リートリンの覚書

魏志倭人伝・現代語訳17 行来のようす



魏志倭人伝・現代語訳17



行来のようす

原文

其行来渡海詣中国、
恒使一人不梳頭、不去蟣蝨、
衣服垢汚、不食肉、不近婦人、
如喪人、名 之為持衰。
若行者吉善、
共顧其生口・財物、
若有疾病、遭暴害、便欲殺之。
謂其持衰不謹。

書き下し文

その行来(こうらい)に
海を渡りて中国に詣(いた)るには、
恒(つね)に一人をして
頭を梳(くしげず)らず、
蟣蝨(きしつ)を去らず、
衣服は垢汚(こうお)し、
肉を食わず、婦人を近づけず、
喪人(もじん)の如くにせしめ、
之を名づけて持衰(じさい)となす。
若(も)し行者の吉善なれば、
共(のり)として
その生口(せいこう)・財物を顧(むく)い、
若し疾病あり、暴害に遭えば、
便(すなわち)殺さんと欲す。
その持衰の
謹(つつし)まざりしと謂(い)う。

現代語訳
 
その行き来し海を渡りて
中国にいたる際には、
 
つねに一人が頭毛を櫛ですかず、
蟣蝨(きしつ)を取らず、
衣服は垢で汚れたままにし、
肉も食べず、
婦人を近づけない、
喪にふしている者のようにします。
 
これを名づけて持衰(じさい)といいます。
 
もし修行する者の
(無事たどりつくことができる)
吉善があれば、
そのきまりとして、
 
生口(せいこう)・財物を
対価として与えられますが、
 
もし病気になったり、
暴害に遭ったとしたら、
すなわち、殺そうとします。
 
その持衰の謹みが
なかったからだといいます。
 


・行来(こうらい)
行き来、往来。
・梳(くしげず)
櫛で毛をすく。
・蟣蝨(きしつ)
しらみ。
・垢汚(こうお)
あかにけがれること。
・喪人(もじん)
喪に服している人。死者の身内の者で、ある期間、他との公的交際を避けている人のこと。
・持衰(じさい)
斎戒すること、またその人。
・行者
仏道などを修行する人。
・吉善
めでたいこと
・共(のり)
のり(法)きまり。守るべき基準。
・生口
捕虜・奴隷
・顧
されたことに対し見合う物を返す。
・疾病





ランキングに参加中。励みになります。
ポッチっとお願いします。
 にほんブログ村 歴史ブログへ

参考

かくも明快な魏志倭人伝 木佐 敬久
富士房インターナショナル

倭人・倭国伝全釈 鳥越 憲三朗
中央公論新社

Wikipedia

ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!

最近の「魏志倭人伝・現代語訳」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事