日々のメモ帳

日常生活での、ちょっと気になった事や、面白かった事などメモしていきます。

マンション/管理組合/『老い』への対応

2017-03-07 10:39:18 | マンション管理
今日も『Umidass』さんで机を借りている。
現在マンションの理事長を引き受けており、この任期もあと少しとなり、定期総会へ向けた資料整理など、家では時間の区切りができないためしばらくここで作業を行う事とした。

理事長の職務は完全定年後でないと無理と思い、昨年役員選出時固辞したが、周りからの慰留でしぶしぶ引き受ける事となり、いったん受けると、あれもこれもと独りよがりで走り出し、周りの理事さんへは大変ご迷惑をおかけすることになった。
理事の任期は2年であり、最初の1年ははお手伝いのつもりで、過去理事の時代に関わった修繕関係を担当し、さらには、アンケート委員会へ担ぎ出され、マンションの現状や、長期での問題点が明確に見えてきたため、この点での思いも強くなり、思いだけで進めてしまった感がある。
先週末に開催の理事会で、ある理事さんの『来年度こんなことできるか』とのご発言が、このマンションを代表しているかとも感じ取れ、独りよがりで進めてきた事の責任もあり、時間もできたため、まとめだけは確実にとの思いである。

この中で、新聞にも何度か記事が出ているが、当マンションも『マンションの老い』の課題があり、これへの対応が最重要課題と小生は考えている。
この『キー』を、誰かがまじめに考えなければならないと思うが、理事を受けてもらえる方の年齢構成も、高齢の方であったり、会社で忙しく働かれる現役世代の方であったりすると、『自分の家を守る』という事での議論が少し遠のいてしまい、さらに長期で事象を見る事も難しく、この『老い』への検討も遅れてしまう可能性がある。この点をいきなり進めようとしたことに対し、議論がかみ合わず問題があったように思える。

もう少し整理のため、マンションの『老い』の話を進めると、最近3つあると言われている。
一つ目は、当マンションの課題でもある、建屋を含めた『建屋の老い』・『設備・設備の老朽化問題』である。

現在小生が住んでいる所はバブル直前に竣工し、築後30年となったが、人間の年齢では、2回の大規模修繕を済ませると50歳~60歳位と言われており、これから老年期に入り、経年劣化と共に、排水管の詰まりなど、インフラの不具合が起こる可能性もある。
建屋躯体や鉄部の塗装など、大規模修繕で計画をされている工事に加え、もう一つ、長く生き延びるためには、給排水と汚水関係も重要な長期での工事計画である事を、今回理事を引受けた事で新たに知りえた。

通常のマンションでは、台所やお風呂の水が流れる排水(雑排水)関係は、年1回の定期清掃が行われているが、30年も経つと配管へコレステロールのような異物が付着したり、最下部の居宅下では、排水管が破れて漏水している可能性もあり、点検費用はかかるが、人間ドック的に精密検査を行い、この結果を基に予防保全的な補修も有用との事が判った。
当マンションでも、インフラ整備の前段として、一昨年排水管のスコープ検査を行い、昨年度、緊急性が高いと認められた不具合箇所の改修を行ったが、マンションの床下を専用庭から掘削しての大工事となった。残りの不具合箇所についてもここ数年の間で工事は必要となるが、新たに雑排水管改修に加え、生活で必要な水を供給する給水(上水)管の整備も、現状の長期修繕計画では入っているが、早急な検討の必要性が出て来た。

