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橋下市長・維新の会による「近現代史施設」反対!

2012-05-14 | 教育・「つくる会」系教科書

  橋下大阪市長と松井大阪府知事が、「大阪人権博物館(リバティおおさか)」(大阪市浪速区)と「大阪国際平和センター(ピースおおさか)」(中央区)を解体し、代わりに「子どもたちが近現代史を学ぶ施設」を府と市で設置する検討に入った、と報道されている。驚くべきことに、その「新施設」の展示内容などについて、橋下市長は「つくる会」歴史教科書の関係者に意見を聴くことを、表明している。
  「つくる会」系教科書、すなわち扶桑社版や育鵬社版の中学歴史教科書は、第2次大戦における日本のアジア・太平洋侵略を否定し、日本の戦争はアジア解放のためであったとする内容である。このような教科書の関係者の意見を入れて造る「新施設」とはいったい何であろうか? 靖国神社境内にある侵略戦争賛美の資料館「遊就館」そのものではないだろうか? こんな施設を大阪に造ることには、絶対に反対だ。

  橋下市長は9日、維新の会・公明の両市議団幹部との協議で「新施設」をつくる考えを明らかにした。さらに10日の維新市議団幹部との協議で、「つくる会」系歴史教科書編集に関わった有識者から助言を受けることで一致し、近く、同市議団幹部が有識者に協力を依頼するという。
  橋下市長は、「新施設」を「任期中になんとか完成させたい」と語っている。
橋下市長ら近現代史学ぶ施設検討 つくる会系からも助言(朝日新聞)

  これより前の5月7日、橋下市長は、リバティおおさかへの運営補助金を打ち切ることを明らかにしていた。松井知事も、今年度予算に計上した補助金を執行しない方針を示していた。
  運営する財団法人「大阪人権博物館」には昨年度、市が年約5千万円、府が年約7千万円を支出。運営費の約8割を府市の補助が占めており、打ち切られれば、運営が困難になるのは不可避であった。
大阪人権博物館の補助せず 橋下市長が方針指示(朝日新聞)

  橋下市長は、これまでも、「リバティおおさか」の展示内容に、執拗に異を唱えてきた。府知事時代の2008年、展示内容の見直しを要求。これを受けて博物館は昨年、府と協議して展示をリニューアルした。今年4月も博物館を視察して「差別や人権に特化しており、子どもが夢や希望を抱ける展示になっていない」と批判していた。そのあげく、補助金打ち切りによって、自らの気にくわない博物館をつぶしてしまおうとしている。
  「(展示内容が)僕の考えに合わない」、「子どもが夢や希望を抱ける展示になっていない」といった言葉からは、人権教育・平和教育への橋下市長の憎悪のようなものが感じられる。

  しかも、つぶすだけでは飽きたらず、「遊就館」ばりの「新施設」である。
  「両論併記」などと言っているが、「日本のアジア・太平洋侵略」という明らかな歴史的事実と、それを否定する歪んだ「歴史観」とをあえて同列に並べるのであれば、それは日本の侵略を否定することが目的と言わなければならない。進化論や地動説といった科学的真実に対して、創造説や天動説を両論併記するようなものである。

  今、このような施設を造ろうとする橋下市長の狙いは何か?
  これは単なる思いつきではない。その狙いは、橋下市長自身の言葉に表れている。この施設に関連してわざわざ「つくる会」系教科書に触れ、「教育現場が勝手に判断し、(採択の対象として)全然上がってこない」と不満を述べたという。
近現代史学ぶ施設、「任期中に完成させる」橋下市長(朝日新聞)

  「つくる会」系教科書は、各地の右翼的首長や国会議員の後押しによって採択数を拡大させてはいるが、大阪では、東大阪市で公民教科書が採択されただけであり、歴史教科書は採択されていない。この施設建設を突破口に、歴史を含む「つくる会」系教科書の採択を一気に拡大させようと狙っているのであろう。

  「新施設」建設は、「日の丸」・「君が代」強制、「教育基本条例」などに続く、大阪の教育への攻撃である。この施設と「つくる会」系教科書によって、子どもたちに侵略戦争賛美を植え付け、思想改造しようとしている。「リバティおおさか」・「ピースおおさか」解体と「新施設」建設を許してはならない。

by ウナイ


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