した後は、本来の目的地である兵庫県香住町に向かいます。ナビでは心許なかったので、宮津市内の本屋で地図を購入。また、その隣にあったコンビニに立ち寄り、ポテトとスポーツドリンクも購入。


車内でポテトを食い散らかしていると、車に戻る途中の他のドライバーにチラ見されます。ぽっくん、そんなにお行儀良く食べていたのでしょうか。

ここで、この日の翌日に会う予定でいた、大阪人の友人、むて君にTEL。この人、数年来の友人でしたが、しばらく会っていなかったということもあり、せっかくおいらが関西に来てるし、会おうということになっていたのです。

ただ、おいらが、全く予定という予定を立てていなかったため、待ち合わせの場所、時間等がまだ決まっておりませんでした。このときの電話も、時間は昼辺りで場所は(むて君の)家の近く、というかなりアバウトな決め方。まあ、なんとかなるだろう、明日は来るだろう、という気楽というか、軽薄な考えで電話を終えます。

ここから目的地までは、100km以上ひたすら国道を走ります。ナビの到着予定時刻を見てみると22:00頃。
実は、当初考えていたのは、香住町へは夕方に到着し、きれいな夕暮れを見た後、岡山方面へ向かう予定でおりました。しかし、前の日の酒がたたって寝坊してしまい、しょっぱなから予定が総崩れ、土砂崩れになっておりました。っていうか、ちゃんと起きれたら天橋立にも寄らなかっただろうな。

AIRのモデル地の中で、香澄町はいわば総本山。ここが最大の攻略拠点です。ここである程度時間をとってきっちりAIRを堪能しなければなりません。小田原攻めです。

よって、今後の日程は香住町で素泊まりできるところを探し普通に一泊。早朝起き出して日の出を見つつ、香住町探検発見するということになりました。

ここで懸念されていたのが、手持ちの現金がかなり少なかったこと。あらかじめ、銀行からおろしておけばよかったのですが、一人旅は何があるか分からないということもあり、それほど持ってはおりませんでした。つまり、歩く身代金ですね。しかし、一泊するとなると、それなりのお金が必要となります。立ち寄ったコンビニにはATMがなかったので、道中、ATMのあるコンビニがあるだろうという希望的観測のもと、車を走らせます。

しかし…
それが、これからおいらに桜島噴火の火山灰のように降りかかる災難の始まりなのでした…。

道は大きな渋滞も無く、車はすこぶる順調に進みます。ナビの到着予定時刻よりも大幅に時間を短縮、21時ちょっと過ぎぐらいにはすでに香住市内に到着しておりました。ここから災難その1が始まります。

車が香住中心地に入ると、突如としてナビが暴走し始めました。まあ、別にナイトライダーのように「マイケル」とか言って喋りだしたわけではなかったのですが、現在地を示すポインタが道とは全く外れた方向に向かい出したのです。

当然、おいらは現在地を掴むことが出来ず、いつのまにやら中心から外れた道へ進んでおりました。あ、社会的にも道を外れております(関係ない)。

5分ほど道を走り、長いトンネルと抜けるとそこは渋滞でした。どうやら、道沿いに夜までやっている大きなスーパーがあり、そこの車の出入りで渋滞してる模様。

うぜえええええ!!!!!

俺の目的はここじゃねえのに、なんでこんな田舎者どもの渋滞に巻き込まれねばならんのだ!

人ごみとか渋滞とかにはまるといつも思うのが、思いっきりロケットランチャーぶっ放してそのゴミども、産廃どもをきれいさっぱり排除してぇ、ってこと。
いつかできたらいいなあ。ささやかなそしてつつましいおいらの夢です。

とりあえず、そのスーパーの駐車場でUターン。駐車場の出口では車が列を成しており、そいつらはみな右折のウインカーを出しています。しかし、右折方面の車線、つまり、おいらが来た車線は渋滞しており、なかなか列が進みません。反対車線はガラ空き。もちろん、おいらは左折して反対車線へ出て来た道を戻りたい。でも、戻れない、進まない、ブチ切れです。

埒が明かないので、おいらは駐車場を出る車の列を飛び出し、右折しようとしている先頭の車の頭を抑えるように強引に、そして華麗に左折して、なんとかこの蟻地獄を脱しました。

標識をたどり、町の中心部へなんとか行き着きます。途中まではほんとに車が少なかったのですが、またもや渋滞。こんなど田舎のこんな時間になぜだ?!またスーパーか?スーパーの陰謀か?

