小関順二公式ブログ

プロ野球、アマチュア野球、野球史

五輪のために神宮球場を差し出せとはとんでもない妄言

2016-04-13 08:50:34 | 主張

 正直、すべてにおいて国際大会が優先するという昨今の考え方が嫌いだ。WBC(ワールドベースボールクラシック)やオリンピックが重要なのはわかるが、プロ野球ならその前提にあるリーグ戦がまず優先されるべき。ヤクルトの本拠地、神宮球場を2020年のほぼ1年間、五輪のための資材置き場に使うから貸し付けろ、とはそういう野球の経済的基盤を無視した役人的発想で、極めて腹立たしい。

 日本で最初のプロ野球チーム、日本運動協会の本拠地・芝浦球場が1923年の関東大震災のため内務省と東京市に徴発され、救援物資の集積場にされてしまったことがある。今回の騒ぎで真っ先に思ったのがこのこと。芝浦球場の借地権は1年残っていたが、役人の力が伸長していた時代で、また野球は当時“賤業”とみなされていたので「返せ」と強く出ることができなかった。球場を失った日本運動協会は試合ができなくなり、翌19241月に活動を中断。その後、同協会は阪急電鉄に引き取られ、「宝塚運動協会」の名で活動を再開するが、国や役人が出張ってくるとろくなことがないというのが、私がプロ野球を考えるときの基本的な認識である。