旅人の回想 Memoirs

どこにもしばられず、寄留者でありたい。

ラジャスターン州の溜池改修プロジェクト

2006-09-24 02:28:08 | 仕事
最近、ラジャスターン州の農村を巡ってきた。

ラジャスターン州はデリーの西隣に位置する雨の少ない乾燥した地域である。
州の西側は砂漠に覆われており、州都ジャイプールでさえ、ラクダをよく見かける。

ラジャスターン州では、7月から9月までに降る少ない雨を大事に大事に溜池にためないと、10月から2月の乾期作に水がない。灌漑用の溜池は生死を左右する貴重ないのちの水の保管庫なのだ。

幸い今年は雨が多かった。乾燥地のラジャスターンで洪水が起きたほどだ。
こんな雨の多いときに溜池で一杯水を貯めれればよいのだが、溜池からの水漏れがひどいと、そんないのちの水も一気に外に流れ出て、あっという間に水なし川を一瞬だけ水あり川にして、跡形もなく流れ去ってしまう。

日本は、ラジャスターン州に1200あまりも点在する小規模な溜池のうち、400あまりの溜池の改修に乗り出している。今回はその事業の監理の一環として、候補となる溜池を数ヶ所訪問し、農民と意見交換を行ってきた。

このラジャスターンの農民の服装が面白い。

成人男性は、みな一様にターバンをかぶっている。
服は白やグレーの何の変哲もないシャツ姿なのだが、頭だけは、赤あり、白あり、オレンジあり。白に細かい赤い模様のあるターバンも。
とにかくターバンだけはやたらお洒落なのだ。

僕達は、農民達の大歓迎を受けた。
村長自ら自分の頭にターバンを巻いて形良くターバンをつくると、ポっと僕らの頭にのせてくれた。
通常は花輪が歓迎の印だが、今回は花輪に加えて、ターバンまで。
ターバンを贈るのは尊敬の表現とのこと。

ある農村では、白ターバンに、しなった杖、大きなメダルを首にかけたおじいさんと共に溜池を巡った。
神様を彫りこんだ銀のメダル、おじいさんがこれで4代目とのこと。毎日つけているのか、首にかける紐は汗をすって茶色くなっている。
連綿と受け継がれる信心と風習。
彼の顔の皺一つ一つにも歴史が刻まれている。
ラジャスタン農民の貫禄が滲み出ている。

旅の一風景から。