正月の朝がきた。昼には京都駅から在来線で帰る手筈。五条通りのコンビニから荷物を送って手軽になって、三十三間堂へ向かった。地図をたよりに歩いていると、なにかを感じた。おや？ここはもしや街道だったんじゃないか？立ち止まって調べてみると、案の定、大和街道だった。そうか、かつて奈良に行くには、鴨川の東側を南下して、伏見、宇治を経て向かったのだ。そのまま進むと、狭すぎるくらいに感じた道幅が、急に広がった。左 . . . 本文を読む
大晦日の夜、まもなく日付が変わろうという時刻に祇園の八坂神社に向かった。宿をでたのは11：50頃だったか、すでに除夜の鐘はどこからも聞こえてこない。東大路通沿いに、八坂の塔の下まできたあたりで新年になった。連れだって初詣に出向く若者たちが、あちこちで陽気にカウントダウンを数え上げていた。八坂神社まで来てみると、東大路通は通行止めになっている。通せんぼをしていた警官が、四条大橋の方まで回らないと参拝 . . . 本文を読む
清水寺から宿へもどり、自転車にまたがる。さあ、どこに行こうかと悩んだ。頭に浮かんできたのは、史跡でもホトケ様でもなく、出町ふたばの豆大福だった。どうせ今回の旅は時間を持て余しているのだ。その人気ゆえに、大阪にいたときでさえ一度も口にしたことのなかった、あの豆大福を食べよう、と思った。ついでにほかの餅菓子も買おうと、高島屋で中村軒の麦手餅を求めてから、麩嘉の麩饅頭を買いに錦市場へ行った。しかしその錦 . . . 本文を読む
人は、こころに悪魔を飼っている。いやむしろ、人間自体もともと悪魔なのであって、犯罪者と健全な一般人の違いなんて、なにかのきっかけでその本性が現れるかどうかじゃないかと思う。それを自覚しているのならむしろまだ救いがある。ほとんどの人間は、その自意識がないままに悪魔の本性が顔を出している。それを知るのは、近くで観察している他人だけだ。まさにジョハリの窓だ。・・観終えて、まるで、そう誰かが語りかけてくよ . . . 本文を読む