宗男日記から

ムネオ日記
２００８年６月２５日（水）
　安倍前首相時代につくられた「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」は、昨日報告書を福田首相に提出した。憲法解釈の変更や集団的自衛権行使、集団安全保障参加を訴えているが、福田首相は報告書を受け取った後のぶら下がりで「（解釈を）変えるなんて話をしたことはない。憲法は憲法だ」と述べたとされている。
　そもそも安倍首相の私的諮問機関としてスタートしたもので、安倍首相が辞めた段階でその役割を終えている。懇談会のメンバーにとっても、生産性のない、先行きの見えない話と知りながらの提言だったのではないか。同情してやまない作業であった。
　昨日の「竹島を語る集会」を地元紙が大きく扱ってくれている。竹島問題の世論喚起に向けて、少しは役に立てたのかと思う。
　９時２０分、出雲空港から隠岐空港に向かい、隠岐の島町役場、水若酢(みずわかす)神社、隠岐郷土館を視察する。午後は高速船で島前に行き、隠岐神社、黒木御所をお参りする。後鳥羽上皇、後醍醐天皇ゆかりの黒木御所跡でそれぞれの無念さを感じながら、いつの時代でも権力闘争があるものであると考える。
　行在所跡（隠岐神社　後鳥羽上皇）
　この地、苅田郷源福寺を隠岐の仮御所と定められた。
　ご不自由な明け暮れであったが、院の心の支えは「和歌の道」であり、多くの御詠をお残しになられた。
　又つれづれに都から刀匠を召されて自らも鍛刀をなされたとの伝えもある。
　柵内は、後世の本堂跡であるが、右奥には当時の井戸が残されており、今でも清水が涌き絶えることがない。
　御製
　　　　　我こそは 新島守る おきの海の あらきなみ風 心して吹け
これは、隠岐へ御遷行の折りの御詠と伝えられている。
　今回の竹島セミナーで、国として「竹島の日」を制定すべきであり、内閣府に担当部署を作るべきと改めて思った。
　私の質問主意書に対して、日本における領土問題は竹島と北方領土の二つであると政府は述べ、しかも「不法占拠」という厳しい表現を使っている。ならば竹島問題も、北方領土と同じレベルにすべきではないか。
　昨日の竹島を語る会で地元の人から、６月１６日、島根大学での外務省出前講座で総合外交政策局国連政策課の藤本健太郎首席事務官が講演し、「韓国には拉致問題で協力を得なければならないので、竹島問題では強く出られない」といった趣旨の話をしたと聞いた。何という考え、認識かと唖然(あぜん)とする。
　拉致も領土も一緒で、国権が侵害されているのだ。このことをなぜ外務官僚がわかっていないのか不思議である。
　私が質問主意書で、竹島問題を広く国民にわかってもらうためにも、北方領土問題の広報冊子「われらの北方領土」の様なものを、竹島問題についても作るべきでないかと提起したが、外務省の答弁書は、全く消極的でやる気のないものだった。しかし、実際にはこっそりと「竹島問題を理解するための１０のポイント」というパンフレットを作っている。姑息というか、心がないというか、ウソつきに良い外交は出来ないとつくづく思う。
　このパンフレットが、なんと島根県庁の竹島資料室にはたった１５部しか外務省から送られておらず、県の方でコピーしておいているのが実態である。外務省が実際には何もやっていないに等しいということを、是非とも読者の皆さんにはよく知っておいてほしい。
　私は北方領土問題、併せて竹島問題の解決の為に、私の与えられた環境の中で最善を尽くして参りたい。国家の名誉と尊厳の為にも、しっかりと取り組んで行きたい。
　隠岐領土館に「竹島の石」が飾られていたので、説明文を載せておきたい。
　竹島の石
　明治時代、町内久見（旧五箇村久見）在住の橋岡友次郎氏、池田吉太郎氏ほか地区内の有志が竹島に出漁、アシカや海産物を採取していたが、明治３８年（１９０５年）１月２８日、日本政府は、正式に「竹島」と命名、隠岐島司の所管となった。
　大正時代後期から昭和初期（１６年１２月勃発の太平洋戦争まで）にかけ、後継者・橋岡忠重氏は、伯父の八幡長四郎や従兄の池田幸一氏と竹島出漁を毎年継続し、実施していた。
　展示の石は、昭和１０年ごろ出漁した際、橋岡忠重氏が持ち帰った「竹島の石」の一つを義甥の脇田茂氏に土産として届けたもので、爾来、茂氏宅の庭石として設置されていたものを、この度、氏の篤志により隠岐の島町に寄贈戴いたものである。
　松江でセミナーをし、隠岐島に渡り、様々な資料を拝見し、まさに「百聞は一見にしかず」であることを実感した。同時に、竹島の歴史的事実、また、外務省の不作為をしみじみ感じたものである。
鈴 木 宗 男
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