当マンションの管理会社が策定した長期修繕計画での給水管改修は、金額だけが提示されてはいるが具体的工事内容が不明であり、今年度詳細の確認に入る事とし、図面で給水管経路の確認を行った。この結果、この当時のマンションに共通している事らしいが、給水配管は最下階のコンクリート廊下の中へ埋設されていたり、1Fの専用庭から床下を通り反対側の廊下へ出る経路となっているなど、取り換えが難しい事が判明した。このため、現行と同じような仕様で取換工事を行うとなると、廊下の開削や、住戸床下の掘削など大規模な工事となるとの事。一方で、簡単に模様替えするのであれば、地中を通さず建屋から露出させての工事方式もあるとの提案もあるが、廊下へ配管が露出し見栄えの点で問題があり、資産価値の低下も危惧される。
この事例のように、マンションの修繕計画は、管理会社が出入業者提示の工事内容を基に策定はされているが、内容的には単品ごとでの工事内容となっている場合が多く、管理組合として内容を咀嚼し、費用対効果、資産価値でのありかた等を十分精査していないケースもあり、このまま鵜呑みで進めると、いきなり何千万もの工事を総会で承認する事となり、むだな工事に入ってしまう可能性もある。
このあたり『施設の老朽化』に対して、どのくらい管理組合として前向きに噛み込めるかが『課題』かもしれない。昨今、管理会社としても、設備対応でのアドバイスでの業容拡大や、マンション管理士などのコンサルタント委託もあるが、『自分たちの資産』として捉えてもらえない限り、長年での維持は難しいいのではとも感じている。

二点目の老いの課題は『人の老い』・『高齢化問題』である。
当マンションも入居後30年が経過し、マンション購入時は最前線で働いておられた方もリタイアされ、入居者の半数の方が60歳以上を占める高齢マンションとなりつつある。
この時に入居した子供たちも、小学校が各学年一クラス増設されるくらいの多人数であったが、今や30代後半から40代となり、管理組合設立時に掲げた”自然あふれる、孫たちが遊びに来れるマンション”を今も維持出来ているためか、同居されたり、同じマンション内へ住まわれている方もおられ、区分所有者の『高齢化』と共に、子供、孫への世代交代の過渡期になり始めている。あわせて、『高齢化』や『独居』でマンションでの生活が難しくなった方は、居宅の売却や賃貸をされる事も行われるようになり、入れ替わりに入居される方々が、『マンションのしくみ』や、今までのこのマンションとして築きあげて来た『よき歴史』に対してご理解。ご協力を得る事や、逆に『新しいい考えを吹き込む』事の必要性も、この『高齢化』対応の課題として考えておく必要がある。

『高齢者』が増えることの議論を、そのあとどうなるのか、どういう問題が出そうなのかを管理組合として議論が出来ればいいのであろうが、前項で記載の長期修繕での課題を含め、もう少し長期での姿、例えば永住の意識とか、年齢が5年、10年といったスパンでの推移したときの起こりうる事象を推測してみる(例えば、車返上、買物不能老居宅増加。)と、ここからの設備対応の変更も必要となる事が見えてくる。一方で若い方も増加する可能性があり、この方々に対応した設備の見直しも出てくる可能性があり、マンションとしてのビジョン作りが重要となり、これができないと資産価値の維持はできないかと思われる。

確かに年齢だけを考えると小生も、次の理事を務めるのは、命が続けばの仮定であるが、20年後、年齢は85歳である。さすがにこの年になれば、体も頭も矍鑠を維持できるかは保証出来ず”よぼよぼ”で、理事会のお荷物になる可能性もある。こうなると、理事会に出て下さいと言われても、耳は遠い、文字は読みにくい、発言もおぼつかない、さすがに無理ですと回答するしかない。たぶんこのまま『高齢化』が進み、体だけが元気な理事さんがおられても、理事定年制の議論や、場合によっては、輪番先回しでの理事引受け対応なども、手立てとしては考えられるが、あまり長い間連続で役員を続けると、理事長独裁などの弊害も出てくる可能性もあり、これらも、若手の方々とのビジョン作りが重要なのかとも考える。

