安藤先生の月刊ブログ 「きらめき」

何気ない毎日に"きらめき"を感じていますか?

良い旅を!

2020年03月13日 | 月刊ブログ

 日によってうねるように寒暖差が大きく、息をひそめて暖かい春を待ち続けています。桜の蕾がふくらみ、新しいステージを迎えようとしています。

 新型コロナウイルスの猛威で、今、世界中が危機感を募らせ、政治、社会、経済、文化、教育、スポーツの各現場が混乱の渦に巻き込まれています。

政府の要請により、本校でも様々な対応を余儀なくされています。年間で最も重要な年度替わりの時期に、混乱は収まる気配がありません。

 

 長崎、佐世保両校の卒業式が終了しました。新型コロナウイルスの影響で、祝賀会の中止など、様々な制約の中実施されました。学校では、この卒業式が最大の行事です。学生を社会へと送り出すための、最後の思い出を作ってあげたい行事でもありました。

 長崎校は、最後の卒業生を送り出すことになりました。今後は「九州SOGI専門学校」と校名を変更し、葬儀に特化したデュアルシステムの学校を開校することになっています。そのため送辞、答辞と繋いでいくことができず、今回は学生一人ひとりが「卒業の言葉」を述べることになりました。2年間の学校生活、実習、クラスメートへの思い、少人数ならではの、心に沁みる卒業式になりました。

 佐世保校では、時間短縮のため、今回は代表者のみへの卒業証書授与となりました。送辞や答辞は、いつも通りにそれぞれが心を込めて述べてくれました。特に答辞は、消防士になるという夢実現のため、前職を退職して本校に入学し、みごと夢を叶えた学生が、年長者らしく語るように読んでくれました。2年間、本校で学校生活を送ることで、クラスメートとの関係はまるで兄弟のように心を許すことができるようになっていったといいます。学校に対しても、その信頼の度合いは深くなっていきました。卒業生からの「ありがとうございました」という言葉は、私たち職員こそが巣立つみんなに返したい言葉でした。

 

 3月に思い出されるのは、9年前の東日本大震災のことです。その災害の様子は、映像として私の脳裏に強く焼き付いています。まだ仮説住宅に暮らす方もいる一方、福島では、原発事故で避難した人の帰還の動きが鈍く、また、市街地の復旧もまだ先が見えていないと言います。来年10年目を目途に復興を完了させたいという目標は、簡単ではないようです。

 ここ長崎と広島は原爆が落とされ、毎年8月6日、9日は「原爆の日」として、私たち県民は後世に語り継がなければならない特別な日と捉えています。福島では、この3月11日を「原発の日」として、同じように語り継ぐことになるでしょう。

 

 待ちに待った「東京オリンピック・パラリンピック」についても、新型コロナウイルスの影響で開催できるかどうか危ぶまれていますが、このオリンピックの開催は、東日本大震災の「復興」をも願っての開催です。その復興の願いと道のりを伝えるため、聖火リレーは、福島から始められることになりました。

 その時のランナーが持つトーチは、あまり知られていないそうですが、東日本大震災の被災地に建てられ、その後解体された仮設住宅の廃材を利用したものだそうです。復興を象徴するものを作りたいという思いで、解体した後のドアや窓枠のアルミ廃材を再利用することの提案が実現したのです。

 

 オリンピックは「平和」の象徴です。そしてそのオリンピックに震災からの「復興」を繋ぎたいという思いでこのトーチができたのです。この思いで手掛けた方は、「東日本大震災の復興はまだ道半ばです。熊本地震、西日本豪雨、台風被害のあった千葉などの被災地もあります。聖火トーチが全国の被災者の希望になってほしい」と述べていました。

 この記事を読んだ時、一人の思いが大きな成果を生むことができるということに、尊敬の念と共に感動をおぼえました。オリンピック開催が決定して聖火リレーを見た時、それぞれの思いは必ず平和へと続いていくことを確信できるはずです。

10年後、今の新型コロナウイルスでの世界の混乱は、どのように歴史として残っていくのでしょうか。

 

 今月の写真は、春の象徴、チューリップ、ヴァイアコンディオスです。チューリップは春の庭先を彩る、一つの球根から一株しか咲かない贅沢な花です。亡き父が、秋になると貯めていた球根や新しく仕入れた球根を選別して、一つ一つ丁寧に植えていたのを思い出します。写真は、フリルが可愛いく、ほのかなグラデーションで黄色からオレンジ色に花の色を変えていきます。花名はスペイン語で「良い旅を!」という別れの意味になります。

ここから巣立った卒業生たちに贈りたい言葉でもあります。

 

Photo by mizutani


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