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世界遺産 ラスコー展 ~クロマニョン人が残した洞窟壁画~

2017-02-19 12:43:20 | 一期一絵



去年足の具合が悪化し、さらに悪くなる懸念もあってしばらく美術館巡りを控えてましたが、12月から始めたサイクリング運動が寛解に役に立って少し良くなりました。
前回「クラーナハ展」を何とか無事に見終えたので、少し自信がつき、今回また展覧会に行きました。無理のない行ける範囲でこれからも楽しみたいと思います。

2年前「ボルドー展」を鑑賞してからクロマニヨン人が気になって、それから去年「ポンペイの壁画展」もとても見ごたえがあったので是非ラスコーの壁画も見たいと思ってました♪

展覧会はラスコー洞窟の形状や使われた絵具が説明され、そして近年製作された精度のかなり高いほぼ本物とそっくりな洞窟の壁画のレプリカ、そのあとにクロマニヨン人の生活や文明の展示があります。世界で巡回されている展覧会で、日本では最後に特別展示として日本の石器時代の文明の展示がありました。一部写真撮影がOKでした。

ラスコー洞窟はフランス南西部モンティニャック村を見下ろす丘の上にあるそうです。ボルドーの街から少し離れたところです。

そこにはまずネアンデルタール人が住んでいたそうです。
ネアンデルタ―ル人の前にはハイデルベルグ人がいたそうです。

小柄で毛むくじゃらで真っ裸ですが手に石を削った武器を持ってます。
ネアンデルタール人のご先祖なんだそうです。
おお、アルト・ハイデルベルグ

ハイデルベルグ人が進化してネアンデルタール人

体はずんぐりむっくり。平均すると男性は166㎝78kgで女性は161㎝66kgで意外に小柄じゃないです。そしてすでにヨーロッパ人の顔立ちになってます。もしかしてそれは再現した人形がヨーロッパで作られたからなのかな?
毛皮で体を巻くように着こんでこん棒みたいな武器を持ってます。

そしてヨーロッパ人の祖先と言われるクロマニヨン人

もうすっかりヨーロッパ人のお顔。結構ハンサムじゃないの。
平均すると男性は176㎝71㎏くらい、女性は164㎝60㎏くらいだそうです。思ったより背が高いです。
ベストにズボンみたいな服を着ていて槍を投げようとしてます。

クロマニヨン人は骨から針を作って動物の腱を糸にして服を縫っていたそうで、実際に縫い針が見つかってるそうです。


今使ってる針と形が同じ。針には人類何万年の叡智がはいってたのですねえ

会場に入ってすぐにいたのがこのお二人


髪に飾りをつけたりお顔に模様をつけたりおしゃれにも気を配ってるのを見ると、さすがおフランス!

武器も槍をより遠くに力強く投げる投槍器に槍をひっかけて投げたそうです。その投槍器には動物の彫刻を施してます。

《体をなめるバイソン》ラ・マドレーヌ岩陰遺跡(フランス)出土、マドレーヌ文化(約2万年から1万4500年前)、トナカイ角製、10.4×6.9×2.3cm フランス国立考古学博物館
何気ないポーズをクロマニヨン人はよく観察していたのですねえ


《ウマの彫像》エスペリューグ洞窟遺跡(フランス)出土、マドレーヌ文化(約2万年から1万4500年前)、象(マンモス)牙製、7.2×3.5×1.7cm フランス国立考古学博物館
馬のたてがみの細かい表現、そして筋肉をうっすら感じさせる


《ヴィーナス》グリマルディ洞窟遺跡(イタリア)出土、グラヴェット文化(約3万4000年から2万5000年前)褐色の凍石製、4.7×2.0×1.2cm フランス国立考古学博物館
とても小さい像です。豊満な体は食べ物が満ちて幸福に暮らしている証拠。そして母性をとても神聖視していたのでしょうか


《ホイッスル》
動物の骨を加工してつくったそうです。狩猟の合図に使っていたのだそうだけど、音を鳴らす楽器を作っていたのですねえ。たまにはホイッスルを鳴らしながら踊ってたりしていたのかな?


そのころ生きていたヘラジカの骨。かなり大きい。この鹿をみんなで力を合わせて狩猟していたのだろうな

彼らの生活を再現したビデオが流れてましたが、アクセサリーで身を飾り、テントのような家に住み、干し肉などの保存食がありました。思った以上に文明的な生活でした。



クロマニヨン人を含むホモサピエンスは約10万年前にアフリカで誕生して、約5万年前に移動をはじめたそうです。展覧会の日本の石器時代の展示コーナーにわかりやすく図になってました。

