灰色のフリルは深淵を彷徨う

2011-07-10 22:08:42 | 魚(Fishes)


ラブカ(Chlamydoselachus anguineus) Frilled shark


ラブカは、私の知っている中で個人的に一番好きなサメかもしれない。
あのナショジオの写真を見てからはより一層、生きた姿を見てみたいと思うようになった。
深海性のサメの形態ってば、私達が持つサメのイメージの斜め上を行っているものが多くて、とてもワクワクするものが多い。格好良さに合わせて何と言うか伝説の生き物みたいな神々しさがあるのだ。とりわけこのラブカは一見恐そうに見えて、口角が上に上がっているために実は横顔を見るとスマイリーなところがポイント高い。







ラブカの歯列



ネコザメ(Heterodontus japonicus) Japanese bullhead shark


ネコザメと言えば、水族館のタッチプールでお馴染みのサメ。
このサメは、その卵が岩盤を貫ける掘削機のドリルみたいなイカツい形をしていることでも有名かもしれない。
コイツの後歯は、餌の持つ甲や殻を砕くために綺麗な臼歯状になっている。







【2011/07/09/神奈川 Kanagawa,Japan/Jul.2011】


暗海に棲むゴブリン

2011-07-07 22:09:18 | 魚(Fishes)


ミツクリザメ(Mitsukurina owstoni) Goblin shark


このサメの図を初めて目にしたのは私が小学生の頃で、その時にはたいそう驚いた記憶がある。その魚類図鑑に描かれていたミツクリザメは、他のサメの絵の中で一際異彩を放っていた。大きく突き出た角を持ち、とても凶悪そうな顔つきをして・・・まるで外国の絵本に描かれた魔物のようと思った。
いつかは顎と歯のみならず、全体を拝みたい生き物だ。

※こんな姿をしています→Goblin shark
 






【2011/07/06/神奈川 Kanagawa,Japan/Jul.2011】


Deep Sea Monsters part4

2011-01-21 20:53:05 | 魚(Fishes)


シギウナギ(Nemichthys scolopaceus) Slender snipe-eel

深海魚シリーズ、最後の魚はこのシギウナギ。
この容貌に加えて、名前がこの魚の素敵度を3割増しにしていることは間違いない。
上顎はまるでアボセットのように反り返り、下顎はホウロクシギのように湾曲しているけれど、これは命が尽きているからこういう曲がり方をしているのではない。そもそも構造上、噛み合わせられないようになっているようだ。
この口に入った獲物を、果たしてこの細い体のどこに収めるというのだろうか。
また、注目てほしいのはこの体色。例えば同目のウナギの成魚は上面が濃色、下面が淡色をしているけれど、このシギウナギは(個体により色彩変異があるらしいが)例えば淡色の水底に居る時のカワアナゴみたいに上面が淡色、下面が濃色をしている。






【2010/01/14/小笠原諸島近海 from Ogasawara ocean area,Japan】


Deep Sea Monsters part3

2011-01-18 21:13:10 | 魚(Fishes)


ウロコカブトウオ(Melamphaes polylepis) Ridgehead

このウロコカブトウオは体長約7cmと小柄であるけれど、鎧兜に覆われた頭部をよく見るとかなりステキ度が高い。また、への字に曲がった口は頑固だけれど、王蟲のように青くつぶらな眼は思いの他可愛らしいところがポイントだ。
カブトウオ科のうち、背鰭基底後端が臀鰭基底中央を越えていないことからカブトウオ属(Poromitra)ではなさそうだ。前鰓蓋骨の縁に突起が無く、また眼径が眼下幅より短いこと、後頭部に棘がないことからホンカブトウオ属のウロコカブトウオに違いない。








オオクチホシエソ(Malacosteus niger) Loosejaw

この口床がないために非常識なほどもの凄い口の開き方をする魚は、眼後発光器のサイズが眼に対し小さすぎるように見えるけれど、3~5条の胸鰭があることからおそらくオオクチホシエソであろう。
深海の生物には暗闇で身を隠すために体色が赤いものがいるが(深海トロール船に乗ったとある人間は茹でてもいないのに濃鮮血色をしたエビを美味そうだと言って食べ、お腹を壊したそうだ)、オオクチホシエソは眼の下にある発光器の光を赤色にすることでこれらの“赤くて見えないはずの獲物”を可視化してしまうのである。深海の隠身術をも打ち破る、巧妙な進化の奇跡を知った時、私は感嘆せずにはいられなかった。
傷が激しいけれど、この個体の眼下発光器にも一部赤色が見えるのがお分かりいただけるだろうか。


【2010/01/14/小笠原諸島近海産 from Ogasawara ocean area,Japan】