欧州雑派

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■「素粒子」  読書メモ <5>

2015-02-10 | ウエルベック

前回、読書メモ<4>で、小説「素粒子」の書評を書いた。同時に、(ネタバレがあります。未読の方はご注意を!でも、心配ありません。ストーリーを知ったとしても楽しめます!が、責任は持ちません(*'▽'))とも書いた。

素粒子 (ちくま文庫)
Michel Houellebecq,野崎 歓
筑摩書房

小説「素粒子」の面白さは、そのストーリーそのものと奇妙な結末にあるのではなく、ストーリー展開の中で、紹介されていくサブカルチャー、メインカルチャー、ハイカルチャーの多彩さにある。僕はそのように思っている。その面白さはクンデラに近い。(⇒クンデラ読書メモ

だからと言って、ウエルベックがペダンチック(pedantic)な作家!、、、と判断するには短慮すぎる。

何故ならば、紹介されるそれらの作品群が、過去のムーブメントにおける本質を見事に掬い出しているように思え、ストーリーと辻褄があった作品として選択されていているからだ。僕の感性にはビンゴだった。

例えば、、、、

異父兄弟の兄、ブリュノは、ジャニーヌ(映画ではジェーン)とセルジュ・クレマンの子として生まれた。ジャニーヌの父がマルタンである。ということは、マルタンはミシェルの祖父でもあるのだが、この祖父マルタンが卒業した高校が、マルセイユのティエール高校という設定になっている。

そして、このマルセイユのティエール高校、マルセル・パニョルの回想記で見事に描き出されている、、と書かれていた。(p35)

マルセル・パニョルMarcel Pagnol 

(↑ マルセル・パニョル wikiより)

えっ!マルセル・パニョルの回想記!ああ、映画「マルセルの夏」、「マルセルのお城」だな!僕は嬉しくなった。

以前、僕はイマジカBSで両作品を観ていて、ホノボノとしたマルセル少年の物語に、とても豊かな気分を味わっていて、その気持ちが蘇ってきたのだった。

Wikiによれば、「パニョルの回想録『少年時代の思い出』の中から第二部・第三部を基に、イヴ・ロベール監督によって『プロヴァンス物語 マルセルの夏』、その続編の『プロヴァンス物語 マルセルのお城』が制作された」と説明されている。

マルセル スペシャルエディション [DVD]
イブ・ロベール,マルセル・パニョル
パンド

この「マルセルの夏」と「マルセルのお城」は、何とも言えない素敵な物語で、大傑作だと思う。TSUTAYAにあるかどうか、、不明だけれども、見つけたら是非!超お薦め!(また、イマジカBSもお薦め!良い作品を連日連夜流している!)

名画を、いつもまぢかに イマジカBS 

そして、まあーなんと、クロード・ベリが映画化した『愛と宿命の泉・・フロレット家のジャン』と『愛と宿命の泉・・ 泉のマノン』の原作者がマルセル・パニョルなのだ!

僕は、昨年の5月に、「愛と宿命の泉」のパート1、パート2を鑑賞して、深い衝撃を受けたのである。これはTSUTAYAで借りた。そのことは、 「愛と宿命の泉」映画評 に書いている。

愛と宿命の泉 PartI フロレット家のジャン デラックス版 [DVD]
クロード・ベリ,マルセル・パニョル,ジェラール・ブラッシュ
ジェネオン エンタテインメント

こんな感じで、小説「素粒子」で、ウエルベックが紹介する多くのカルチャー作品が、僕の感性に合うもの、刺激するもので溢れていた。ページを繰るたびに、ウハウハ喜んでいたのである。

愛と宿命の泉 PartII 泉のマノン [DVD]
イヴ・モンタン,エマニュエル・ベアール,ダニエル・オートゥイユ
ジェネオン エンタテインメント

だから、この読書メモでは、それらについて、メモしていきたい。しばらくの間、お付き合いください。(#^^#) 



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