にゃんこの置き文

行く川の流れは絶えずして、しかも元の水にあらず

「AV男優」という職業

2017年08月20日 | 日記
今回はちょっとエッチなお話しをば。

私の読書傾向はまったく方向性がなく、物理、医学、宇宙関連から、小説や犯罪ドキュメント、戦記物、動物関係からエロ系まで、興味の対象が滅茶苦茶なのだけど、最近水野スミレという人が書いた「『AV男優』という職業」は、久々のヒットだった。

AV女優について書かれたものなら、「名前のない女たち」をはじめ多々あるけど、男優の声はなかなか伝わってこない。
縁の下の力持ちに徹している彼らが日々何を考え、どういう思いで毎日違う女優とのセックスに挑んでいるのか。
インタビュアーである著者が女目線から切り込んでいってる。

現役女優1万人に対し、プロの男優は70人しかいないという事実にもびっくりしたけど、その収入の多さも意外だった。加藤鷹なんて、一番多い時は年収が2500万あったって。
今では女性の出演希望者が多すぎて、若くもなく容姿も並みの女だと出演料は3万からよくても10万くらい。つまり男のほうが希少価値があるという、世間とは逆の現象がAV業界では起きているということだ。

撮影時の苦労話や、それぞれの特技(?)の由来も面白かったけど、何より著者の地の文に、「そうそう!」とうなずける箇所がいっぱいあった。
例えばちょっと長くなるけど、女性のあえぎ声に関する考察。
「最中に女が出す声には三種類あって、一つは他者に聞かせる大声。二つ目はより性感を高めるために、自分自身に聞かせる中声。そして三つ目は無意識のうちにもれる小声。(中略)男性は女が黙り込んでもひるまずに、「お、快感を貪ろうとしているな」と思ってアクションを止めない方が、感謝されるかもしれない」

もう思わず膝を打って、これこそ世の男性にもっと広く知らしめて欲しいと、胸の中で叫んでしまった。

今の若い世代と違って、私のような還暦の声を聞く年代の女性は、性に関する要望を相手に伝えるのがとても苦手である。(若い女の子たちは、要望も失望も隠さない子が増えているらしい。「えっ、ウソ、もう終わり?」と言われて、若い子とするのが怖くなったという男性を知っている。それだけで再起不能になるのも、情けない話だと思うが)
ちゃんと言ってくれないとわからないよ、という男性側の声が聞こえてきそうな気がするけど、AV男優たちはさすがによく知ってるんだよね。

気持ちがノッてくると、生じた快感のさざ波を欠片も逃すまいと、仕事とかでは間違っても発揮しない集中力で、声を出すことも忘れてしまう。押し寄せる波をとらえ、頂上に向かって駆け上がるタイミングを図っているいる間、とっても静かになってしまうんだけど、それを「気持ちよくない?」と勘違いして慌ててしまわれると、せっかくとらえた波が引いてしまうのだ。
あと少しで爆発を逃した時の無念さは、とても言葉にできるものではない。

そういう意味でこの本は男性にとって大いに勉強になるし、女性にとっても思い当たる節が多すぎて面白いよ。
一番しみじみと感じ入ったのは、「男と女の間の川は、本当に深くて広いなぁ」ってことだけどね 
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認知症の不思議

2017年08月09日 | 日記
前回の癌に続き、今回は認知症の印象を。

50歳を過ぎると、友人とかわす話題は病気ネタが中心になってくる。
若い頃は不思議に思っていたけど、今はすごくよくわかる。
何といっても、50を境に身体のあちこちにガタが出てくる。
私なんてそれまで眼医者と歯医者くらいしかかかったことはなかったのに、今ではほとんどの科の診察券を持ってるもんね。
未だにないのは外科くらいかな?

そうやって病気と身近になるのに合わせて、死も他人事でなくなってくる。
若い人の死もショックだけど、それ以上に同年代の訃報は精神に堪える。
もう立派な癌好発年齢なんだなと思うと同時に、この先に目を向けると、避けて通れないのが最期の迎え方だ。

私は他人といると必要以上に気を使ってしまう性格な為、息を引き取る時くらい独りでいたいと切望している。
「畳の上で子や孫に囲まれて」という光景は、私にとって悪夢でしかない。(もっとも子も孫もいないのでその心配はないけど)
出来ることなら医療者にも傍にいて欲しくないので、理想の最期は孤独死ということになる。
最高に幸せな死に方だと思うのは、人が入り込まない山奥で、誰にも知られず自死することなんだけど、これはなかなか実行に移すのは難しい。
心筋梗塞や脳梗塞でぽっくりいくのも、掃除や引継ぎやパソコン内に残っているヤバいものの処分ができないという意味でよろしくない。
なので現実的には癌死が一番かなと思ってるんだけど、そこに高々と立ちふさがる壁が「認知症」なのだ。

理想も、一番も、へったくれもない。
これになっちゃうとすべて絵に描いた餅になる。
これにだけはなりたくないと願っても、気が付いたらなってるから尚更怖い。

今、身近な人が認知症を発症して、それに振り回されているんだけど、4月には普通だったのに、5月に少し「?」と感じることがあり、6月には「?」が増えて、7月にはもう別人といっていいくらい。
癌なら予防の仕方はいろいろあげられているし、万一なっても治療法はあふれている。
でも認知症は気休め以下の予防法しかないし、発症のきっかけは不明だし、治療法もほぼ皆無だ。
唯一確実な予防法は、長生きをしないことくらいか?
と思ったら、日野原さんのような例もあるし、ますます訳が分からなくなる。

喫煙者への攻撃が凄いけど、なまじ長生きして認知症になるより、適度なところで肺癌になっておっ死ぬほうが幸せだと思うんだけど、どうなんでしょう?
少なくとも肺癌は、その人の尊厳をぶち壊したりはしないもんなぁ。
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