しかし、辺りを良く見てみると、浴衣を来た小娘どもをはじめ、いわゆる、祭りらしき催し物があったと思われる風貌のヒト科の生き物が、有象無象と跳梁跋扈しておりました。さらには、商店の窓に張ってあるポスターには、本日、港で花火大会が開催された旨が書かれており、どうやら終わったあとのようです。

つまり、この渋滞も花火大会帰りの渋滞。この片田舎に花火ごときでどれくらいの人間が集まったのか、それによって一時的に人口が何%上昇したのか、知ったことではありませんが、この渋滞を抜けるのは大分時間がかかりそうです。

しかし、既に目的地には到着してるし、あとは泊まるところを探すだけです。焦る必要はありません。長丁場を覚悟しながらも、一方では「のんびりいくか」と、かなりホテル三日月気分でした。

むろん、懸念材料が無かったわけではありません。花火大会客で宿泊施設が満員の可能性が大いにあります。実際、ケータイで探してみましたがやっぱりだめぽ。それでも、この期に及んでまだなんとかなるだろう、と超プラス思考でいたことには、自分の事ながら頭が下がる思いです。

2時間ぐらい経ったでしょうか、やっとこさ渋滞を抜け、駅前に到着。路駐し、交番でどこか泊まれるところがないか聞き込みをしますが、もともと宿泊施設自体が少なく、この花火でのせいでまず無理だろう、ということ。ここではなく、隣の豊岡市のほうがビジネスホテルなどがあり、そっちに行ったほうがいいだろう、という結論に至りました。

やむなく、すでに通り過ぎた豊岡市まで戻ります。
豊岡市は駅も結構大きく、それなりに大きな街でございました。ナビで検索したビジネスホテルへ赴き、空き部屋があるか尋ねたところ、空いている部屋はないということ。しかし、そのホテルの同じ系列のホテルには空きがあるということで予約を入れてもらいました。前述したように、現金が足りなかったため、クレジットカードが使用できるか聞いたところ、使用できず。ATMがあるコンビニの場所を聞き、まずはそこへ向かいました。

コンビニに入店、ATMの機械を見たところ、一点の曇りもない真っ黒な画面。画面を優しく触れても、激しい指使いで触れても、なでても、舐めても、うんともすんとも言いません。
故障?!
デブの店員にことの真相を尋ねます。

おいら「ATM故障してるんですか?」
デブ 「故障してますね」
おいら「使えないんですか?」
デブ 「そうですね」
おいら「…」

おい!それだけかよ!申し訳ございませんの一言もなしか!このやろう!このデブが!クズが!ゴミが!エキノコックスが!サナダ虫が!ボツリヌス菌が!

雑言罵倒。

ありとあらゆる負のパワーがおいらの体内を駆け巡り、怒りエネルギーが細胞の隅々まで充満します。

ほんとにこいつを殺したかった。無駄に地球の資源を食い散らかしているそのたるみきった腹をブッ刺してやりたかった。うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!

とまあ、怒りの収まらないおいらでしたが、しょうがありません。ここで現金を引き出すことが出来ない以上、別のところを探すしか、おいらの選択はないのです。

コンビニの駐車場を出ようとしたところ、出口を車がふさいでおり、またもやおいらの体内は液化し、最高の温度・圧力になります。臨界点突破が目前です。

しかし、車の運転手は若くてかわいらしい姉ちゃん。ここでおいらはやっと落ち着きを取り戻し、怒りパワーも収束していきます。
しかも、あちらさんは、おいらが出ようとしていたのに気付き、すぐにどいてくれました。

それからおいらは迷い子のように、豊岡市内をコンビニ求めて彷徨います。夜の蝶です。ジュディオングのように両手を広げて羽ばたくのです!
っていうか、現金がないばっかりにこんな目に…。アホですか、おいらは。そうです!アホです!アホなんです!

まあ、あれですね、1時間以上も豊岡市内をぐるぐるまわってると、市内の地理にはかなり詳しくなりました。もし、「AIRの旅~香住町へ、でも、泊まるところは豊岡市へ~」という旅行ツアーが組まれたら、間違いなくおいらはそのツアーコンダクターになれるでしょう。

結局、コンビニは見つからず。それでも、おいらは諦めがつきません。最悪、車中泊という手段もあるのですが、どうしても普通に泊まりたかった。ケータイも充電したかったし、足も伸ばしたかった。こうなると意地ですね。

んで、次にとったおいらの愚行は、豊岡市をさらに戻ったこと。今まで通ってきた国道沿いにもしかしたらコンビニがあったかもしれない、見逃したかもしれない。そんな思いが巡ったのです。

見逃してるはずねーだろ!ボケが!アルツが!白痴が!

人間、追い詰められると理性的な判断が出来なくなるものです。

30分ほど国道をすっ飛ばして戻ってみましたが、やはりお目当てのものはあるはずも無く。戻った先の、国道からちょっと外れた市街地へも入ってみたのですが、街はあまりに静かで、何もない。

豊岡市から2往復はしましたね。2往復ですよ!行ったり来たり!行ったり来たりすれ違いあなたと私の恋です。

んで、豊岡市に戻ってきた際、豊岡市から国道へ出る交差点に交番があったので、そこにいた、初老のおまわりさんにATMがあるコンビニの場所を聞いてみることに。すると、交差点のちょっと先にあるじゃねーか、とのこと。その場所はアコムのATM。

違うし。
ボケ老人。

でも、そのじじいはわざわざコンビの場所を調べて電話までかけてくれたのですが、どれもだめ。

もう時間は25時に差し掛かろうとしています。
コンビニを探すだけで何時間かかってんだ?!しかも収穫ゼロ。ゼロというか、ガソリンもガンガン減っておりまして、既にエンプティに近い状態。僕の心もエンプティ。

