☆ 民間に宇宙を有償利用してもらう
「きぼう」の実現によって、宇宙ビジネスは新たな展開を迎えた。
「有人宇宙システム(株)」は、JAXAの委託で「きぼう」の運用・利用や行われる実験の支援、さらに民間企業の宇宙利用をサポートする目的で設立された。
宇宙事業に関わる50以上の企業が出資している。
これまで7事業をコーディネートしているが、その中で「ロッテ」のガムは「きぼう」の有償利用テーマに選ばれ、民間企業の商品第一号になった。
創業60周年を迎える同社は、以前も南極観測隊用のガムを開発、究極の地宇宙へのチャレンジ“LOTTE XYLITOL MISSION”で商品のアピールにつなげる。
9月頃、「きぼう」内で広報用の撮影も行われる予定。今回は宣伝用の利用のみだが「きぼう」から帰還したガムを検査研究し新商品や宇宙用のガムを開発する計画だ。
一方、宇宙ビジネスには課題もある。
「きぼう」の有償利用は民間企業にとって壁があるようだ。
有償の金額は利用を希望する企業が提示する入札方式をとっているが、延期や中止等大きく変更されることもありうるためスケジュールを確定できない難点がある。
しかしながら、既に海外では2012年に宇宙ホテルを実現させる構想を初め、宇宙は開発・実験の時代から、宇宙利用の時代に入り、日本も遅れをとるわけにはいかない。
今後宇宙ビジネスには、人が宇宙へ行ったときに何が求められるか、それに応えられる製品が必要になっていくというように、宇宙と生活の場との距離はより短くなっていくだろう。
ただ、日本の宇宙ビジネスが発展するためには「きぼう」の利用料の低減などで、裾野からの参入を拡大する必要がありそうだ。