この中で少し切り口を変えて『高齢者』とマンションとの関係についてもう少し考えて見た。
まず最初に、一般的なマンション管理の事例では『高齢化』で、理事の引き受け手がいなくななる問題が言われているが、当マンションではある程度引継ぎのルール化がされており、現時点では比較的スムーズな交代が出来ていると思われる。
ただ課題事項として、30年も経つと、輪番で理事に選任されるため、理事経験の方が多くなり、過去役員を務められた方は、後進のためか、主役職を辞退される事もあり、理事会運営面では課題が出てきている。さらに最近の事情として、ご高齢の方がご子息などと同居され始め、区分所有権を移さる場合もあるが、この非区分所有者の方は、過去何度か理事を経験されたベテランであり、管理組合へも協力的なため、理事会への理事としての出席や、マンションに日常おられることでの修繕関係の業務等をお願いしたい事もあり、管理組合運営面でも規約改正を含め新たに検討すべき事項も今後出てくるのではと思われる。

二点目として、身体面での昨今の『高齢者ドライバー』問題がある。マンション内での事故と共に、『敷地内駐車場』を保有の場合は、高齢に従い『免許返納』を受け駐車場契約解約が進み、駐車場使用料徴収額減での管理費不足も深刻になるのではとも思われる。特に立体駐車場など維持費がかかる設備を保有の場合は、資金不足に陥る可能性が大きいかと思われる。
当マンションは、幸いにも外部借用契約のため、契約破棄での影響は少ないと思うが、駐車場用地が空くことで、隣接してマンション建設や、商業施設への転用されるなど、当マンションの資産価値が下がるような事態も想定され、この点でも長期にわたったマンションの資産価値維持策の課題であり、この事象についても、現駐車場使用者の年齢構成構成を基に次のステップをどう考えておく事も、『マンションの老い』を『高齢』と言う切り口で見ていく事例として重要なのではとも感じている。これらの事は入居者の問題であり、管理会社やマンションをコンサルタントする会社からもあまり出てこない事項である。

三点目は数面前から耳にしはじめた言葉であるが、『限界マンション』なる言葉である。
『限界マンション』の定義が不明確であるが、管理機能が不完全のマンションで、資産価値が下がり空き家が目立つマンションとの事であり、立て替えすら出来ないマンションが問題視されている。必ずしもいま議論している『高齢化』と結びつく訳ではないが、資産価値の維持をどうするかを『高齢化』という『キー』を加えて捉えておく必要があるかと考える。

小生も今年から年金生活が始まったが、マンションの場合、住民税や固定資産税に加え管理費と修繕積立金が必要となってくる。一戸建てに住んだ事がないので暴論化もしれないが、住戸周りの清掃や、雨漏りを我慢して補修しなければ、家の維持費としてはマンションに住んでいるような定額の出費はなく、マンション生活を快適に維持するための必須出費を年金の中からどう工面するかが思案どころである。

この中で古くなって来たマンションは、インフラを含めた建屋を維持するため、先に述べた大規模な排水管工事や定期的な外壁塗装が必要であり、このための資金を準備する必要があるが、工事費用も資材、人件費も高騰で増加する傾向にあり、積立金で不足してきた分は、積立金値上げや一時金として徴収する必要があり、年金枠で生活をする人に取っては、死活問題となってくる。
ネット情報に出ていた『限界マンション』の記事では、古くなったマンションを維持するために修繕費を増額しようとしても、一つの要因として『高齢化』で自己資金不足が不足し、反対や、さらには滞納が発生し十分なマンション内の設備維持が出来ず、設備が古くなり、老居を売却する際に新しい買い手がつかなかったりすることで、空き室が多数発生しているとの事が掲載されており、さび付いた郵便受けのマンションの写真などが出ている。

先に述べた一戸建てと違い、マンションは鍵だけを閉めれば固有の空間ではあるが、今後高齢化がさらに進むにつれ『独居』も増えるものと想定され、これらの方々が『資産価値』の判断できなくなってくると、『ゴミ屋敷』『孤独死』など、今社会現象として言われている問題が『マンションの老い』としても加速し、資産価値が低下すれば『限界マンション』になる可能性も出てくるかと考えられる。

