Aquascooter Maintenance for Spearfishing アクアスクーターで魚突き 全76回

使いこなそう、アクアスクーター整備ノートby KosakaNatsuki

**全76回で終了済み**

Blog 第22回 改造部の試用結果、八丈島の規制? 他  =小坂夏樹=Modification Results

2015年06月28日 | マニュアル
今回は前回第21回ブログに書込んだ内容の検証が中心です。

1、改造スノーケル使用結果

第21回で紹介したOリング式スノーケルは、4で紹介する八丈島の海では問題無の筈だったが、曳航しているボードから降ろす際或いは、波でボードから落とされてしまった際にスノーケル頂上から多少浸水することが「覗き窓」で確認できた。これは今までもあったことで、仕方がない。

実際には空気タンクにかなりの浸水があっても普通に使っている分には問題無いことは経験済みだが、完璧を求めるなら、以前紹介した軍艦島撮影の故・柿田清秀氏の様にスノーケル根元に手動の弁を取付ける手がある。HPは無くなったが、彼を追悼しているHPに写真があり、拡大して見れば様子が解るだろう。なお、バックミラーも取り付けられている。http://blog.goo.ne.jp/o-project/e/fe4e7d4af24165899f6e08ecda368f57

また、タンクキャップを予め紐などで本体に縛り付けている者もいるようで、海上で必要に応じてスノーケルと交換して密閉することも出来る。

また、大物に引き込まれて浸水するのを防ぐには、フロート弁の付いたダイビング用の「ドライスノーケル」が簡単に利用出来そうに見える。サイフォン部を取外して本機スノーケル頂上にはめ込むだけでなんとかなりそうだが。

私は過去にイソマグロに全てを引込まれた経験から、浪人鯵などを狙う場合は本機の曳航ロープを外し、ボードに載せるだけにしている。本機だけは残るように。


その後、海で再始動が出来ず、空気室には少しばかり浸水しており、スノーケル基部から浸水かと心配したことが1度あった。
実はこの時は少量だがエンジン内部に浸水していた。多量に浸水すればスタータロープが引けなくなるからすぐ判るが、少量だと引くことは出来るのに、プラグは塩水で濡れて始動しない。
原因は単純なもので、排気ホース接続部からの浸水だった。ホース接続部のホースバンドが振動で緩み、更に梵天替りのボードに載せたり降ろしたりしているうちに、ボードの網に引っ掛かって外れかかっていたのだ。ホース径と接続部の太さ、固定方法などの再検討が必要だ。


なお、島の知己で船外機整備のベテランによると、私のスクータは、スノーケル・排気ホースとも太くして効率を良くするべきだとのこと。
また、2重になっているプロペラシールは背中合わせにして挿入するのだという。理由は、同じ向きでは作動上の性質が同じ傾向となって、漏れるからとのこと。

別の島の専門家からも、少なくとも船外機のプロペラシャフトシールは背中合わせにすると聞いた。

しかし以前勝手に紹介した船外機整備のHPでは2個共に外向きにしてあり、何より、ヤマハ船外機パーツカタログを見ても、2個共同じ向きに揃えてある。
Comer社のパーツリストではどちらなのか判読できない。


・・・・シールはどちらも外向きが当たり前と考えていたが・・・・さあ困ってしまった。

そこで例によってイタリアの PescaSubApnea のフォーラムを探した結果、ベテランの Paolo 氏によれば、やはりシールは「2個とも外向き=プロペラ側にする」となっていた。
この点は私にはまったく判断ができない。常識?に反し、敢えて違うという専門家が居るというのはなぜだろう。

アクアスクータでは、クランク室の脈動圧がメインシャフトシール越しにプロペラシールに掛かる可能性がある。しかし船外機では、プロペラシールには内部からエンジンの圧力は掛からない。この辺りに考慮すべき事が有るのかもしれない。
この点は更に情報収集中だ。


2、空気室覗き窓の使用結果

ボンドSUでポリカーボネートを窓材として接着した部分の水密性自体は問題なかった。
覗き窓のお蔭で、上記の通り少しでも浸水するとすぐ判別できて大変便利だった。

しかし当初より心配していたのだが、小さな窓だけでは内部が水なのか空気なのか判断できない時がある。もしかして覗き窓より高いところまで浸水しているのだろうかとしばしば心配になった。
こんな不安を解消すべく、近日中に上部赤色部に大きめの覗き窓を付ける積りだ。