最後の望みをかけて、豊岡市内に差し掛かる国道にビジネスホテルらしき看板が見えていたので、そこへ立ち寄ってみたのですが、時間も時間だし、すでに閉まっておりました。腹いせに、そこの駐車場で立ちションして憂さを晴らすしかありませんでした。

万策尽きました。これだけは嫌だった、車中泊をするしかありません。車中泊するなら香住町でするのが当初の目的を果たすことが出来ます。しかし、おいらの眠気も限界。ちょっと横になるか、と、まだ豊岡市を出てはいなかったのですが、香澄町へ向かう国道沿いで車を泊め、シートを倒し、うっかり寝てしまいます。

AIRの旅・8へ続く

AIRの旅・6 時が経っても変わらないもの

2006年05月15日 | AIR聖地巡礼
次の目的地は、京都府北部の 宮津市栗田湾付近 です。ここには何があるかというと、なんか、ただ単に雰囲気がAIRに似てる、というだけらしい。直接のモデルではありませんが、その次の目的地、 兵庫県香住町 への通り道っぽいので、一応寄ってみることに。


行くときに通った高速道路を再び使って、京都舞鶴方面へ突っ走ります。なんかもう、ここまでくると、オービスも覆面もおかまいなし!完全スピード狂と化してました。だいたい 140km~150km の速度で走ってましたが、今考えるとこの速度ってオービスにかかりそうな速度なんだよなあ。よくもまあ、撮られずに済んだもんだ。すったもんだがありました。BY宮沢りえ

なんか途中、すげー睡魔に襲われても 半分寝ながら運転してたしなあwよく生きて帰ってこれたもんだ。思えば遠くへ来たもんだ。

まあ、そんなこんなで高速を降り、しばらく国道を走り続けて、目的地付近に到着。実際、AIRに出てくるように、海際に学校があったりするところは似てるっちゃあ似てますが、特に大きな感慨もなし。すげー小道に入って海っ端まで行って、一応写真撮影。確かに海は綺麗だったような気もするけど、砂浜にはめちゃんこごみが満載で興ざめすることしかり。

ま、結論から言えば、ここははっきり言って印象が薄いので、あまり書くことがないのです。

ということで小浜編と比べるまでもなく、短い文章の通り、栗田をとっとと後にして次の目的地、兵庫県香住町に向かう…はずだったのですがここである場所へ寄り道をしてしまいます。

ある場所とは、日本三景の一つ、 天橋立 という場所です。
天橋立は宮津市に程近く、香住へ行くのにちょうど通り道ではありましたが、当初の計画では盛り込まれてはおりませんでした。

別にAIRとは全く無関係です。

ただ、この場所はおいらにとって、個人的に思い出深い場所でありました。というのは、おいらが大学生のときに2年間付き合った、生涯こいつほど人を好きになることはないってぐらいめちゃめちゃ大好きだった、いわば、 発泡酒売上げNO.1!! の人と最後に旅行に行った場所なのでございます。

ということで、今までの気違いめいた文章とは違い、ここからは 過去の淡い思い出を掘り起こし、それに浸っていく という、なんともうざい流れになっていきますので、そんなの読みたかねーよ!ばかやろう!
という方はひとまずここでお別れですw
さよならさよならさよなら(淀川)

前述したとおり、最初はここへ立ち寄る計画は立てていなかったのですが、やっぱどこかで迷っていたんでしょう。標識に「天橋立」という文字が見えると、

「せっかく日本三景の一つなんだし、景色だけでも撮っていこう」

って無理やりな理由を作って自分を納得させ、車を天橋立方面へと向かわせました。

AIRの旅をすると決めて、目的地の一つに宮津市を選んだとき、はじめて、その近くが思い出の地だったということに気づきました。

この旅をしなかったらきっと、そのときの思い出はずっと記憶の片隅に置き去りになったままだったでしょう。そのときに撮った写真があったのですが、現像しないまま、フィルムはどこかへいってしまいました。別れた後、一時は、景色も撮ったし現像に出そうか、なんて思いましたが、結局は、あのときのことはただ、自分の記憶に写しておくほうがいいな、って。

今では、自分の中で彼女と彼女との思い出ははすごい美化されてます。最近ではあまり思い出すことも少なくなってきてました。これからもずっと忘れることはないんでしょうけど、思い出さなければそれはそれでいいとも思っておりました。

天橋立に行った、という自分の行動は端から見ればバカかもしれません。実際、自分でも、「俺、あほだわ」ってずっと心の中で言い続けてましたし。

行ったところでなんの意味もなく、取り戻したくても取り戻せなかったことを後悔してしまうことも考えられましたし。

そんな感じで、筆舌には尽くせない、なんかよくわからん思いを抱えながら、車は天橋立駅前に到着。

フラッシュバックのようにそのときのことが思い浮かんでくると思いきや、こんな駅だっけな?って忘れてしまっていました。
でも、駅構内に入ると、二人してこの地に降り立ったときのことがぼんやりと蘇ってきます。そのときに俺らがとった行動をたどるような感じで、次にいった場所へ自然と足が向きます。

ああ、こんなのあったな、って一つ一つ懐かしく、同時に、まだその頃と変わっていないことに嬉しさも感じながら。
そして、俺らが二人して長いこと歩いた場所の入り口で足が止まります。

