夏の風物詩、それは「腹出し」。
道を歩くおやじがシャツを胸まで捲り上げて腹を出して歩くのである。
これがまた滅法見苦しい。
布袋のようなビール腹を誇らしげに披露して歩くのだ。
たまにがりがりの人もいるが、どっちでも見苦しいことに変わりない。
誰でもおっさんの腹など見たくはないし
それも、でっぷり太った腹など言語道断、
いっそこの世から抹消したいくらいである。
どうせ見るなら若い綺麗なスタイルのよいお姉さんの腹にしてほしいが
そのような人は簡単には見せてくれないのである。
暑くなるにつれこの「腹出し」オヤジが沸いて出てくるのだが
この暑い夏がよけい暑くなる光景をどうにかして
楽しめる方法はないだろうかと
オヤジの腹を憎憎しげに眺めながら考えてみた。
そこで思い浮かんだのは「腹芸」である。
この道行く「腹出し」オヤジの腹に
キャラクタの顔を描くのだ。
それはなんでもよい。
ドラえもんでも毛沢東でもよいかと思う。
もしくは好きな色にカラーリングするのはいかがか。
商売をやってる人はいっそのこと自分の店の宣伝でもいいのではないか。
キャラクタを描いた人はその顔が自在に動く
腹芸を習得すれば、ダイエット効果も期待できる。
しかも宴会芸にもなると言う一石二鳥ぶりだ。
ついでに、腹話術も習得したら、人形を使わずして
まるで腹がしゃべっているように見せることも可能になるはずだ。
芸術の域に達することも夢ではない。
夏の暑い日、道行くおやじみんなで「腹芸」に勤しむ光景を想像したら
楽しくなった。
誰かやればいいのに。