空気室・燃料タンク部全体を同一素材の透明材にすればこんな改造は不要で、大変使い心地が良いのだが、そんな製品は出されないものだろうか。成型条件も変更する必要なく、難しいことはない筈だが。





3、前回紹介した、離島の仲間によるスーパーマグナム水没整備で交換した部品

必ずしも交換の必要はないが、折角分解したのだからと、これらの部品は新替した。




メインベアリングは傷んだ感じは無いが、グリスが白っぽく、水分が混入している。カバー付の前側メインベアリングは内部の状態は不明だ。


メインシャフトのオイルシール。



プロペラベアリング



コンロッド小端部のベアリングは滑らかに動くが細かい傷が多い




左側2個はプロペラシールで、特に異常とは見えないが、水は侵入していた。この事から上記1の話題に繋がるのだが、このプロペラシールを2個共同じ向きで嵌めるのか、背中合わせにすべきなのかで疑問があるという次第だ。

右は前面にあるスタータシャフトシールで、前回600形の分解時にはこの部分のコイルスプリングが錆切れていたが、本機では錆もなかった。スプリングの材質がステンレス系の物なのか、それなら安心だ。なお、ステンレスでもSUS304以外の材質は磁石にくっつくので簡単な判断は難しい。




4、八丈島遠征

黒潮が当たったり外れたりと水温の変動が激しかった6月の八丈島は、岸壁からの流し釣りで30kg級カンパチが釣れていたりと、大物回遊魚狙いに絶好だったが、やっと遭遇した15kg級カンパチを1度ばらした程度だった。
その他三宅島、式根島、神津島なども冷水塊と濁りで低調だったようだが、大島では仲間が19kgのヒラマサを突き獲っている。

今回の遠征時は前に紹介したヒップハーネスを持参し忘れ、ペットボトルに紐を巻付けて急造したりしたが、移動距離が長くなると、これも第18回ブログで紹介済みの、アクセル固定金具が欲しくなる。何とか工夫してみる気になっている。

ところで、たまたま開いた「八丈島観光協会」のHPに突然
「魚突きルール5か条」
というのが役場、漁協、観光協会の名前で掲載されて大いに驚いた。これを目にしている諸氏にも是非一読を薦める。
http://hachijo.gr.jp/pdf/h27yugyo_rule.pdf

これによると、魚突人のせいで怖い思い、迷惑しているダイバー・釣人が居るから、人気の場所では自粛せよというもの。これでは、一方的に魚突人は悪く、怖いものだと印象付ける内容になっている。
我々魚突きも釣鈎やらダイバーのゴロゴロ転がるタンクには危ない思いをさせられる。
何よりも、ここでは「海は皆のもの」という視点が全く欠けている。

その上、エビ、トコブシ…を獲るなとある。エビを狙って夜釣をする者、BCのポケットにトコブシ等を隠すダイバー、何でも獲る海水浴客・・・・それには触れずに、独り魚突きだけがこうした漁業権違反をすると決めつけているようなものだ。ますます悪印象が拡がってしまう。


こうした「ルール」の法的効力は不明だが、作ってしまえば 独り歩きして 大問題になりかねない。どこへ行っても魚突きは悪い奴らだと思い込むダイバーなどから罵声を浴びたり、実力行使をされたりする恐れがある。
ダイビング業者もこのルール策定には絡んでいるというが、彼らによって、普段から迷惑を受けている我々魚突人としては、承服しがたい文書だ。

更には、一般人から見たらプロかアマか見分けがつかないので、銛突きの職漁師でさえも邪魔されたり、大いに影響を受けるはずだ。しかし現地では彼ら自身さえもが全く知らない「ルール」とのことだった。

三宅、大島と魚突きをあれこれ規制しはじめているが、こうした動きからすると、伊豆諸島全域で魚突きを禁止したいとの思惑が、どこかで強くなっているようにも感じる。


これに対しては、取敢えず意見書を送信するなどし、仲間にも呼びかけている。
読者諸氏にも申入れなどをお勧めするが、それでも、魚突きの側も悪印象を持たれぬようそれなりの自覚は必要だろう。私などは年齢的にあと10年も魚突きが出来れば御の字だが、若い仲間はそうはいかない。千葉、神奈川、静岡県並みに漁業調整規則改悪・東京都全域で魚突き禁止などとならぬよう、監視して行きたいものだ。


東京都がアウトとなれば、関東地方ではどこも魚突きができなくなってしまう。

以上


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