先日、公開当日の仕事帰りに見に行きましたよ期待の映画「どろろ」。
手塚治虫作品の中でも相当好きな作品ですので、公開前からわくわくしておりました。
思えば「どろろ」との出会いは遡ること20年前、小学校の図書室でのこと。
すみっこにちょこなんと置かれていた数少ない漫画作品だったんですが、実は発見から長いことスルーしていました。
というのも、その隣においてあった漫画が「はだしのゲン」だったため。
「はだしのゲン」と言えば、「わーいマンガがあるー」と喜んで手に取った幾多の小学生を「ギギギー水をくれー」な地獄絵図をもって叩きのめしたトラウマ発生装置です。
その隣にあった作品のタイトルが「どろろ」と言ういかにも気色の悪い代物なのだから二の足を踏むのも当然でありましょう。
しかしこれが面白かった!
体の48箇所を魔物に奪われた百鬼丸が、それを倒すごとにひとつずつパーツを取り戻していくさまには、子供心にワクワクしたものです。描写は結構ハードなものもありましたが、それも込みで大好きでしたね。
上映までに空いた時間で近くのマンガ喫茶に行き、ちょうどあった原作全4巻を通読できたのはまさに幸運でした。
ううむ、やはり面白い。
幼かったあのころには読み取れなくても、いい年になった今になって分かることも多かったですよ。打ち切りを食らったのは返す返すも残念でしたが、素敵なマンガです。好き嫌いは分かれるとは思うけど。
そして今回の映画版。
妻夫木聡と柴咲コウという二大スターを主役に迎え、20億円の予算と豊富なVFXをもって、「どろろ」の世界をいかに再現、再構築するか?
マンガの実写映画化作品としては「デビルマン」や「鉄人28号」のような偉大なる(?)先人もおります。さてどうなるか、と言う期待と不安をかかえながらいざシネコンへ。
会場! 一番でかい!
お客! ほぼ満員!
隣の子供! 会場が暗くなってもDSやり続けるのはやめなさい。
上映開始。
何と言うか、街の雑踏などに見る小汚くて無国籍な雰囲気はいい感じ。
戦闘シーンも、目がわずかについていかない具合が心地よいです。百鬼丸が宙吊りでクルクル回るのはちょっとアレですが。
お話は、原作を一部持ってきつつも、百鬼丸の家族をめぐる終盤の展開はがらりと変わったものになっています。切り捨てられた設定も、どろろの背中の地図や百鬼丸の体の各機能などを含めていくつかあり、原作好きにはちょっと寂しい。まあ、百鬼丸の鼻爆弾とかをイケメン妻夫木さんにやらせるわけにはいかなかったのかも知れませんが。でも、足から焼け水を出すくらいはして欲しかったなあ・・・。
さて、この映画を見る前に最大の不安材料であったのが、どろろ役の柴咲コウさん。
演技がどうの、と言うよりも、どっからどう見ても大人であるあの方が、ちんちくりんの子供であるどろろを演じるのは無理があるのではないか? と心配していたんですが、実際見てみると・・・。
微妙ではあるが、そう悪くはない・・・かな?
原作のどろろのイメージからするとどうしても無理が見えるんですが、とりあえずそれを忘れれば酷評するほどじゃありません。無理していきがっている様やコロコロ変わる表情は、柴咲コウの力量ゆえかいかにも漫画的な感じが出ていて意外と好印象です。
もう一人の主役である百鬼丸は、まあ、普通にイケメンさん。特にこれと言っていうことはなし。ただ、映画の百鬼丸は原作よりもかなりクールガイに設定されておるので、原作のパーツを取り戻すたびにちょっと困惑しつつも子供のように喜ぶ百鬼丸が好きだった私にはちょっぴり残念でした。
原作のことを言うならば、いくつかのエピソードが映画でも使われていたのはちょっと嬉しかったですね。ただ、「鯖目」はともかくも「ばんもん」の使い方の軽さはもう少しどうにかならなかったかな、と。あれならなくても同じじゃないか。設定が変わっているので同じようには扱えなかったのは分かるんですが、ね。
さて、次は肝心要のアクションとVFX。
これは、嗜好によって評価が分かれるかもしれませんね。個人的にはそこそこ楽しめました。CGは本物と見まごうばかり、と言うわけではないもののなかなか綺麗な出来。ところどころで荒さが目立つところもありますが、それなりにレベルの高いものかな、と見れましたよ。
アクションも香港のアクション監督を持ってきているためか、これまたいかにも漫画的な、荒唐無稽で派手な代物になっていて結構好感触。特に中盤の対魔物三連戦はどろろとのチームワークが組みあがっていくところなどもあって、アクション好きにも堪能できますよ。しかし相手が規格外にでかい分、切って斬って受けて受け流して斬って、と言う丁々発止の細かなアクションは望みようもないのがちょっとだけ寂しいですね。
まあ、ダラダラと取りとめもなく書いてきましたが、総評としては「大傑作とは言いがたいが、そんなに悪くはない」といったところ。終盤の展開がやや冗長ですが、それも特に文句を言わねばならないレベルではないです。
なまじ原作が好きだと、「ここが惜しい、あそこが寂しい」といらぬ失望をすることになるので、すっきり忘れてしまうのがいいかも。知らなければ、もう少し評価は上がるかもしれません。
・・・うわ、俺ブログの中で何回「寂しい」「残念」って言ってんだよw
出来れば、映画を見た後に原作にも触れてもらいたいところですね。
手塚治虫作品の中でも相当好きな作品ですので、公開前からわくわくしておりました。
思えば「どろろ」との出会いは遡ること20年前、小学校の図書室でのこと。
すみっこにちょこなんと置かれていた数少ない漫画作品だったんですが、実は発見から長いことスルーしていました。
というのも、その隣においてあった漫画が「はだしのゲン」だったため。
「はだしのゲン」と言えば、「わーいマンガがあるー」と喜んで手に取った幾多の小学生を「ギギギー水をくれー」な地獄絵図をもって叩きのめしたトラウマ発生装置です。
その隣にあった作品のタイトルが「どろろ」と言ういかにも気色の悪い代物なのだから二の足を踏むのも当然でありましょう。
しかしこれが面白かった!
