
今日の緑花試験の
「ホオノキの冬芽を包んでいる、茶色のキャップ状になってるアレ」の名称を答える設問で、解答が「托葉」だったことにイマイチ納得がいかず、10年前の観察記録ノートをひっぱり出した。
この年、モクレン属のいろんな種の展葉、開花のスケッチにハマってて、なんかいっぱい描いてたので。
●スケッチから
2枚の托葉が大きくなって基部が合着し、さや状になったものが幾重か、これから伸長する部分を包んでいる。
葉身は退化してごく小さく、脱落しているものもある。

ホオノキ(96/05/15 兵庫県美方郡温泉町 扇ノ山小ヅッコ)


タムシバ(96/04/15 鳥取県岩美郡岩美町)
「托葉が変形、合着したもの」の名称として「托葉」は適切なのか? というところに、私は疑問をもったわけだ。
当時のノートにはあたり前のように「托葉」と書いてある。「ああ、この芽鱗みたいに見える茶色いやつ、托葉(の変化したもの)なんや~!」という感激で有頂天になってると思われる。
例えばニセアカシアの刺、サルトリイバラの巻きひげは、托葉の変化したものだ。それらの名称はおそらく「刺」「巻きひげ」であって、もはや「托葉」ではなくなっている……とおもう。
何故、モクレン科の冬芽のアレは、「托葉」という呼称で納得してるんだろう?
●文献から
いま手元にある本の、モクレン科植物の冬芽についての記述を拾ってみる。
(1)八田洋章(1998)『木の見かた、楽しみかた ツリーウオッチング入門』朝日新聞社
(2)岩瀬徹・大野啓一(2004)『写真で見る植物用語』全国農村教育協会
(3)植田邦彦(1996)「モクレン科」『週間朝日百科 植物の世界』9-108 朝日新聞社
(1)では、「芽鱗(托葉)」という表記。ただし、一般向けの書籍のためわかりやすく「芽鱗」と書かれたのかもしれない。
(2)は載ってない。
(3)では「托葉」。「托葉は大きく、2枚が合着して鉛筆のキャップのような形になり、茎頂を重層的におおう。このため托葉痕は枝を一周し、本科を特徴づける」
(ちなみに学生の時ノートを書く時点で参考にしていた本は、おそらく菊沢喜八郎先生の『北の国の雑木林』。手元にナイ。)
●なんかあやしい記述を発見
タムシバのスケッチの横に。
当時やはり、この茶色の「托葉」を何と呼んだらいいのか迷っていろいろ調べた形跡がある。

雑誌『プランタ』に確か、フェノロジー(生物季節学)の連載があったんだよな。
どうやらそっちでは「苞葉」と書いてあったらしい。
上記文献(2)では苞(苞葉)は「花や花序の基部にある、つぼみを包んでいる葉」のことらしい。
タムシバの花は混芽の中に入っているので、この混芽を包む「托葉」は「苞葉」ともいえる。
「あえて言うならそうも言えるけど」という程度ってことか。
……ちなみに試験では私は「苞」と解答したのだけど。
「苞」といえないこともないけど(あ、でも芽の全てにつぼみが入ってるわけじゃないから、いえないか)
「托葉」というほうがよさそう。
モクレン科を特徴づけている、枝を一周している痕のことを「托葉痕」と言いたいのだし。
というあたりでしょうか。
ああ、疲れた。
もっかい菊沢先生の本読みたいなあ。
「ホオノキの冬芽を包んでいる、茶色のキャップ状になってるアレ」の名称を答える設問で、解答が「托葉」だったことにイマイチ納得がいかず、10年前の観察記録ノートをひっぱり出した。
この年、モクレン属のいろんな種の展葉、開花のスケッチにハマってて、なんかいっぱい描いてたので。
●スケッチから
2枚の托葉が大きくなって基部が合着し、さや状になったものが幾重か、これから伸長する部分を包んでいる。
葉身は退化してごく小さく、脱落しているものもある。

ホオノキ(96/05/15 兵庫県美方郡温泉町 扇ノ山小ヅッコ)


タムシバ(96/04/15 鳥取県岩美郡岩美町)
「托葉が変形、合着したもの」の名称として「托葉」は適切なのか? というところに、私は疑問をもったわけだ。
当時のノートにはあたり前のように「托葉」と書いてある。「ああ、この芽鱗みたいに見える茶色いやつ、托葉(の変化したもの)なんや~!」という感激で有頂天になってると思われる。
例えばニセアカシアの刺、サルトリイバラの巻きひげは、托葉の変化したものだ。それらの名称はおそらく「刺」「巻きひげ」であって、もはや「托葉」ではなくなっている……とおもう。
何故、モクレン科の冬芽のアレは、「托葉」という呼称で納得してるんだろう?
●文献から
いま手元にある本の、モクレン科植物の冬芽についての記述を拾ってみる。
(1)八田洋章(1998)『木の見かた、楽しみかた ツリーウオッチング入門』朝日新聞社
(2)岩瀬徹・大野啓一(2004)『写真で見る植物用語』全国農村教育協会
(3)植田邦彦(1996)「モクレン科」『週間朝日百科 植物の世界』9-108 朝日新聞社
(1)では、「芽鱗(托葉)」という表記。ただし、一般向けの書籍のためわかりやすく「芽鱗」と書かれたのかもしれない。
(2)は載ってない。
(3)では「托葉」。「托葉は大きく、2枚が合着して鉛筆のキャップのような形になり、茎頂を重層的におおう。このため托葉痕は枝を一周し、本科を特徴づける」
(ちなみに学生の時ノートを書く時点で参考にしていた本は、おそらく菊沢喜八郎先生の『北の国の雑木林』。手元にナイ。)
●なんかあやしい記述を発見
タムシバのスケッチの横に。
当時やはり、この茶色の「托葉」を何と呼んだらいいのか迷っていろいろ調べた形跡がある。

