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密告 (講談社文庫)

2008-09-18 | おすすめの本
密告 (講談社文庫)

真保さんの作品の主人公は大体において愚かな男が多い。

まず、親友や上司等の他人の女に横恋慕してしまい、自らの状況を悪くしてしまうのだ。

そしてその罪悪感を糊塗するがごとく歪んだ正義感がむくむくと湧き上がり、それが他者にとって非常にはた迷惑であるため、更に窮地に立たされることになる。

一応、努力の甲斐あって問題は解決するのだが、真に望んだもの(人)は手に入らず、体も心もぼろぼろに傷つく。

で、最後にそれでもロッキー調に夢は見ることができるというエンディングがまっているのである。

全くもって”ぱっと”しないのである。

読者のほとんどが、エンターテイメントというのにはあまりに暗く・辛い時間を共有することになるのである。

でも、これが人生、なのかもしれない。

しがらみにしがらんだ組織の中で自己の信念の元、自在に行動できる主人公は先ず持って真の自由を勝ち得ているのだなーと、それっていいよなーと。自分がオヤジになったゆえにわかることもあるなーと。よみながらつくづく思ったのでした。


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