土を喰らって変容す
喫茶店を始める時 幸福の木を頂いた
観賞用に室内だけで たまに水差し育っていった
一枚一枚葉が増えて 五年も過ぎれば背丈ほど
やがてスズランのよな 白い花がたくさん咲いた
花が枯れてそれからは パタッと育たなくなった
最後に咲いて朽ち果てる あだ花とはこのことか
植木鉢をひとまわり 大きくしようと試みる
抜いたら細かい根がギッシリ 土はパラパラ落ちただけ
こいつが土を食いよった
一粒残らずたいらげた
土を喰らって変容し
白い花を咲かせよおった
思えば野に咲く花たちも 同じように土を食う
にんじん だいこん じゃがいもだって 土を喰らって変容する
土を喰らって変容した それらを食べて育つ動物
動物の肉を食べて 腹を満たす人間様
そいつらみんな 土を食う
寄ってたかって 喰らいつく
人間増えるばっかりで
わがもの顔で 地球をかじる
ある日サイクリングしてる時 手首あたりに虫がつく
白に茶色の点々 てんとう虫のお仲間か
風圧をもろともせずに 動きも飛び立とうともしない
手で払ったらほんの少し チクリと痛みがした
こいつ皮膚を食いよった
人間様を 食いよった
一匹だから大したことないが
異常発生しようもんなら オー