この先は行けねえや

そんな言葉が心の中でこぼれました。
なぜかわからないけど、その道までたどってしまうと、もうきっとつらいだけなんだろうな、ってふと思ったのです。
この先は生涯、記憶に封印されておくべきところなんだろうな、きっと。

そして、もう夕方5時ぐらいになっておりましたが、天橋立を一望できる展望台に行こうと思いました。まだやっているか確かめるために、おみやげやさんのおばさんに聞いてみますが、もう終わっているとのこと。

しかし、駅に来る途中、夜もやっている旨が書かれた看板を目撃していたので、結局行ってみることに。
ここでも、実は行くべきか迷っていました。もう帰ろうもう帰ろう、って声も聞こえてはいたのですが、半分は行こう行こうと、はやる気持ちでいっぱいでもありました。

そうして、展望台へ向かうケーブルカー&ゴンドラ乗車口まで来ると、看板どおり、この夏場の時期は特別期間として夜も営業してようで、ほっと胸をなでおろします。

チケットを買って、二人だったときはケーブルカーに乗ったのですが、ここはあえてゴンドラへ乗って展望台へ向かうことに。

展望台では人はまばらで、カップルが二組いただけでした。当時の俺らと、今俺が見ているカップルの楽しそうな様子を重ね合わせたりする遊びをしておりました。その遊びはなんとも虚しい一人遊びでしたが、自分はそうすることでしか、時間を埋められなかったのです。

それから、影踏みのように、過去の足跡をたどりながら一番の絶景ポイントまで歩を進めそこで立ち止ってぼんやりと景色を眺めてみます。

確かに景色は見たことがあるものでした。しかし、それ以外のことは、靄がかかったようによく思い出せません。二人でここに来た、っていう事実があるだけで、それはここに来る前から分かっていたことです。何か会話したのだろうか、どんな表情をしていたのか…

ずっと脳内にインプットされている記憶は、いわば、動画の1フレームを切り取った何枚かの静止画のようでしたが、この場所へ来てもそれは動き出すことはなく、ずっと凍りついたままでした。

その場を離れて、ふと思います。

来るんじゃなかったのかな、と。

ここに来たらきっと、いろんなことがありありと思い出されて、感傷におぼれることができる。そして、自分はそれだけあいつのことを想っていたんだって、実感できる。
今までのセンチメンタルな気持ちが、ここで一気に高まるはずでした。

その目論見も期待も、ものの見事に打ち砕かれます。

別れて何年経ってもずっと特別な存在だったはずですが、やっぱり忘れてしまうもんなのか。

急にその人の存在が遠くなったような気がしました。いやむしろ、いつからかそうなっていたんでしょう。そして、やっとそれに気付いたんでしょう。

それはそれで良かったと思えることなんでしょうけど、でも、そんなの絶対に認めたくない自分もいました。

いろんなことをとりとめもなく考えましたが、感情は、よどみなく流れる川のようです。溢れて決壊することもなく、ただただ下流に向かって静かに流れていくだけでした。

そんな気持ちを抱えたまま、次の行動に移ります。

ここに来る前、天橋立の景色を見ながら夕食を食べるのもおつだなと思っていたので、展望台のさらに高台にあるレストランらしき場所へ向かいました。

レストラン内には誰も客はおらず、少し戸惑います。どうやら前払い制のようだったので、外に出ていたメニューを見ていると、程なくして、入り口にあるレジカウンターのところに、山口もえ似の、笑顔のかわいい姉ちゃんがやってきて、俺にいらっしゃいませと声をかけてきました。

そのレストランはテラスがあり、そこから天橋立の景色が一望できるようだったので、そこに座り、食事をします。
飯を食い終わった後でもしばらくぼんやりと景色を眺めていました。

日も落ち、あたりが暗くなってきたところで、やっとこさ席を立ち、この場を後にします。
帰り際、レジのところにさきほどのラブリー姉ちゃんがぼさっと突っ立っていたので、なんか買ってやろうと決意。アイスクリームを注文すると、屈託の無い笑顔を返してきたので少し救われた気分になります。

暗闇の中、もと来た道を引き返し、行きと同じように、ゴンドラで展望台を降ります…。
このお話の冒頭では、思い出を掘り起こしそれに浸るというくだりでしたが、実際は、掘り返すことも浸ることもなかったわけですな。

今考えれば、まあ、行ってよかったと思います。なにせ向こうはもう自分が知っている苗字ではないですし、なんといっても過去の人ですから。たとえ、あそこで何かを取り戻せたとしても、それは水を掴むようなもので、すぐにするりと滑り落ちて蒸発してしまうでしょうし。

どちらにしろ、もうその人が遠くの存在でも、時間が経つにつれ、思い出ってやつがまた少しずつ剥がれ落ちていっても、特別な存在であることには変わらないです。

そんな感じでAIRの旅・6~哀愁でぇと編~終了!
AIR7へ続く。

AIRの旅・5 思いがけない感動と呼吸困難

2006年05月13日 | AIR聖地巡礼
それにしても、海ってほんと綺麗だなあ。
綺麗…世界ってほんと綺麗…BYフィオ

ってなもんですYOッ!
途中、何度も車を止めてその美しい景色を盗撮いたしました。

海岸線を抜け、国道に入り南下します。地図では八百姫神社は国道沿いに位置していたのですが、どこで曲がるのか分かりません。ナビを元に大体この辺だろうというところまできましたが、ここにきて、曲がる道が二つあることが発覚。ナビがあってもけっこう迷うことの多い、方向感覚・視覚・聴覚ゼロのおいらですが、それでもこの日は神奈備様(AIRの千年前のお話に出てくるラブリーヒロイン)のお導きで、迷わず進むことができました。

再び思い出されるAIRの感動のワンシーン…
空にいる神奈からおいらにエールが送られているように感じます…

うふふ…ぐふふ…チェストーーー!!!!

