7月の参院選で、民主党が3大公約に掲げた、原則すべての販売農家を対象にした、生産費と販売価格との差額を基本に補てんする「農業者戸別所得補償法案」を提出した。同党は、「大規模化、効率化一本やりの農政とは理念、原則が根本から違う」と述べ、政府.与党との違いを強調した。同法案は、1国と地方自治体が設定する生産数量の目標に従い、米など主要農産物を生産する販売農業者を対象にする 2標準的な販売価格と生産費との差額を基本に面積当たりの単価を設定する 3その年度の生産面積に応じて交付するー という制度を定めている。所得補償の「約1兆円」という予算規模については、法施行に伴う経費として法案に添付した。同党は既存の農水省予算の組み替えのほか、政府全体予算の無駄を省くことで得られる財源の15兆3000億円を活用し、確保するとしている。だが、財源確保のそれ以上の考え方や保証単価、生産目標数量の水準などの具体的な内容は記していない。このため、農業関係者などから政府、与党の農政への不満に応える内容に期待がある一方、実行性に疑問の声も高まってきている。【町村官房長官】自民党町村氏は、先の参院選で公約した民主党の農業政策に関して「生産性の低い農家も含めて(農産物の)価格差を補てんするという意味は、バラマキと言わざるを得ない。食料自給率100%(を目指す)といいつつ、完全自由化とも言う。そんなマジックが成り立つはずがない」と批判した。 【農家保証.民主案を批判】ー財務省「財源」目的に疑問ー 財務省の財政制度等審議会で、民主党の「農業者戸別所得保証法案」に対し、「財源や目的に疑問点がある」と批判した。批判の根拠として、(1)1兆円程度と試算する保証額の財源をどう確保するか (2)マニフェストでは、貿易自由化の促進を目指すとしたが、法案ではなくなった (3)民主党が従来反対していた生産を調整する仕組みが盛り込まれているー などの点を批判した。小泉改革以来、主要農産物価格は、生産原価を割る状況にある。生産者は、経営的には成り立たない農業への、政策転換に期待している。政府.与党も、欧米の農業政策を参考にすべきだ。、学者による市場原理最優先の「農業.農村」への政策により、都市との格差拡大に拍車が、かかってきている。