体の48箇所を魔物に奪われた百鬼丸が、それを倒すごとにひとつずつパーツを取り戻していくさまには、子供心にワクワクしたものです。描写は結構ハードなものもありましたが、それも込みで大好きでしたね。
上映までに空いた時間で近くのマンガ喫茶に行き、ちょうどあった原作全4巻を通読できたのはまさに幸運でした。
ううむ、やはり面白い。
幼かったあのころには読み取れなくても、いい年になった今になって分かることも多かったですよ。打ち切りを食らったのは返す返すも残念でしたが、素敵なマンガです。好き嫌いは分かれるとは思うけど。
そして今回の映画版。
妻夫木聡と柴咲コウという二大スターを主役に迎え、20億円の予算と豊富なVFXをもって、「どろろ」の世界をいかに再現、再構築するか?
マンガの実写映画化作品としては「デビルマン」や「鉄人28号」のような偉大なる(?)先人もおります。さてどうなるか、と言う期待と不安をかかえながらいざシネコンへ。
会場! 一番でかい!
お客! ほぼ満員!
隣の子供! 会場が暗くなってもDSやり続けるのはやめなさい。
上映開始。
何と言うか、街の雑踏などに見る小汚くて無国籍な雰囲気はいい感じ。
戦闘シーンも、目がわずかについていかない具合が心地よいです。百鬼丸が宙吊りでクルクル回るのはちょっとアレですが。
お話は、原作を一部持ってきつつも、百鬼丸の家族をめぐる終盤の展開はがらりと変わったものになっています。切り捨てられた設定も、どろろの背中の地図や百鬼丸の体の各機能などを含めていくつかあり、原作好きにはちょっと寂しい。まあ、百鬼丸の鼻爆弾とかをイケメン妻夫木さんにやらせるわけにはいかなかったのかも知れませんが。でも、足から焼け水を出すくらいはして欲しかったなあ・・・。
さて、この映画を見る前に最大の不安材料であったのが、どろろ役の柴咲コウさん。
演技がどうの、と言うよりも、どっからどう見ても大人であるあの方が、ちんちくりんの子供であるどろろを演じるのは無理があるのではないか? と心配していたんですが、実際見てみると・・・。
微妙ではあるが、そう悪くはない・・・かな?
原作のどろろのイメージからするとどうしても無理が見えるんですが、とりあえずそれを忘れれば酷評するほどじゃありません。無理していきがっている様やコロコロ変わる表情は、柴咲コウの力量ゆえかいかにも漫画的な感じが出ていて意外と好印象です。
もう一人の主役である百鬼丸は、まあ、普通にイケメンさん。特にこれと言っていうことはなし。ただ、映画の百鬼丸は原作よりもかなりクールガイに設定されておるので、原作のパーツを取り戻すたびにちょっと困惑しつつも子供のように喜ぶ百鬼丸が好きだった私にはちょっぴり残念でした。
原作のことを言うならば、いくつかのエピソードが映画でも使われていたのはちょっと嬉しかったですね。ただ、「鯖目」はともかくも「ばんもん」の使い方の軽さはもう少しどうにかならなかったかな、と。あれならなくても同じじゃないか。設定が変わっているので同じようには扱えなかったのは分かるんですが、ね。
さて、次は肝心要のアクションとVFX。
これは、嗜好によって評価が分かれるかもしれませんね。個人的にはそこそこ楽しめました。CGは本物と見まごうばかり、と言うわけではないもののなかなか綺麗な出来。ところどころで荒さが目立つところもありますが、それなりにレベルの高いものかな、と見れましたよ。
アクションも香港のアクション監督を持ってきているためか、これまたいかにも漫画的な、荒唐無稽で派手な代物になっていて結構好感触。特に中盤の対魔物三連戦はどろろとのチームワークが組みあがっていくところなどもあって、アクション好きにも堪能できますよ。しかし相手が規格外にでかい分、切って斬って受けて受け流して斬って、と言う丁々発止の細かなアクションは望みようもないのがちょっとだけ寂しいですね。
まあ、ダラダラと取りとめもなく書いてきましたが、総評としては「大傑作とは言いがたいが、そんなに悪くはない」といったところ。終盤の展開がやや冗長ですが、それも特に文句を言わねばならないレベルではないです。
なまじ原作が好きだと、「ここが惜しい、あそこが寂しい」といらぬ失望をすることになるので、すっきり忘れてしまうのがいいかも。知らなければ、もう少し評価は上がるかもしれません。
・・・うわ、俺ブログの中で何回「寂しい」「残念」って言ってんだよw
出来れば、映画を見た後に原作にも触れてもらいたいところですね。