おっと、失礼しました。異世界(セフィーロ)に旅立っておりました。話を戻します。

国道から小道に入ると程なく、「八百姫神社駐車場」という看板が見えたので、猛スピードで納屋に突っ込むかのように、駐車場に駐車。
神社の入り口は、周りを木に囲まれて薄暗く、神秘的なにおいを漂わせておりました。これでこそAIR!いざAIR!です。

鳥居をくぐり、石段を上ります。ここであせってはいけません。薄暗い木のトンネルでAIRを感じながら、一段一段かみしめるように上っていきます。
社が見えてきた頃には、おいらの喉元・胸元で鼓笛隊の演奏が始まっておりました。

ゼーゼー ヒューヒュー はぁーはぁー

喘鳴音がハーモニーを奏で、鼓動音がヘビメタ並みの高速ビートを刻みます。

疲れないようにゆっくり上ってきたっていうのになげーんだよ!この石段!はぁはぁ…

さすがに、呼吸困難でふらふらになっているおいらは、怒りを吐き出すこともままなりません。むしろ今は、酸素が欲しい、全部欲しい。君が見る世界、君の時間です。BY MANISH

なんとか社までたどり着き、呼吸を整えます。そして、ふと足元を見やるとなんとそこには!
羽根です!これはやはり神奈の導き?まさか佳乃がここに?!
いけいけ!GOGO!ジャーンプ!!

なんでこんなに、よだれを垂らして笑う身障者のように喜んでいるのかというと、今まで書いてきたように、AIRには神社が出てきます。その神社の御神体となっているのが羽根でございまして、メインキャラクターではない、佳乃というヒロインのストーリーで密接に関わってくるのです。ちなみに、おいらは佳乃はあまり好きではない。

やはり今回の旅はいいことづくめだなあ。
去年の一人旅は、全く得心のいくものではなかったので、久しぶりに一人旅の嬉しさを味わっておりました。

小一時間、茫然自失、白痴状態から無事帰還後、おいらは社の後ろ側に回り、その様子を探ります。というのは、AIRの中の神社は、社の後方から中に入れる構造になっているのです。後ろを確かめてみたものの、まあやっぱりそこまでの奇跡、メークドラマは起こりませんでした。

とりあえず、社の臀部も写真に収めておこうと決断。社後方は、社を背に土手になっており、さらにそこには降雨時は明らかに小川になっているであろう、小石の道が続いておりました。その小川跡を登って距離をとり撮影します。

しかしこの土手、割と斜面が急で、しかも足元は小さい石だらけということで非常に滑ります。それでも、もう少し距離をとりたかったのでさらに上まで登ろうとしましたが、小川跡の両脇を囲うように生えている雑草から蜘蛛の巣が張っており、おいらの行く手を阻んでいました、というか、めちゃめちゃびっくりした!おいら、目が悪いにも関わらず裸眼なので近くまで行ってやっとその存在を確認できたのです。

だめだこりゃー
人生諦めが肝心

降りようとしますが、降りるときのほうがデンジャーです。先ほどの蜘蛛の巣で、おいらの胸には心躍るアンコールが鳴っていたので、足元も多少おぼつかなくなっております。
と、左足に体重をかけた次の瞬間…

ずさーーーー!!!!!

ぎょえええええええええええええ!!!!!!

おいらに左足を乗せられた石は、土との摩擦力を発揮することなく、万有引力の法則に従って地球中心部へと移動していったのです。
まあ、簡潔に言えば土砂崩れを起こしたのですが、それでもおいらの脅威の運動神経と石段にも呼吸一つ乱れない体力で、しりもちをつくことなく、そして臆することなく、この難局、政局を乗り切りました。

感動もありーの、ハプニングもありーので、福井県では八百姫神社を最後に、次の目的地、京都府宮津市付近へと向かいます。
AIR6へ続く。

AIRの旅・4 あみだばばぁといぢわるばぁさん(関係ない

2006年05月12日 | AIR聖地巡礼
さてさて、引き続いてAIRの旅です。
今旅の最初の目的地、福井県小浜市空印寺に到着。
狭い路地の奥へ奥へと進んだところにそれはあり、一応、拝観者のための駐車場があったっぽいのですが、来たときにはそれに気づかず普通に路駐。

ここには具体的に何があるかというと、AIRでの千年前のお話の中に出てくるメインキャラクターが最後に暮らす洞窟があります。さらに、このお寺には「八百比丘尼伝説」という寓話が残っておりまして、詳しくは触れませんが、その「八百比丘尼」という言葉自体もAIRに登場致します。

へけけ!!しぎゃぴー!AIR満載!AIR万歳!

