高校国語実践記録

向山型国語を高校で実践した授業記録です。

奥の細道「旅立ち」(後半)

2009-05-20 22:05:04 | 教科書・古文

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「旅立ち」を一字読解で指導する・後半(高校1年・国語)

TOSS茨城NEVER  坂本佳朗(rekisi_sotuken@hotomail.com

「旅立ち(奥の細道)を一字読解で指導する」 http://itopon.net/okuno の後半部分である。1時間で指導した。

【後半】
復習として,音読をさせる。
その後,一字読解に入る。

発問1 マル1。「弥生も末の七日」とあります。現在の何月何日ですか。(二月二七日)

発問2 マル2。時間帯はいつですか。(早朝)

「あけぼのの空」で分かる。

発問3 マル3。「朧々と」とあります。品詞は何ですか。(形容動詞)


念のため,活用も唱えさせる。「たら・たり・と・たり・たる・たれ・たれ」である。月がほのかにかすんでいる様子を表す。

発問4 マル4。月は,明るいのですか。暗いのですか。(暗い)

「光をさまれる」から分かる。

発問5 マル5。「上野・谷中」は何の名所ですか。(桜)

教科書の注釈を見る。

発問6 マル6。「またいつかは」の後には,どんな言葉が省略されていますか。考えて書きなさい。現代語で構いません。(見よう 見たいものだ など)

出てきた答えを教師が古語に訳し,全員で読ませる。「またいつかは見ん。」「またいつかは見まほし。」

発問7 マル7。「むつまじ」の意味を答えなさい。制限時間,20秒。(親しい)


知っている必要はない。その場で辞書を引かせる。

発問8 マル8。「むつまじき限りの【 】は」とすると,【 】にはどんな言葉が入りますか。漢字一字。(人・者・友 など)

「人」や「者」など,分かり切っている語は省略されやすい。だから,このような問題を解けば解くほど他の文章でも応用が利いてくる。

発問9 マル9。千住には,何で行きましたか。(舟)


発問10 マル10。千住のような町を,何町と言いますか。「町」を入れて漢字三字。(宿場町)
板書1 □□町

これも,注がヒントになる。

発問11 マル11。ここでの「ふさがる」を用いて,現代語で短文を作りなさい。(例 悲しみで胸がふさがる)

現代語にも意味が生きているので,短文を作らせる。

発問12 マル12。「幻のちまた」を訳します。三字を補いなさい。(ような)
板書2 幻の□□□世の中

格助詞「の」用法。「比喩」を表す。分からなければ,予め渡してある現代語訳を見て良い。

次に,「行く春や鳥鳴き魚の目は涙」の句を扱う。

発問13 マル13。何という生き物が出てきますか。全て答えます。(鳥・魚)

発問14 マル14。共通しているのは,どんなことですか。全てひらがなで書きます。(ないていること)

発問15 マル15。「後ろ影」を訳します。一字だけ補いなさい。(姿)
板書3 後ろ【 】


「後ろ姿」が見えるまでは,見送る,と言っているのである。

発問16 16。「(見送るなる)べし」の文法的意味を答えなさい。(推量)

主語は,人々(話者の友人・知人たち)である。だから,「(彼らは)…だろう」と訳すのが妥当。

高校1年の終わりだったので,最後に,助動詞の識別問題を出した。教科書末の「研究」問題をアレンジしたものである。

説明1 今度は,超・応用問題。解けたら,助動詞の免許皆伝とします。 
発問17 傍線部を文法的に説明しなさい。
ア 死せあり。
イ 風に誘は
ウ 灸据う

生徒が自信のあるものから答え合わせをする。
おそらく,ア→イ→ウ か イ→ア→ウの順になる。
アとイは助動詞なので,接続から考えさせる。

補助発問1 アとイはそれぞれ,何形接続ですか。(ア 已然形  イ 未然形)
指示1 助動詞一覧表を出します。
指示2 已然形に接続する「る」を探しなさい。
指示3 未然形に接続する「る」を探しなさい。

説明2 「据うる」は一語です。終止形は「据う」。
指示4 テキスト「動詞」のページを開けます。
指示5 「据う」の活用の種類が分かったら座ります。全員,起立。

正解は,以下の通りである。

ア 完了の助動詞「り」連体形
イ 受身の助動詞「る」終止形
ウ ワ行上二段活用動詞「据う」連体形の一部

このような活動を時々入れることで,「覚えにくい古典文法がちょっとずつ覚えられる」と,生徒には好評であった。

説明3 この1年で,たくさんの文法事項を学習してきました。しかし,人間は忘れる生き物。また,仮に全ての事項を覚えていたとしても,いざ教科書で出てくると,とっさに分からなくなってしまうこともあり得ます。でも,その都度文法テキストに戻り,繰り返し調べていけば大丈夫です。そうすれば,絶対に覚えられます。来年度,皆さんの健闘を祈っています。


使用教科書 『新精選国語総合』(明治書院)

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