杉原 桂@多摩ガーデンクリニック小児科ブログ

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理解してから理解されること

2006-02-27 | クリニック通信
実際にあったできごとで、小児科医として7つの習慣の重要性を再認識させられました.

昨晩は子どもが夜更かしをして映画を観ていました.
私のところにやってきて「早くこっちにきて」というのです.
夜9時には寝ることを約束にしていたのですが、帰宅が遅くなりすでに10時近くになろうとしていました.

「もうそろそろ遅いから続きは明日にしたら?」
「もう!やだよ.やめないよ、バカ!」
「ちょっとまって、話をしよう」

私は親に向かっての「バカ」という言葉が気に入らなかったのです.しかし、斎藤一人さんのCD「地球が天国になる日」を聞いて自分の中にある「劣等感」に気が付いているので怒鳴るつもりは毛頭ありません.
二人だけになれる部屋に子どもを連れていき、話をききました

「本当はどうしたかったの?」
子どもはぐずぐずしたり、姿勢をくずしたり、寝転んだりして話を聞く様子がありません.ちょっとイライラが自分の中に見え隠れしましたがここはじっと冷静に.

「パパの話が聞ける準備ができたら教えて.話をしよう」
「無理だよ」正座をしたり、あぐらをしたり、しばらくぐずぐず、ヒンヒンしています.これまでの僕は子どもの女々しい態度に何故か我慢がなりませんでした.けれども、今は冷静に対処できるようになっています.
ひとしきり、ぐずった後にやっと話をしてくれるようになりました.
「本当は映画をみたかった」
「そうか、映画をみていたかったんだよね」
「そう」
「どうして「バカ」なんていったの?」
「・・・・」
「「バカ」っていい言葉?」
「悪い言葉」
「映画を観たかったんだよね?パパにバカっていうと映画をもっと見せてもらえると思った?」
「・・・・」(くびをふる)
「そうだよね、どうして見せてもらえなくなると思うのに、「バカ」っていってしまったの?」
「・・・・」
「どうしてなんだろう」
そのとき、子どもは泣き始め
「パパと一緒に見たかったんだよッ!」というではありませんか.
子どもの心からの叫びに僕も胸をうたれました.裁かなくてよかった、と思いました.
「そうか、パパと観たかったのか、だっこしよう」
子どもは私の胸で泣きじゃくりながら
「パパはコンピュータで仕事が終わったら一緒に観てくれるっていったじゃないか!」

私はハッとしました.
そうだったのです.自分でもすっかり忘れていたのですが15分くらい前に確かに私は子どもとそのような約束をしました.
そして仕事を終えて、妻と話をしているあいだにその約束をすっかり忘れてしまっていたのです.
「そうだったね.パパが約束を破ってしまっていたね.これではバカと言われても仕方ないね.ごめんね」
「そうだよ、約束を破ったんだよ」
「そうだね.約束を破ってごめん」
「・・・」
「今日は遅いから、明日か明後日に一緒に続きをみようか?」
「うん」
そういうと、子どもは自分から布団に入っていくのでした.

私は自分が安易に子どもとの約束を破っていたかに気がつくことができました.
もし、これまでのように反応的に対応していたら、子どもの言葉遣いだけにフォーカスをあてて裁いてしまっていたら、気がつく事はなかったでしょう.

私もまだまだ親業の修行中です.(ここでは書籍、セミナーとしての「親業」ではなく一般的な意味で親業、という言葉を使っています)
親は子どもを育てるから親になるのではない、子どもに育てられて親になるのだ、というのは家内の名言です.

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2 コメント

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Unknown (ぷりんせす)
2006-02-27 22:10:42
こんばんは。私のブログにて2月23日の記事にこのブログを紹介させていただきました



「すごい家族その3」を読んでから肯定形で接するようにしていますが、なかなか難しいものです

けれども、「だめでしょ!」と言っていたときに比べて、いたずらをやめるのが早くなったようです。



先生は今回じっくりお子さんと向きあい、貴重な体験をされたのですね
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コメント~続き~ (ぷりんせす)
2006-02-27 22:21:39
コメントしている途中で投稿してしまいました

続きです。



私の幼いころも似たような経験がありました。けれども、うちでは、どーんと母にどなられ、怒られ、どうして約束したのに?ということを言えずに終わり、以来、怒られたときは疑問を口にすることがなかなか出来ないままになっていました。口答えは良いのか悪いのか場合にもよるかもしれませんが、私はほとんど口答えをしなかったと思います。でも、それはそれで、つらいもの。もう少し話を聞いてくれてもいいのになあと思ったものです。



今日先生の記事を読んでハッとした思いです。我が家の息子はまだ言葉で伝えることができませんが、今のうちからでも「どうしたの?」と聞く姿勢を持ちたいと思いました。

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