雑誌『プランタ』に確か、フェノロジー(生物季節学)の連載があったんだよな。
どうやらそっちでは「苞葉」と書いてあったらしい。
上記文献(2)では苞(苞葉)は「花や花序の基部にある、つぼみを包んでいる葉」のことらしい。
タムシバの花は混芽の中に入っているので、この混芽を包む「托葉」は「苞葉」ともいえる。
「あえて言うならそうも言えるけど」という程度ってことか。
……ちなみに試験では私は「苞」と解答したのだけど。
「苞」といえないこともないけど(あ、でも芽の全てにつぼみが入ってるわけじゃないから、いえないか)
「托葉」というほうがよさそう。
モクレン科を特徴づけている、枝を一周している痕のことを「托葉痕」と言いたいのだし。
というあたりでしょうか。
ああ、疲れた。
もっかい菊沢先生の本読みたいなあ。
はじめまして。訪問ありがとうございます。
リンクからブログ拝見しました。
いろいろ勉強させてください! と思いました。
どうぞよろしくお願いします。
私は学生時代なんてぼーっとしていたのか…。
この文章を読んで私もいろいろと調べて、
衝撃の事実(私には)がでてきたのですが、
例によって時間がかかって寝られなくなりそうなのでまた今度書きます…。
ごめん気を持たせて。
とりあえず参考文献。
私の説明を聞くよりこっちを読んだほうが早いのですが、
どっちも手に入りにくいんだろうなあ。
(蒼樹書房はなくなったので1)は絶版です)
1)「北の国の雑木林」菊沢喜八郎 蒼樹書房
2)Newton spesial issue 植物の世界 第2号 教育社(この中のホオノキの項)
私がえらいというより、当時、研究室の一部で、あの本が熱烈に流行ってた(笑)。「托葉痕」とか「当年枝」とか「シュート伸長量」とかが大流行。
目にするMagnoliaは全て調べなければ!と思って、いっぱい採取してきた枝がどんどん展開してってしまって、描くのも調べるのも追いつかなくて、調べてもわかんないことばかり多くて、徹夜で泣きそうになりながら描いてた。当時はそういうの本気でつらかった。
全然楽しくなかった…。しかもいまは何ものこってない。と思ってたけど、Magnolia属好きになったのは、あのおかげかもしれない。折り畳まれた神秘をピンセットで一枚一枚はいで描いた、あのドキドキは、今もはっきりと残っている。良い気持ちの部分だけダイジェストで残って、記憶って不思議。
で、
絶版!! がーん……
神田で探してみる~
Newtonは別の巻しか手元にないー これも神田いってくるかー
吾妻小富士の雪化粧が美しい福島です。
菊沢さんの本、福島にありますので、来福の時
長期貸し出ししますなり。
(あ、でも本は買う主義かな?探すのも楽しそう)
ちなみに福島には「たむしば」という名の喫茶店
があります。
ほんまに美しくて優しくて香豊かな花なのに、店の
名前になってると、何を指しているのか微妙です。
でも、店長が名付けたかった気持ち、分かる気がします。ほなまた。
でも、ばたちゃんもわかってるんじゃないか、とか
はたして私の理解であってるのか?とか思えてきました…。
本、早く手に入れられますように~。
ところで、ヤマケイもどっか別の出版社に買収されたと聞きました。
図鑑とか、地味なのは縮小になるのかな…
き……気になる…うをををををっっっ
うーん。神田、行けるとしたら明日か。うーんうーん。
おー、さちだ~
福島は寒いですか? 東京はいまいちあったかくて、やる気でません。早くコートが着たい。
たむし
ば
あっ……
福島、次の18きっぷで行けたらいいなあ。
「たむしば」ぜひ行きましょう!
でも今日は5時で閉館…
(この芽鱗も、前年の一番最後の葉の托葉)
・その内側の何層かが、「托葉」に包まれる。ホオノキでいうと、試験問題になったアレね。
・そのそれぞれに、萎縮した葉身がついている、というのは、上のスケッチのとおり。
冬芽を保護する「包むやつ」として托葉を使うために、葉身はそーいう扱い。萎縮したり落ちたり。
あってるでしょーか?
すまん。どのへんに衝撃を受ければいいのかわからんかった…
では続きを張り切って読みます。
「托葉が(進化的に)芽鱗になった」
と解釈していたのだけど(サルトリイバラの巻きひげやニセアカシアのとげのように)、
そうではなくて
「(前年の)托葉が(くっついて)芽鱗になった」
のだ!というのがわかって、それが衝撃だったのだけど…。
でもやっぱりわかってたのですね。すまん。
で、他の樹木の芽鱗が(もとをただせば大昔は葉や托葉だったとしても)
今は「芽鱗」としか呼べないものになっているのに対し、
モクレン属の芽鱗は確かに托葉だったものだから
「托葉」と呼んでいいんだ~と、とても腑に落ちたのですが、
こんな私の理解はあっているのでしょうか…?
なんか自信なくなってきました。
いろいろ指摘してください。私も今晩もう一回読んでみよう。
「冬の樹木」保育社 も手に入れました(あっ保育社もつぶれたね…)。
というか、やっぱり自分で冬芽の観察しないとだめかもねえ。
ところで、ホオノキとコブシ・タムシバの芽鱗は違うの?