10/31TV朝日のモーニングバード「そもそも総研」で特定秘密保護法案の危険と、さらにそれがどのように悪用される可能性があるかについて、 わかりやすく説明されています。
(以下に動画がアップされています。)
※そもそも総研「『秘密保護法案』と【原発】あなたもテロリスト?!」
「特定秘密保護法案」法案の条文は、秘密の定義が非常に広くてあいまいで、それが処罰とリンクされているため、 処罰範囲がどこまで広がるかわからない。 (日弁連 清水勉弁護士)
恣意的な運用を可能にする条文として、ここでは2点を取り上げて問題にしています。
1つは、「テロリズム」の定義。条文12条の2で、テロリズムの定義を、「政治上その他の主義主張に基づき国家もしくは他人にこれを強要するための活動」 としています。
例えば、反TPPや脱原発で、市民が国会前、首相官邸前に集まって抗議したりすることが、“主義主張に基づいて国家に強要する”「テロリズム」になるというのです。
重大なのは、秘密保護法案がこのような思想に基づいて作られているということです。
もう一つは、共謀罪の規定。
条文24条に、共謀、教唆、煽動も処罰の対象となることが書かれています。
実行の着手を必要としないので、例えば、報道関係の企画会議や、市民グループの会議で、「○○を調べてみよう、取材しよう」と議論するだけで処罰の対象になるといいます。
※独立教唆の危険--秘密保護法
番組では、例え起訴、有罪の確定まで行かなくても、逮捕しようと思えばできる、ということの危険性を特に強調しています。立川反戦ビラ事件の例にみるように、公安警察による法律の恣意的な運用が現に行われています。
※立川反戦ビラ入れ事件逆転有罪判決を糾弾する! (署名事務局)
逮捕し、家宅捜査、パソコンの押収などが恣意的に行える、このこと自体が問題だと指摘しています。
まったくその通りだと思います。
「市民の政治活動、メディアの権力監視機能を萎縮させることに使うことが目的ではないのか」とストレートに町村信孝元官房長官(特定秘密保護法案検討チーム座長)に問い詰める場面があります。
日本版NSC設置とセットで成立が図られていることを考え合わせると、国家権力がとてつもなく強化されることになるのではないかと、心配します。
※法案の条文は[資料]特定秘密保護法案全文(10月25日閣議決定)参照
以下、主要な発言を抜き書きします。
■全国市民オンブズマン連絡会議事務局長 新海聡弁護士:
「例えば原発。原子力発電所の事故の情報とかあるいは構造の情報とか、あるいは事故の対処の方法とか、そういった問題について、当然テロに使われるっていう風に考えるはずなんですね。使用済み核燃料についてもそうなんですが、核兵器の開発にそれが利用されるとなると原発の稼働とか事故だけじゃなくて、原発に関係する情報全てを非公開にしたくなる。
住民の安全よりも情報の非公開っていうのを優先するということは十分に想像できることです。」
「具体的には橋です。国道の橋が危険じゃないかと言って我々がオンブズマン的に調べたりしますよね。例えば本当にこの施設が必要なのかどうかとか、この施設に予算が重要なのか、どういう補修が必要なのかと。橋というのはテロリストが狙いやすい(ので情報は非公開)ということになりかねない。」
取材者:「そうすると何でもテロ対策で秘密にできちゃうということですかね?」
新海弁護士:「このテロ対策を理由とした非公開っていうのは、国に対して本当に都合のいいもの全てを非公開にできるっていう危険な条項だと思います。」
■日弁連 秘密保全法制対策本部事務局長 清水勉弁護士:
「(特定)秘密の定義が法律に書かれているんですけども、その範囲が非常に広くて非常にあいまいで、それが処罰とリンクされているためですね、処罰範囲がどこまで広がるか分からないという非常に重大な問題、欠陥があるというふうに考えています。」
清水弁護士は、秘密保護法案の中に恣意的な運用を可能にする条文が埋め込まれていると指摘する。
①誰でもテロリスト?
清水弁護士:
「テロリズムについては第12条の適正評価の評価基準の中に定義が書かれていまして、『テロリズムは3種類あります』ということがここで書かれていて最も広い概念としては、『政治上その他の主義主張に基づき国家若しくは他人にこれを強要するための活動』というのがテロリズムということになります。」
「例えば国会前や首相官邸前でたくさん人が集まって何か一定の反TPPでも脱原発でもそれを言えば、デモでもそうなります。」「テロリズムになります。間違いなくなります。」
「政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し、」
「又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で人を殺傷し、」
「又は重要な施設その他の物を破壊するための活動」
「「殺傷」や「破壊」は確かに「テロ」と言えるかもしれませんが、これらは「かつ」ではなく「又は」でつながっているので、「政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し」が単独でテロ活動とみなされるんです。
②企画会議でも逮捕?
清水弁護士:
「第24条で共謀とか教唆扇動、こういったことも処罰の対象。つまり情報にまだ手を出していない状態であっても、共謀するだけ(で処罰される可能性がある)。実際に相手方が、じゃその情報を提供しますよというようなことを言ってくれなくても、つまり一方的に(情報をくれと)言っただけでも教唆犯罪になります。」
「卑近(身近)な言い方をすると、企画会議は共謀になります。」
「公安警察が反原発ですとか反TPPのことについていろいろと組織的に調べているんじゃないか、それは問題じゃないかってことで、どんなことをやっているんだろうとかというのを報道としてあるいは市民グループとして調べてみる必要があるよねという会議、企画会議、それは共謀です。」
「ことごとく犯罪です。これは実行の着手を必要としません。」「5年以下の懲役です。」
「立川反戦ビラ事件(2004年、反戦ビラ配布事件)のように、単に自分たちの意思表明をマンションの郵便受けにポスティングしたという事件が、これが建造物侵入で逮捕されて、起訴されて有罪になる」
「でも他のピザとかラーメン(のビラ)とかのそういうポスティングであればOKなのに、反戦ビラだとなぜ有罪になるの?というのは、権力的に介入してきて、そのビラの内容を選んで逮捕したり起訴したりという、これ極めて恣意的なことだ。そういう実例からすると今回の法律ができてしまうと、テロリズムは要するに公安警察が何をテロリズムにするとするかは、先ほど説明した定義では何も中身が分かりませんから、(何でもできる)ということになります。」
(WA,T)