京都園芸倶楽部の元ブログ管理人の書笈

京都園芸倶楽部のブログとして2022年11月までの8年間、植物にまつわることを綴った記事を納めた書笈。

チャノキの花

2017-10-05 14:21:18 | 園芸・植物・自然環境
先日、9月末に真如堂へ立ち寄った際にチャノキの花が咲き始めていました。




チャノキはツバキの仲間で、小さい可憐な白い花を咲かせます。花期は10月〜12月ですので、少し早い咲き始めでしょうか。

学名 Camellia sinensis は『中国のツバキ』という意味です(ヤブツバキは『日本のツバキ』という意味の Camellia japonica という学名がつけられています)。学名のとおり中国からベトナム・インドが原産地とされています。

またチャノキは『茶の木』のことで中国でも『茶』と表しますが、ツバキは『山茶花』でサザンカは『茶梅』と書きます。「サザンカが『山茶花』ではないの?」と思われるかもしれませんが、これはサザンカが日本原産の植物で、中国にも分布しているツバキを中国では『山に生育する茶』という意で山茶花と表したことから、山茶花という漢語を輸入した際にサザンカに充てたものとされています。




またチャノキは『茶の木』であることからもわかるかもしれませんが、日本茶、中国茶、紅茶はすべてこの葉を加工したものです。

中国では、時期は不明ですがかなり古くから喫茶の風習があったとされ、紀元前2世紀の書籍にその記録が残っているとのことです。

日本では栄西が1191年に宋で入手した茶の種子を持ち帰って栽培し喫茶の習慣を広めたことが有名ですが、それより以前、平安時代に最澄が唐から帰国の際に種子を持ち帰って比叡山山麓の坂本で栽培し、815年には近江行幸の嵯峨天皇に梵釈寺で永忠が茶を煎じて献上したという記録が残っています。また空海も在唐中に茶に親しんだとの記録があるそうです。

ようやく秋らしくなり、朝晩は肌寒い日もあります。そろそろ温かいお茶がおいしく感じられる季節でしょうか。小さい可憐な花を観賞後、お茶で一服するのもよいかもしれませんね。
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