なんでもノート

デュッセルドルフより、
非日常的な日常の記録。

インセル・ホンブロイヒ美術館(ノイス)

2009年04月04日 | ちょっとおでかけ
すこし日常の雑事から離れて、透明な自然とアートが希望。
そこで、デュッセルドルフの隣町、ノイス(Neuss)にあるホンブロイッヒ芸術地区(Kulturraum Hombroich)へ行ってみることにしました。広大な自然の湿地、森林にアート作品が配置されているインセル・ホンブロイヒ美術館と、NATO軍跡地にできた安藤忠雄設計のランゲン美術館で構成されています。

ノイスの町自体へはデュッセルドルフから電車で10分ほどの距離ですが、この美術館へは一時間に1本ほどのマイナー路線のバスしか足がなく(しかも日曜日は運休)、たどり着くのが著しく困難です。気合いを入れて早起きをして出発。

川沿いの24haの広大な湿地帯の自然環境の中に、それ自体もアートである建物などが配置され、さらにその中に幅広い収蔵品が展示されています。(↓クリックでHPに飛びます)


早い時間なこともあり人がほとんどいません。曇り空に湿地にうっすらと霧がかかったようになって、静寂な知床五湖をそろそろと進むような雰囲気です。


歩いているだけで満足してしまいそうですが、最初の建物が見えてきました。


扉に近づいて、中に入ります。建物が景色と光を見事に切り取られて、まったく異空間に入り込んだよう。
 

こちらも同様。木々に隠された正面の実はうすい建物の中にも、意外な空間が広がります。
 

半分がガラスになっているので、風景が見えることは想像できるのですが、中から外を見ると、息をのみます。
 



いくつかの大きめ建物の中には、所蔵作品展示があります。レンガ造りの箱型倉庫のような建物の扉を開くと、展示空間が広がります。いつもと違うのは、案内図や作品の解説がないこと。モダンもクラシックも古代美術も、コンテクストがなく並んでいます。






どこからの出土品だと思いますが、その胴体からも出自からも、完全に切れた見せ方です。まるで遺物もモダンアート。どこから来たの?




周囲の自然を見事に切り取る建物と、コンテクストから自由なアート作品たち。そこにいる自分も、ここにいる経緯や理由というコンテクストなど関係ないように思われてきます。

すべての物事は既存のものとつなげることで、初めて意味を持たせることができ、いかに「make connections」(ワシントン研修時の先生の教えの一つ)するかが重要だとすると、コンテクストを失うことは何を意味するのでしょうか。
存在の消滅の危機なのか、それとも全く新たなコンテクストを生み出すことに”つながる”可能性になるのでしょうか?

などと考えながらカフェテリアに着いて、周囲の人の行動観察とスタッフへの聞き取りをしたところ、食べ物もコーヒーもどうやらフリー(無料、自由)!




ドイツではよくあることなのか?コンテクストはさっぱり分からないながら結果オーライ、ここでお昼にして(さらにりんごまで鞄にしまったりして)、次のランゲン美術館に行くことにします。

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