最初アフリカにいたホモサピエンスは手足の長いすらりとした体形だったそうです。その方が暑い気候で効率的に体熱を放出できるから。そのすらりとした人類がまずヨーロッパに移住して2万年前くらいから少しずつ手足が短く胴長になってきたそうです。その時地球は氷河期。寒さに対応して体温を保てるように表面積を少なくしたそうです。
・・・そうやって考えるとヒマラヤやシベリヤなどの厳しい土地を通り越してやってきて地域に順応した体形になったアジア人は体温やエネルギーの消費を抑え効率的に動けるハイスペックな人類なんだなあ・・・

手先が器用で芸術的な素養を持っていたのはクロマニヨン人特有ではなく、10万年前のアフリカからもその痕跡が見られ、他の場所に分布したホモサピエンスにも現れているそうです。
日本に入ってきたホモサピエンスの遺物は日本の土が酸性なためほとんど残らずわずかに痕跡が出土しているそうです。

驚くことに、ヨーロッパには先にネアンデルタール人が住んでいたのは先ほど書きましたが、しばらくの間、同じ時代を共有していたそうです。そしてネアンデルタール人はいなくなる・・・。
同じように狩猟して生きていく者同士、テリトリー争いがあったでしょう。時は氷河期。食べられるものは限られていて、知能が高いクロマニヨン人が有利だもんね。


石の割れやすい面を利用して薄く剥がすように割って左右対称に美しい形に削った石器です。こんなに鋭い刃物を作る技術や槍や矢を飛ばす技術を持ったクロマニヨン人には勝てなかったのだろうなあ


ではネアンデルタール人は完全に消滅したのか、というとそうではないようです。なんとクロマニヨン人の4%がネアンデルタール人の遺伝子を持っていたそうです。混血が生まれてたんだね。そして現代もなお1.5%がネアンデルタール人の遺伝子を持ってるそうです!
おお、ネアンデルタール人よ
もしかしたら、もしかしたら、勝手な憶測ですが、神話や伝説に現れるドワーフなどの妖精や、日本なら鬼などの存在は遠いネアンデルタール人の記憶から生まれたものなのかも。

ラスコー洞窟の壁画は2万年くらい前に描かれたものだそうです。1940年9月12日のこと宝探しに出かけた4人の少年と犬が嵐で倒れた木の根元にできた穴から洞窟を発見したのだそうです。

お手柄のワンちゃん「ロボ」くん

瞬く間に話題になり、大勢の人が見に来て観光客のため洞窟内の空調なども整備され、それが洞窟の絵に損傷をもたらしたので今は壁画を守るため洞窟を閉じて非公開だそうです。
洞窟の近くでレプリカを展示していたそうですが、このほど先端技術で洞窟の形状も含めかなり精度の高い壁画のレプリカを製作したのが今回の展示となってます

そのラスコーの洞窟で見つけた、ランプ。

《ランプ》ラスコー洞窟遺跡(フランス)出土、約2万年前、赤色砂岩製、22.4×10.6×3.2cm フランス国立考古学博物館
油を入れて、芯に火をともして暗い洞窟に入り絵を描いていたんだね
そしてトナカイの骨がたくさん落っこちていたそうですが、どうも、描いている途中でトナカイの肉を食べてたそうです。始め人間ギャートルズの肉を思い出しました♪


牛と馬の群れ。牛の蹄は二つにわかれてます。偶蹄目だもんね。
奥行きと筋肉の流れを感じさせる形が素晴らしい
絵のそばに四角い記号のようなものが書かれていました。


馬の蹄は一つ、ドラえもんみたいにグーの形なのがかわいらしい


猛々しいバイソン
向かって左の毛の色が途中で変わってるのは毛の生え変わりの途中だからだそうです。そんな細かいことも観察表現している


河をわたる鹿の群れ


洞窟の一番奥に描かれた絵で彩色されてません。内臓が出てしまってる水牛が鳥の顔をした人間を倒してます。そばには鳥の彫刻をほどこした槍投器が立ててあります。なにか物語をはらんでるのだろうか

時に馬の頭や足が一つの胴体から複数重ねて描かれているものがあり、それはおそらくその馬の動きをアニメーションのごとく表現したのだと説明がありました。生きるために身についた動体視力が素晴らしいし、表現も素晴らしい。

展示室は数分おきに暗くなり、洞窟の絵の輪郭が光って浮き上がる演出がされてます

青く幻想的な美しさ


会場内の様子

本物の洞窟の写真が壁に貼ってました

こんな風に太古の人類の作品を目の前にしたら、描いた人の息遣いを感じ、時間旅行をしているようで、感動がしみじみ湧いてくるでしょう

興味の尽きない展覧会でした


ショップにはラスコーにまつわる服や文房具、ビーフジャーキーや、ブドウの名産地にちなんでワインなども売られてました。
私が買ったのはこちら


中身がほら

壁画っぽいでしょ♪



2017年3月25日(土)〜5月28日(日)に宮城・東北歴史博物館、
同年7月11日(火)〜9月3日(日)に福岡・九州国立博物館に巡回するそうです


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