10月になって、アーティストのマネジメント・ミスと愚かさの極みのような商業戦略が、常識的な判断に勝ったとしか思えないことが起きた。RCAが廉価盤シリーズ「Elvis Sings Hits From His Movies」の第2集を発売したのである。
「Burning Love And Hits From His Movies Vol. 2」と名付けられたその新譜は、それなりのヒットを記録したのだが、シングルB面の「It's A Matter Of Time」を除いた他の収録曲は、古ぼけた(何年も前にレコーディングされた)サウンドトラック曲だった。
このアルバムは、既にそれらの曲を手にしていた本当のエルヴィス・ファンへの侮辱になっただけでなく、アーティストにとっての深刻なプレゼンテーション・ミスともなった。
RCA は、このアルバムには幾つかの「業界初」があると自慢げに宣伝したのだが、ファンは、レコード会社のみならずエルヴィスまでもが、最新のヒットチャートに姿を見せているシングル曲と倉庫に眠っていた古くさくシングル曲とは何の関係も無い曲を抱き合わせにした廉価版アルバムを発表したかったのだと受け取りそのことに最も大きな驚きを覚えた。
2月と3月のレコーディングを組み合わせた創造的なアルバム「Standing Room Only」は、発売されていたらプラチナ・アルバムになっていただろう。しかしそのアイデアは、思いつき以外の何ものでもない企画によって葬られてしまった。
「Burning Love And Hits From His Movies Vol. 2」がそれなりのヒットを記録したので、RCAは性懲りも無く、次のシングル「Separate Ways / Always On My Mind」を使って、同じコンセプトのアルバムを発表した。ただし、今回は、ファンを魅了する「Hits From The Movies」はタイトルから外された。
これらキャムデン盤のヒットは、他の二流アーティストであればそのキャリアを終わらせてしまうような、創造性のかけらも無い企画でも成功に導くことが出来るエルヴィスの才能を証明している。
今ようやく、成るべき姿となってアルバムが発表されたのである。
このアルバムは、オリジナル企画の段階では純然たるライヴ・アルバムとして計画されていたのだが、プロデューサー達がある論理に固執した結果内容が変化し、そのコンセプトは、スタジオ録音を含んだアルバム「That's The Way It Is (オン・ステージVol.1 )」にそっくりなものとなった。
このように結論付けることが容易になったのは、近年アルバム資料が発見されたからである。
この資料にはRCAの曲目リストが含まれており、それらの曲には「新たなアルバム・ジャケットが用意されたら」という但し書きが添えられていた。
FTD盤「Standing Room Only」のジャケットには、完成されることの無かったアルバム用に考えられていたオリジナル・デザインを使用した。
翻訳(1/4) 翻訳(2/4) 翻訳(3/4) 翻訳(4/4)(終)
「Burning Love And Hits From His Movies Vol. 2」と名付けられたその新譜は、それなりのヒットを記録したのだが、シングルB面の「It's A Matter Of Time」を除いた他の収録曲は、古ぼけた(何年も前にレコーディングされた)サウンドトラック曲だった。
このアルバムは、既にそれらの曲を手にしていた本当のエルヴィス・ファンへの侮辱になっただけでなく、アーティストにとっての深刻なプレゼンテーション・ミスともなった。
RCA は、このアルバムには幾つかの「業界初」があると自慢げに宣伝したのだが、ファンは、レコード会社のみならずエルヴィスまでもが、最新のヒットチャートに姿を見せているシングル曲と倉庫に眠っていた古くさくシングル曲とは何の関係も無い曲を抱き合わせにした廉価版アルバムを発表したかったのだと受け取りそのことに最も大きな驚きを覚えた。
2月と3月のレコーディングを組み合わせた創造的なアルバム「Standing Room Only」は、発売されていたらプラチナ・アルバムになっていただろう。しかしそのアイデアは、思いつき以外の何ものでもない企画によって葬られてしまった。
「Burning Love And Hits From His Movies Vol. 2」がそれなりのヒットを記録したので、RCAは性懲りも無く、次のシングル「Separate Ways / Always On My Mind」を使って、同じコンセプトのアルバムを発表した。ただし、今回は、ファンを魅了する「Hits From The Movies」はタイトルから外された。
これらキャムデン盤のヒットは、他の二流アーティストであればそのキャリアを終わらせてしまうような、創造性のかけらも無い企画でも成功に導くことが出来るエルヴィスの才能を証明している。
今ようやく、成るべき姿となってアルバムが発表されたのである。
このアルバムは、オリジナル企画の段階では純然たるライヴ・アルバムとして計画されていたのだが、プロデューサー達がある論理に固執した結果内容が変化し、そのコンセプトは、スタジオ録音を含んだアルバム「That's The Way It Is (オン・ステージVol.1 )」にそっくりなものとなった。
このように結論付けることが容易になったのは、近年アルバム資料が発見されたからである。
この資料にはRCAの曲目リストが含まれており、それらの曲には「新たなアルバム・ジャケットが用意されたら」という但し書きが添えられていた。
FTD盤「Standing Room Only」のジャケットには、完成されることの無かったアルバム用に考えられていたオリジナル・デザインを使用した。
CDの見開き右側に載せた写真(→)も、ジャケット前面候補として考えられていたものである。 このような話の流れにみなさんは同意できないかもしれないが、1枚のアルバムに収められたこれらのマスターテイクは、1972年春にエルヴィスが身を置いていた音楽状況を我々に思い起こさせてくれるのである。 この後16ヶ月間、エルヴィスがレコーディング・スタジオに足を踏み入れることは無かった。 |
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「Burning Love And Hits From His Movies Vol. 2」と表現されていますけど
上のジャケットを眺めたら
「Burning Love And Hits From His Movies」なんですね。
第1弾は「Sings Hits From His Movies Volume 1」と名付けられていたのに
第2弾のジャケットからは「Volume 2」の表記が削られていた・・・
ライナーノーツでは、LP「Separate Ways」のタイトルから
「RCAの反省」が見られたような話になっていますけど
また疑って読まなければならないライナーノーツとなりました
>第2弾のジャケットからは「Volume 2」の表記が削られていた・・・
ライナーノーツの筆者がこの事実を知らなかったとは考えにくいですから
何らかの意図があって「Volume 2」と表記したとしか思えませんね。
ライナーノーツを疑って読まなければならないというのは
書く側読む側双方にとって不幸なことだと思います。