巡拝日誌

四国巡礼から始めましたが、まあ人生なんて日々彷徨しているようなものなので、このまま続けます。

やれやれの日本人

2008-04-10 14:48:04 | Weblog
 最近読んだ本で自分の考えていたこと、印象がころころを変わった。こんなんじゃあ世の中の空気に随分と惑わされる。真実を見つめる目と手法を鍛えないと。

 まずは高橋洋一の「さらば財務省」。この本の解説はネットでもいろんな人が書かれています。詳細はともかく、小泉さん、竹中さんが好意的に見えてしまう。この本の前に読んだ野口悠紀雄の「戦後日本経済史」、戦時下の官僚主導による仕組みが戦後も継続されてしまった事実を再認識。なにしろ戦時下ですから中央集権は当たり前。集金しないといけませんから金持ちを痛めつける。結果、社会主義的な思考です。それが連綿と続いていた。高橋さんは小泉・竹中チームがそれに風穴を空けたというのですが、最近の様子をみるに何も変わってないです。特に小泉さんは郵政一点張りで、他は官僚主導だった印象です。しかし、この本を読むと竹中さんってがんばったんだ、と好意的に思えてしまいます。財務省内のメカニズムについては具体例をもって理解を深めることができました。高橋さんの理系的な発想も現実を見るうえでの視点を与えてくれます。

さらば財務省!―官僚すべてを敵にした男の告白
高橋 洋一
講談社

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戦後日本経済史 (新潮選書)
野口 悠紀雄
新潮社

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その次に、堤堯の「阿呆の遠吠えⅡ」を読みましたら、情けなかと思っていた安倍晋三が愛おしくなってしまいました。安倍さんがんばっていたんだ。そして、小澤がますます嫌いになる。本音の分かりにくい人、お金に汚い人。私も90年代から裏切られてきましたから。昨日の福田さんとの党首討論での小澤さん。
「今まで首相も与党の方々も今までの仕組みを全部前提としてお考えになっておられます。私たちは、東京で、中央官庁ですべてのお金とすべての権限を持って、それを本当に住民の身近な身の回りのものまで全部中央の役所が決めていくと、こういうやり方は、もはや現在の時代には適当でない。」
 これは正論だ。同じ意見です!でも民主党ってこういう社会を目指しているのでしょうか。時々の個としての正論と政党の合意のわかりにくさ。結局自分が政治に対して関心がないので、そもそも個々の案件を詳細に追いかけていなかったということなんでしょう。
 しかし、政治をみていてもどんな社会を目指しているのかが分からないですから。両党ともいろいろな出自、考えの人々を抱え、何を期待していのやらさっぱりです。期待しないので、関心薄れます。新聞も丁寧に読んでいません。

 漠然と良い社会を望んでいるわけです。品性のある国家がいいなと思います。理想、志。品性ってこれがないと醸成されないのではないでしょうか。林秀彦の「海ゆかば山ゆかば」を読み、日本の軍歌を改めて読むと目線が高いのです。政治に利用されたとはいえ、魂をゆさぶられる詩が多いです。明治以降の時代の空気が伝わってきます。そんな時代と自由な(?)現代。どっちがいいんでしょうか。あたりまえな自由と平和。これは唯ではなく、特異な時代なんだという認識、危機感。このことを後述の「日本人はこうして奴隷になった」で林さんは訴えられています。
 私が戦史好きの少年だったからなのでしょうか。まだ軍歌を歌う大人も多くいた時代だったからでしょうか。勢いでCDも買ってしまいました。今日は「愛国行進曲」を聞きながら出社しました。

阿呆の遠吠え 2 (2)
堤 尭
東京スポーツ新聞社出版部

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海ゆかば山ゆかば―日本人と軍歌
林 秀彦
PHP研究所

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軍歌大全集
軍歌,霧島昇,織井茂子,西六郷少年少女合唱団,岡本敦郎,アイ・ジョージ,森繁久彌,東海林太郎,都はるみ,コロムビア男声合唱団,三鷹淳
コロムビアミュージックエンタテインメント

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 「日本人はこうして奴隷になった」という本も読みました。そして、日本人の思考について考えさせられました。「戦略性」というものが無いです。自分も仕事で「戦略」なるものを考え、レポートにしたりするのですが、「戦略」そのものがシンプルにできあがらない。そしてその執行力がまた弱い。そんな日本人であることを痛感しつつ、その欠点を補えるプロセスができないかなあ、などということを考えて過ごしています。
 世界経済をみても借金をして消費する人が病気になってしまい、作る人中国もなんか調子を落としています。鬱病の国、日本の閉塞感を打破できないかなあと思いつつ、自分の足下固めようとしております。相場を見過ぎると相場に同期してきてしまいます。軍歌で自分を鼓舞しているのであります。

日本人はこうして奴隷になった
林 秀彦
成甲書房

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