巡拝日誌

四国巡礼から始めましたが、まあ人生なんて日々彷徨しているようなものなので、このまま続けます。

Trouble With Trade

2007-12-29 18:55:20 | Weblog
マンキュー先生のブログでクルーグマンのこのNYタイムズの論説が示唆に富んでいると言っていたので訳してみました。
以下はマンキュー先生のコメントです。

he is saying that the gains from trade are concentrated at the top of the income distribution. That is certainly a theoretical possibility. The Times column, however, leaves that conclusion more as an assertion than as an established fact. Presumably, the Brookings Paper will give the numbers to back up the claim.
It seems to me that Paul is still struggling with the implications of this view. He concludes the column by saying, twice, that he is not a protectionist, but he also says that we should respect "those who are worried about trade." But what if those who are worried about trade are protectionists? Should we still respect them?

日本も同じ問題を抱えている。国としても目標、ビジョン、どんな国にしたいのかという効用とかinterstといったものをどう考えていくべきなんだろう。この間にもGlonalizationは進展しており、国境を越えた競争は激化していく。非常に難しいな。
JPモルガンの北野さんが2007年の推薦本に触れていた。ジャン・ペイルヴァッドの「世界を壊す金融資本主義」という本に興味をもち、アマゾンで古本を買ってみたので、明日はこれを読もうっと。


December 28, 2007
By PAUL KRUGMAN

 米国が長い間第三世界から原油と他の原料を輸入している間、我々は主にカナダ、欧州及び日本のような他の豊かな国から製造加工品を輸入していた。
 しかし、最近我々は重要な分水界を超えてしまった: 我々は現在、先進国からよりも第三世界からより多くの製造加工品を輸入している。 すなわち、我々の産業貿易の大部分は現在、我々よりはるかに貧しく、労働者にはるかに低い賃金しか払っていない国ととの間にある。
 世界経済全体としては、特により貧しい国のためには、高賃金国と低賃金国の間の貿易が増加していることは非常に良いものだ。何よりも、後進経済圏の人たちに収入が上がっていくという最良の希望を与えている。
 しかし、米国人の労働者にとっては、この話は全くポジティブ。 実際、米国と第三世界各国との貿易が増加することで米国の多くの、おそれく殆どの労働者の実質賃金を引き下がっているという結論を避ける事はできない。そして、その現実のために、貿易に関する政治は非常に難しくなっている。

 少し経済学の話をしましょう。

 高賃金国間の貿易は、すべてまたはほとんどすべての穏やかな成功をもたらせてきた。 1960年代に自由貿易協定により米国とカナダの自動車産業を統合することが可能となった時、両国の産業はより限られた市場で規模の経済を追求するに集中。結果として全般的に生産性の上昇と賃金の上昇を達成することができた。
対照的に、非常にレベルの違った経済発展状況にある国との間の貿易は勝ち組と同様に多くの負け組を作りだす傾向にある。
 いくつかのハイテク仕事のインドへのアウトソーシングはニュースの見出しとなったが、同時に米国の高学歴の労働者は貿易の結果、より高い賃金と雇用機会の拡大という利益を得ている。例えば、ThinkPadノートパソコンは今Lenovoという中国の会社が作っている。でもLenovoの研究開発の多くはノースカロライナで行われている。
 しかし、きちんとした教育を受けていない労働者は、彼らの仕事が海外に移っていくのを見るか、同様の資質の他の労働者が、海外との競争に敗れ職を失った人々が雇用を求めてなだれ込んで来るという波及効果によって、賃金が引き下げられていくことを認識するだろう。そして、ウォルマートの低価格のみでは十分に埋め合わすことができない。
 これらは全て国際経済学の教科書的なものだ: 人々が時々断言することとは逆に、経済学の理論では、自由貿易は通常国を豊かにするという。しかし、自由貿易は通常全ての人に恩恵をもたらすとは言わない。、国が、より豊かになると言いますが、それは、通常、皆には良いのを示しません。 それでも、1990年代に第三世界からの米国への輸出の影響が初めて問題となった時、私を含めて多くのエコノミストはデータを眺めて、米国の賃金に対する影響はたいしたことじゃないと結論づけた。
 現在の問題はこれらの効果がもう「modest」なって生やさしいもんではないということだ。なぜなら、第三世界からの製造加工品の輸入は1990年にはGDPの2.5%であったものが、2006年には6%にまで劇的に増加してしまったのだから。
 そして、輸入が最も大きく伸張したのは非常に低賃金の国からです。 韓国、台湾、香港、シンガポールというオリジナルの「ニーズ(newly industrializing economies)」の賃金レベルは1990年の米国の25%だ。しかし、その後我々の輸入は米国と比べたった11%の賃金水準のメキシコやほんの3-4%の賃金レベルの中国からのものにシフトしている。
 この話を読み解いていく視点がある。例えば、メイド・イン・チャイナの製品の多くは日本や他の高賃金国で作られたパーツを使っている。それでも、米国の賃金に対するグローバリゼーションの圧力が増えたという事に対しては疑問の余地はない。
 で、私は保護主義について賛成の議論をしているのだろうか? いいえ、グローバリゼーションがいつもとどこでも悪いものだという人たちは間違いだ。これに反し、世界市場を相対的に開かれたものとして維持していくことは、何十億という人々の望みにとって重要だ。
 しかし、私は経済学を理解していないというような非難とか、自由貿易協定の利益に関して懐疑を表明する政治家に対して社説で反応して、特別な利害に追従するしているというような非難、こんなつまらないことは止めにしようと議論しているのだ。
 貿易は大多数のアメリカ人を傷つけ、恩恵は非常に少ない米国人しか受けていないというクレームを良く受ける。それは砂糖の輸入割当のようなものに関しては真実だ。しかし、製造加工品のことになると、逆も真実であるということは、少なくとも議論の余地がある。第三世界との貿易の増加により利益を得ている高学歴の労働者というのは少数派だ。恐らく負け組の人たちの数のほうがずっと多い。言ったように 私は保護主義者ではない。世界の全体ために、貿易上のトラブルは我々が貿易を止めることによって応じるのではなく、社会のセーフティ・ネットを強化するような方向にもっていくことに期待している。しかし、貿易に関して懸念を持っている人たちにも重要な視点はあり、何らかの敬意に値する。


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