胸の鼓動も血糖値もあがっていきます。まるでAIRトラベラーのおいらを待っていたかのように境内には人の姿は見えません。空印寺は今まさに、おいらが独占、いや、おいらとドッキングしたのです。ドッキングフェスティバルです。

そうして、洞窟付近まで歩みを進めると、事前調査では見られなかった柵らしきものがあり、洞窟の前をがっちりガードしておりました。

わずかでも漏らさないのか!アテントかてめえは!
おまけに、柵には

「豪雨のときは通り抜けはご遠慮ください」

と書かれた看板があります。

ってか、天気関係なく柵してんじゃねーか!普通に通り抜けなんてできねーゴルァ!ボケ!

怒りのあまり、その柵を引き抜こうとしましたが、なかなか頑丈で抜くことができません。また、柵の根元付近には蜘蛛の巣がはっており、けっこう前からずっと柵が施されていたことが明らかになりました。
行くべきか、行かざるべきか…

ここでおいらは迷います。柵を乗り越え、困難を乗り越え、為末を乗り越え洞窟内に進入するのか。おいらにとっては洞窟は神聖そのものです。そこに立ち入ることは神の領域を侵すことになるのです。

「みな、よく見届けよ。神殺しがいかなるものか」

というエボシ御前の声も聞こえてきます。
しかし、AIRの千年前のお話で出てくるヒロインの少女もまた、神格化された存在でした。つまり、そこへ立ち入ることでおいらはその少女に出会えるのではないだろうか。少しでもその存在を感じることができるのではないか(つか、この人、相当イっちゃってるなあ…)。

Tシャツを引き裂かれる思いです。いったいこの僕はどうしたらよいのだろう。
この支配から卒業すればよいのだろう。
盗んだバイクで走り出す…

そういえば、高校生のとき、盗んだ自転車で同人誌即売会に向かったがその途中、警察に捕まってパトカー乗せられて取調べ受けて、暇つぶしに持っていったエロ同人誌、警察に見られたなあ(もちろん事実です)。

そんなさわやか三組にも負けないさわやかな青春の日々を思い出しながら、時間は刻々と過ぎてゆきます。そろそろ決断をしなければなりません。
結論は…

「MAICCA」

柵乗り越えこえたりなんかすると腰痛くなるし。
やーめぴ

とりあえず写真だけ撮っとくべ。

んじゃ次いってみよう。

境内を3~4m散策すると、また看板が…。

「線路へは通り抜けしないでください」

通り抜けしないで、と言われると、通り抜けしたくなるのが人間の性です。
通るぞ!抜けるぞ!しゃあこのやろう!

血気盛んに小道を抜けます。墓地を抜け、寺の建物の横に出ると、確かに前方に線路らしきものと、送電線が見えます。確かにあったが、そもそも通り抜けることに何のメリットが…駅があるわけじゃねーし

また、寺の建物には普通の家のようにベランダと窓があり、ここでおいらの足は止まります。
窓の向こうから寺の住職にでも不法通り抜けしてるところ見られたら怒られるんだろうなあ
まだ線路にたどり着いていませんでしたが、踵を返し、速攻でその場を後にしました。
僕、チキンですから、小心者ですから。うひひ!

まあ、なんつーか、静かな街の静かなお寺。強い日差しとゆっくりと流れる時間。AIRをやったことがある人ならば、その一空間で、AIRの世界へ思いを馳せることができるだろうと思います。

そんなこんなでひとまず目的達成。車に戻り、クーラーをフル稼働させて、次の場所へと向かう準備をします。

次の場所は同じ小浜市にある、八百姫神社。直接、AIRのモデルとなっている場所ではありませんが、雰囲気がAIRに似ているということで、是非立ち寄ってみるべきだという場所。

しかしこの神社、地図に載っているほど有名ではなく、地元の人もあまり知らない、かなりローカルな神社らしい。過去、おいらと同じようにAIRの聖地を旅した人のサイトに地図が掲載してあったので、持ち込んだノートPCを使ってその場所を確認しなければなりませんでした。

PCを立ち上げ、ネットに接続。メッセンジャーを開くと親友のKazがいたのでちょろっと会話。

車の中でひたすらノートPCとにらめっこをしていたのですが、その最中、どこからともなく現れたばばぁ(通称:ばばぁ)が、おいらの車をなめまわすようにじろじろと見ています。さらにばばぁは車の30cm以内に接近、運転席にいるおいらを覗き込むように視姦していくのです。

もちろん、おいらはそんな認知症ばばぁとは絶対に目を合わせません。合わせたら最後、

「しばらく見ないうちに大きくなったねえ。死んだじいさんにそっくりだよ、わーん」

とかそーゆうボケ老人にありがちな大きな勘違いをされるでしょう。
そうでなくても、なにかわけわからんことをまくし立てられるかもしれません。

楽しいAIRの旅は一転、おいらはばばぁの恐怖に怯えなければなりませでした。

顔面には大粒の汗が大量に湧き出して、まるで琵琶湖。両手はヌメヌメ・ベトベト・ドクドク・びしょびしょで、握手されたくない手NO.1ぶっちぎりを走っています。
眼球をすばやく移動させ、目の端でばばぁの行方を追うと、一旦はいずこかへ立ち去ろうとしたものの、何を思ったのか、またこちらに戻ってくるではありませんか!