まだまだ『限界マンション』についての十分な知識は得ていないが、資産価値を落とさないことも重要な因子と考えられ、このためには適正な建屋保全や日常での管理維持が必須であるが、一方で『高齢者』の財布にやさしい管理費の検討や、費用対効果を十分に検討した修繕工事を行う事でムダを削減するなどの努力が、管理組合へも求められるのかもしれない。逆の言い方をすれば、最近は『マンションは管理を買え』とあまり言われなくなったが、管理は管理会社でなく、長年経過したマンションは『管理組合』の運営なのかもしれない。
このためにも、マンションとしての長期でのビジョンを決めていくことは重要であり、ここから資産維持するために管理をどうするのか。さらにはコミュニティとして、高齢入居の方々へのライフサポート活動や、自治会活動としての『高齢者』助け合い組織の強化なども必要であるかとも考える。

この議論がきっちり行えないと、管理組合として基本となるマンションの維持管理、長期修繕計画が厳密に遂行出来ず、例えば、管理費不足から安価な管理会社へのシフトで、掃除不行き届きのマンションで資産価値が低下したり、修繕積立金が不足し、大規模修繕工事での値上げや一時金の徴収などが必要となった場合、『資産売却』を急がれたり、賃貸をされている場合は『家賃値上』も必要となり、この『高齢者』から出てくると想定される負のスパイラルが『限界マンション』への道を加速させてくる可能性もある。

いずれにしても、『誰が』『自分の家の問題として』『周りの人へもきっちり思いを伝え』マンションのありかた。ビジョン作りが出来ないと、ゆくゆくは、管理不行き届きの、アパート化、スラム化、『限界マンション』へ転落する可能性は出てくるが、この思いは『高齢者』では理解が難しく、若手には縁遠いことかもしれない。

最後の『老い』は『マンションの管理人の老い』という事らしい。
先般当マンションを管理している会社の役員の方と面談したが、新規の管理人さんが来て頂けないので困っており、募集広告は年中継続して出しているとの事。
その理由を聞くと、やはり管理会社で働かれている方は、労働の割には賃金が低く、さらには管理人となると、住込での24時間対応や日勤でも勤務時間が拘束されるとの事で、採用して教育まですませても、なかなか定着しないとの事であった。
小生も定年後暇なので時間つぶしにと、JOBサイトへ応募すると、すぐに日勤管理人としての案内通知が飛び込み、数日おきに違う物件での案内が来ているが、採用条件を問い合わせると、週内4-5日、9-17時勤務で月8万円程度で、昼食時費自費負担。交通費2万円までとか。小生があまり世間知らずだった事もあり、時給を考えると厳しいい職環境に驚きであった。あわせて勤務内容も、表向きは窓口業務となっている、業務の大半はゴミ収集後の片付けや、館内の清掃業務であり、なかなか仕事の内容も大変そうである。
この求人のように、管理会社がマンションの業務を任せる人材も、長年勤めてがいるベテランの方が『高利化』してきており、引き継ぐ少し若手も定年過ぎの人間では、『マンション管理人も老い』となっており、これまでに述べてきた『マンションの老い』を一緒に考えていただく事もむつかしいのではと思われ、パソコンなどの事務処理を考えるとさらに限られた人材になってくる可能性もある。
逆に、管理会社の本社側のスタッフも、若手は入っては来られているようであるが、管理組合とお付き合いするには資格取得が必須であり、このための勉強や、夜間、休日に理事会へも出席ることが求められ、3Kブラック企業並みで、長続きして仕事をしてもらうには難しいのかもしれない。あわせて、『高齢化』した理事会で、おじさんたちの相手をすることの方がもっと大変なのかもしれない。

いずれにしても、どこかで『マンションの老い』を活性化させるさせる必要があり、管理会社の若手社員が、年老いたマンションの一部の若手理事と手を組んでいただき、『今後のマンション管理はこうあるべきだ』『ビジョンをこう作り上げよう』などの先導を切って頂ければ
『限界マンション』になる前に意識改革が出来るのではないかとも考えている。

とりあえず今日はここまで。







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