さて,MRIでは,試料(人体)内の位置を識別するために,勾配磁場を使います.
勾配磁場というのは,静磁場方向の磁場が,位置(x,y,z)と共に変化するものです.MRIでは,その中でも,位置の変化に対して比例して磁場強度が変化する,線形勾配磁場を使います.
MRIでは,わざわざ「線形」勾配磁場とは言いませんが,勾配磁場と言えば,線形勾配磁場のことです.
勾配磁場(gradient field)は,傾斜磁場とも言われますが,勾配磁場の反転によるエコー信号は,勾配エコー(gradient echo)といわれ,決して傾斜エコーとは言われません.ですから,傾斜磁場という言葉は,あまり感心しません.
なお,特許庁の特許用語には,勾配エコーという言葉は,きちんと定義されていますが(傾斜エコーという言葉は存在しない),国内では,グラジエントエコーという,奇妙な外来語が使われています.