おいおい、ばばぁ何戻ってきてんだよ!こっちじゃねーだろ!ここにはおめーの息子も孫もいねーんだよ!いるのは、おめーと同じ認知症のAIRきちがいだけなんだよ!

そんな叫びもむなしく、ばばぁはどんどんこちらに接近してきます。ここでおいらは一つ、大きな失敗を犯していました。タバコを吸いながらPCをいぢっていたため、窓をけっこう開けていたのです。

ばばぁが現れたときには全身がパーキンソン病のように硬直してしまい、窓を閉めることができなかった…、わけではないのですが、まあほっとけばすぐにでもどこかに行くだろう、煙いのにわざわざ閉めることはない、という判断を下していました。その判断が仇となり、ばばぁは開いている窓に自分のあごを乗せ、運転席にいるおいらに向かって話しかけてきたのです!

終わった…
世界の終わりだ…
世界が終わるまでは~離れることもない~♪
離れることもない?このばばぁがか?マジかよ!マジカル!ホーリーアップ!

まともに思考できないまま、ばばぁが話しかける言葉に耳を傾けます。
なにやらPCで仕事をしてるようだが、やるならエンジンを切ってやってくれ、と。そーゆう内容でした。

別に仕事をしてるわけじゃないんだけど…え?つまりアイドリングストップしろと?このばぁさん、めっちゃまともじゃん!むしろ、無駄に排ガス撒き散らしてる俺が悪人みたいじゃん!なにが静かな街の静かなお寺だよ、気取ってんじゃねーよ!てめーはまぬけなピエロか!

おいらの顔は、サーカスで、天井から釣られたロープでおもいっきり引っ張られたように、引きつった笑顔で

「あはは、すいませんすいません」

を繰り返すばかりでした。
あごを窓に乗せているため、頭半分だけ窓に突っ込んだ形になっているばぁさんは車内にいるおいらからはかなり異様です、むしろ、異形です。そのままの体勢を維持しながらばぁさんはさらに世間話を始めます。

最近は文明の進歩がめざましい、特にケータイとか、どこから来たのとか…。
やっと落ち着きを取り戻したおいらは、それらの話に相槌を打ち、話を合わせます。なんというか、世話焼きの、気のいい田舎のばあさんといった感じでした。

最初は笑顔のなかったばあさんも、おいらと話すうちにだんだんと破顔していきます。まあ、それほど急いでいるわけでもなく、旅先で見ず知らずの人と話すことは嫌いではないので、おいらのほうからも話すようになっていました。

すでに調べ尽くしてはいたのですが、これから向かう八百姫神社のことを尋ねると、やはり知らないとの返答。やっぱり地元の人でも、ほんとにその近くの人じゃないと知らないのね、と確信。適当なところで話を切り上げ、出発する旨を伝えると、気をつけて行ってきなさい、と、手を振って見送ってくれました。

思いかげない出会いでしたが、地元の人とのちょっとした触れ合いでした。
AIR5へ続く。

AIRの旅・3 抑えきれない怒り~(TEKKEN2)

2006年05月11日 | AIR聖地巡礼
前回は、出発からパーキングまでの話でした。ということで、一休みしたパーキングを出発し、さらに高速道路を音速で駆け抜けていきます。

AIRの、緩やかにゆったり流れるような曲に呼応し、階乗的に車のスピードを上げて行くにつれ、AIRで展開されたあまたの感動シーンが周りの景色と溶け合うような不思議な感覚を覚えます。

自らの網膜から脳へ入ってくる視覚情報は、たんだんと白くその色を変え、代わりにみすずちん(AIRに出てくるラブリーヒロイン)の姿がぼんやりと浮かび上がってきたのです。

顔には

「うへへ、ぐへへ…へへ…」

となんとも気色の悪いうすら笑いを浮かべながら、意識が徐々に遠のいていく自分を感じていました。みすずちんと共に意識の深淵に落ちていくことに幸せを感じながら、僕は、静かに、ゆっくりと目を閉じます。

そして、僕の魂は休息の地へと還っていきました…
…END


んな、かまいたちの夜のバッドエンディングみたいなこたぁーない。じゃ、気を取り直して続きいきます。

福井県小浜市へ向かう高速道路は、「小浜西」というインターチェンジで終点となります。終点が玉座の的です。夢の時間は終わりを告げ、高速道路から一般道へ降りることになります。

ドライバーなら誰でも(?)よくあることですが、高速道路を降りて一般道を走ると、結構スピードが出ているのにやたらと遅く感じてしまいます。一般道は一車線で、前方を走る車は法定速度を厳守しているトラックです。

