太陽光発電と合成石油による沖縄・宮古島電力事業
Posting in May 28, 2020
【修正情報】
周波巣 ー> 周波数
&Power Conditioner& ー> 「Power Conditioner」
ドウモ スミマセン
【補充情報 広瀬 隆『燃料電池・・・』】
出版元と発行年を記し忘れました。
広瀬 隆『燃料電池が世界を変える』
日本放送出版協会 2001年2月25日第一刷
《本題》
前号では、「マイクロガスタービン(MGT)」という出力100kW
クラスの小規模発電でカバーする人口規模の小さい離島電源
がテーマでしたが、沖縄県宮古島では周辺の離島への海底送電
をふくめ、かなり大きな発電所群で電力を供給しています。
このような離島の電力事業について、電力系統に特化する技術
雑誌『OHM』8月号(2018年)は、その目次に
[特集] 「離島の電力系統」 p.6-36
離島の電力系統とエネルギー政策
宮古島メガソーラー実証研究 沖縄電力
九州電力の離島における取り組み
島根県:隠岐ハイブリッドプロジェクト
ハワイにおけるREエネルギー100%に向けた取り組み
離島実系統による実証
を掲載してます。
この中で、沖縄電力の高原景滋氏は宮古島の電力系統を、
総需要電力:最大約58,000kW
内燃力発電設備:75,500kW
風力発電設備:4200kW
太陽光発電設備 実証研究設備:4,000kW
同 再エネ発電事業者19,211kW
(2018年3月末現在)
蓄電設備 NaS電池:4,000kW(7.2h)
リチウムイオン電池:100kW(2h)
(引用者注) NaS電池とは、米フォード社が発明した
電力貯蔵電池 大電力を貯蔵できるが、
常時、高温状態を保持する欠点を有する
日本ガイシが世界で初めて実用化に成功
日本の電力各社との共同開発
材料はナトリウム=Naと硫黄=Sなので、
資源は豊富
と伝え、さらに、
/// 同誌 p.10-
宮古島の電力系統および設備構成を図1に示す。
宮古島は沖縄本島から南西約300kmに位置し、人口約
55,000人、電力需要は最大58,000kW程度の小規模独立系統
である。供給電源は島の中央西部に位置する宮古発電所、宮古
第二発電所、宮古ガスタービン発電所の3か所の発電所で
ディーゼル発電機(DG)、ガスタービン発電機(GT)で構成され、
定格出力合計は75,500kW(DG合計60,500kW、GT合計15,000kW)
である。また、同系統には風力発電(WT)設備として島の北部の
狩俣地区にある宮古風力6号機(当社設備)と狩俣1、2号機(沖縄
新エネ開発(株)設備)、および島の南東部の福里・保良地区にある
サデフネ風力1、2号機(沖縄新エネ開発(株)設備)が接続されて
おり、WT設備の定格出力合計は4,200kWである。
この系統に経済産業省の「平成21年度離島独立型系統新エネル
ギー導入実証事業」の補助を受けて、太陽光発電(PV)設備4,000
kW、ナトリウム硫黄電池(NaS電池)4,000kWを導入し、実証
研究を行っている。
(以下略)
/// 引用オワリ
なお、宮古島の発電所を通じて、周辺の海域に点在する、宮古島諸島
を形成する、
池間島 いけまじま サトウキビ栽培 6,600ボルト橋梁ケーブル
大神島 おおがみじま 漁業主体 6,600ボルト海底ケーブル
伊良部島 いらぶじま サトウキビ栽培 22,000ボルト海底ケーブル
下地島 しもぢしま サトウキビ栽培 隣接する伊良部島より給電
来間島 くりまじま サトウキビ栽培 6,600ボルト橋梁ケーブル
にも給電している。ただ、宮古島の西方約55kmに位置する多良間島=
たらまじま、多良間島の北10kmに位置する水納島=みんなしまには
給電ネットワークに参加していないが、サトウキビ栽培は盛んであり、
前号で紹介のマイクロガスタービン発電で発生する余剰蒸気を利用で
きるメリットを活かすべきでは、と考えます。
しかも、宮古島諸島はサトウキビ栽培の歴史を持つので、そのバガス
炭由来の合成石油燃料によるガスタービン発電は国産エネルギーで
一貫した電力システムで構成されることをアピールできるでしょう。
さて、宮古島諸島の電源系統での電力需要は最大58,000kW程度なので、
米GE社の舶用ガスタービン「LM2500」を発電用ガスタービンに転用する
こと検討する。
LM2500 舶用2軸ガスタービン
ガスタービン定格出力 25,100kW 燃料:ナフサ
蒸気タービン 2基 単基出力 20,000kW
合計出力 65,100kW
の発電モジュールを構成できる。当然、将来はサトウキビの
搾り殻であるバガス炭由来の合成ナフサを使えば、中東の原油
相場に左右されない電力事業を構築できるでしょう。
しかも、LM2500というガスタービンの熱効率と熱消費率のデー
タから、本GTの定格出力=25,100kWを2倍も増力できる可能性
を指摘できます。そのために用意するサブシステムとして、自然
エネルギーの太陽光発電や風力発電を経済性の観点から導入する
ことにあります。
ここで、LM2500の仕様のうち、
燃料:ナフサ 燃料消費率:0.373ポンド/軸馬力・時
排気温度:565℃ 排気量:155ポンド/秒 熱効率:37%
熱消費率:6,860BTU/SHR-hr
を眺めると、
熱消費率:6,860BTU/SHR-hr
1BTU=252cal 1kWh=860kcal
より、
熱消費率:6,860BTU/SHR-hr=
6,860BTU x 0.252/(0.75kWh x 860kcal) =
1728.72/645=2.68kWh :出力1kWh当り
が得られ、出力1kWh当り熱量2.68kWhを消費することが分
かります。つまり、
1/2.68 x 100 = 37.3% :熱効率
の結果から、(2.68-1=1.68kWh)の熱量の相当部分がGTの
空気圧縮機の動力として消費されることを理解できます。
そこで、この空気圧縮機の動力を太陽エネルギーで代替す
ると、GT出力は、LM2500の場合、
25,100kW x 2 = 50,200kW
に増力できるでしょう。明らかに、燃料消費に変化はない
ので空気圧縮機の代わりに太陽エネルギーで高圧酸素を用意
するのは魅力的な方式と考えます。具体的には水の電気分解に
よる高圧酸素の生成や活性炭で大気の窒素を吸着して高圧酸
素を生成させる、などであります。
kt5muse in May 28, 2020