北の森から眺めてみれば

北海道に移り住んで十数年。ここから眺めた身近な世界、遠い世界の出来事をつづる日々雑感。

国会議員の特権

2006-10-07 | 政治・経済
有田芳生氏のブログより(編集)

「タイゾー君」「ゆかりちゃん」が住む豪華な赤坂宿舎

 10月5日(木)「ザ・ワイド」の「有田が行く」で国会議員宿舎の異常な特権を取り上げた。
赤坂新宿舎については2002年1月18日の議院運営委員会庶務小委員会で建築予算が決まった。自民党から共産党まで賛成で議論はたった3分。「異議なし」の声で終っている。茶番だ。民間で建築すれば土地代をふくめて約500億円。国有地だから安くできるというのが衆議院事務局の回答だった。国会議員という利益共同体のもとでの私物ではないからには、国民の税金で建築される宿舎はもっと簡素でいい。あるいは家賃は民間並に払うべきだ。来年2月に完成予定の宿舎は3LDKの82平米。スカイラウンジ、スポーツジム、診察室付きである。赤坂の一等地だから民間ならば家賃は最低でも60万円はする。ところが国会議員はそこに10万円弱で住めるのだ。しかも駐車場もついている。赤坂では駐車場でも5万円はすると不動産屋は語っていた。

 アメリカでもイギリスでも議員宿舎など存在しない。フランスでは会期中にホテルを借りるが、それも自費で支払うことになっている。韓国では5年前に議員宿舎を造る計画が持ち上がったが、世論の強い批判に断念せざるをえなかった。台湾には議員宿舎があるが、ワンルームで全員が入れるわけでもない。国際比較をすれば日本の国会議員の特権は異常だ。

 議員活動のために宿舎は必要だというが、自らマンションを購入する議員もいる。たとえば岐阜選出の野田聖子議員は都内にローンで購入した。「あんな豪華な宿舎に入るのはおかしい」という判断だった。政治家は違和感や後ろめたさなしに赤坂宿舎に入るのだろうか。「タイゾー君」や「ゆかりちゃん」はもちろんここで暮らす。どの党の誰が入居するのかを明らかにする必要がある。民主党の河村たかし議員が国会でこの問題を取り上げたとき、議場からは「小さな問題だ」との野次が飛んだ。この程度の感覚なのだ。国民生活から大きく離れた議員特権を問題にすることが「小さい」というのだから、もはや論外だ。議員が「格差是正をしなければならない」「税金の無駄遣いをやめさせよう」と言ったところで、当たり前のように赤坂宿舎に入るようなら、そんな人物は信用できない。いったい誰が新宿舎を計画したのだろうか。衆議院広報課に聞いたとき、「事務局です」と何度も答えていた。「そんなことはないでしょ。抽象的な事務局など存在しないのだから、担当部署はどこですか」と何度も聞いた。やっと答えたのが「営繕課です」。「国会議員互助会」として特権を与える部署である。

 広報課長と話をしていてわかったことは、感性まで議員特権に侵食されていることだ。ディレクターに「もっと勉強してください」と偉そうに宣った課長補佐の女性は、赤坂宿舎を「おかしいとは思わない」と平然と語った。「本気でそう思っているんですか。庶民感覚ではないですね」と強く言ったところ、こんな馬鹿げたことを言った。「賃貸より買ったほうがいいですから。価値観の違いです」末端国家公務員はこういう「普通感覚」で国会議員の利益を守り続けているのだ。

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