おまえはどじでのろまな亀か!このやろう!と思わず堀ちえみばりに毒づいてしまいますが、左先方に開けた海の景色を見ると、その怒りの咆哮も一瞬にして収束しました。

そうして、一般国道をしばらく走ると、ナビの指示で、脇道へ入ることとなります。狭い道沿いには古い家屋が並んでおり、静かな佇まいを見せていました。

おいらは、そういった街並みや風景を訪ねながら、ヒッチハイクや青春18きっぷを使って一人旅することに至上の幸せを感ずる人です。
子供のときから、自転車に乗って自分が見たこともない所へ行ったときにはいつも、わくわくするような興奮があったのを覚えています。

道の真ん中で車を一時停止し、デジカメを取り出して、これから、もう二度と見ることがないかもしれないその道沿いの一角を切り取ってみることにします。
時間はとてもゆっくりと流れているように思えました。

脇道を抜けると、どうやら海水浴場へとやってきました。海水浴場の前を走る海岸線の道路には、泳ぎに来た人の車がびっしりと停まっており、その目の前には交番もあります。ここで駐禁のきっぷをきるには野暮なことでしょう。おいらも、縦列している車の間に駐車し、車を降ります。車を降りると、蒸し返るような猛烈な熱気バサラがおいらを襲います。

「暑ッ!」

その言葉が心の中で100万回連呼されます。そりゃあそうです。夏です。暑いんです!!!暑い!!(川平)

壊れたおもちゃのように、そして往生間近の年寄りのようによたよたとぎこちなく歩きだします。そして、その糸の切れた風船はふらふらと海水浴場へと向かいました。

砂浜は、多くの人で埋め尽くされていたわけではなくまばらな感じ。来ていた人も家族連れがメインで、若人の姿はありません。子供と一緒に遊ぶお母さん、岸壁に一人、寝そべって日焼けするお父さん。なんか、のんびりしてるなあ、ってのが率直な感想です。

その中に一人、足元がおぼつかないカメラを持った怪しげな青年…。浮きまくりです。岸壁に向かう途中、すれ違った水着の子供から白い熱視線を送られたことは言うまでもありません。

だけど気になる…けど、まあ、そんなこともいちいち気にもしてられません。目前に広がった海の景色を早速激写します。

ここでちょっとトイレに行きたくなったので、用を足せる場所を探索。付近に国民宿舎(?)ラウンジ(?)があり、そこへ向かいます。中へ入ると、受付のおばちゃんとおっさんが五つ子がなんちゃら、三つ子がなんちゃら、どうでもいいようなことで白熱した議論を展開しており、来訪者のことは完全無視、アウトオブ眼中(今時いわねえ)。

ここはなんとしてもおばちゃんの気を引かねば!
客が来たことを分からせようとあたりを大げさにきょろきょろしてみますが、そもそも、彼女の視線はおっさんに釘付け。おいらはただの挙動不審者。埒が明かないので、直接、聞いてみます。

「トイレどこっすか?」
「奥に進んで右です」

簡潔な説明、サンクスモニカ!

奥へと続く通路は非常に狭く、通路を抜けると確かにトイレらしき場所がありました。
大のほうがしたかったので、早速、その個室へ入室しましたが、それがめちゃめちゃ狭い!人一人やっと入れるスペースしかありません。にしては、小を足すところには無駄にスペースがあります。

なんだこのアンバランスさは?!設計責任者出てきやがれ!このやろう!

と怒ってみてもしょうがないので、ドアを閉めなすべきことをなそうとしましたが、今度はドアを閉めたらめちゃめちゃ暗い!まったく光が入ってきません。ここである曲が頭の中で流れます。

寂しい夜は会いたい 寂しい夜はcrycrycry ♪

cryと暗い…寒い…
いや、前日行ったカラオケで誰かがシャ乱Q歌っていたので…
ってか、そもそもAIRの旅とかいって、そんなバカなことしてること自体寒い…
完全にやきが回ったか。なんのひねりもありません。これでは安藤美姫にもバカボンの顔に出ているぐるぐるにも魔方陣ぐるぐるにも勝てません。

意気消沈とはこのこと。失意の中、静かにことを済ませたあとの、ざぁーと水が流れる音が心にしみてくる小浜の昼下がりでした…。

とぼとぼとそのラウンジを後にします。しかし、本来の目的を忘れてはいけない。俺の目的は1000年の時を越えること。AIRのルーツの場所へ向かうことなのだ、と決意を新たにします。

ナビの指示に従い小道を抜け、大通りを横切る交差点に来ると、一台のバンが止まっています。向こう側へ直進したいのだが、車が左右から来てるため、なかなか行けない様子。しかし、長い…。明らかに進める状況もあるのに行かない…。中に乗っているのはおばはん集団。どんだけ判断おせーんだよ!

自分の怒りゲージが上昇していくのが分かります。

いらいらいらいら…

ブチッ

なにかが切れました。ハンドルの中央部に手を当て、そして一気にその部分を押し下げます。

ブーーーーーー!!!!!!!!!

小浜の静かな街においらの怒りのクラクションがこだましました。そのクラクションで中に乗ってた連中の一人が、驚いてびくッっと飛び上がったのには指を刺して笑いました!わーはっはっはっは!!ざまーみやがれ!このばかちんの痴れ者どもが!!!

これでおいらの溜飲も下がります。そうしてやっとのことで車は進み、最初の目的地であるAIRのモデル地「空印寺」へと到着します。

AIR4へ続く。