グルジアというと何となく`紛争の地`というイメージ。場所も何となくあの辺くらいで、今ひとつイメージの湧かない国だったのですが、今回の公演を扱った雑誌の記事などを読むうち、独自の文化を持った国なんだということなどいろいろ分かってきました。民族舞踊もさかんで、男性がつま先立ちで踊るちょっと独特の踊りがあるようです。ロシアと仲が悪いイメージですが、ニーナはどんな気持ちでボリショイにいたんだろうなんてことも思いました。バレエの世界や芸術の世界には国境はないのかも知れませんが、日々の生活はどうだったんでしょうね。
ゆうぽうとに着くと、入り口はいるとそんなグルジアのバレエ学校の様子を写した写真や、公演リハの写真などパネルが飾ってありました。
≪ロミオとジュリエット≫
音楽 : セルゲイ・プロコフィエフ
振付 : レオニード・ラヴロフスキー
振付改訂 : ミハイル・ラヴロフスキー
装置 : ダヴィッド・モナヴァルディサシヴィリ
衣裳 : ヴャチェスラフ・オークネフ
指揮 : ダヴィド・ムケリア
管弦楽 : 東京ニューシティ管弦楽団
<出 演>
ジュリエット: ニーナ・アナニアシヴィリ
ロミオ:アンドレイ・ウヴァーロフ
ティボルト(キャピュレット卿夫人の甥):ワシル・アフメテリ
マキューシオ(ロミオの友人) :岩田守弘
ヴェローナの太守:パータ・チヒクヴィシヴィリ
キャピュレット卿(ジュリエットの父):ユーリー・ソローキン
キャピュレット卿夫人:ニーノ・オチアウーリ
ジュリエットの乳母:タチヤーナ・バフターゼ
パリス(ジュリエットの婚約者) :ダヴィド・アナネッリ
パリスの小姓:テオーナ・ベドシヴィリ
ローレンス神父:パータ・チヒクヴィシヴィリ
ジュリエットの友人:ラリ・カンデラキ
吟遊詩人/道化:ヤサウイ・メルガリーエフ
モンタギュー卿(ロミオの父):マヌシャール・シハルリーゼ
ベンヴォーリオ(ロミオの友人) :ゲオルギー・ムシヴェニエラーゼ
居酒屋の主人:ニカ・ジャイアニ
今回のロミジュリで私が一番驚いたのは、アンドレイ・ウヴァーロフでした。何となくザハロワのお相手というイメージだったのです。ザハロワの隣にいるとそんなに大きく感じなかったのですが…いや~~、デカイ。。(そういえば、ジョゼ・マルティネスの時も同じ感想書いたな…笑)ニーナの愛くるしさの隣にいると彼もそのハッピーなオーラが乗り移るのか、アンドレイ・ウヴァーロフのあんな表情、初めて見たような気がします。少年のように恋をして、苦しんで死に向かって一直線に進んでいく…。なんていうのは、私の知っているウヴァーロフの辞書にはなさそうだったんですが、引出の奥底に眠っていた物を引っ張り出すだけの力がニーナにあったということなんでしょうかねぇ。。最後に祭壇に横たわって死んでいく姿が印象的でした。
ニーナ、プロフィールをよくよく見てみたらほぼ同年代でした…って、おい、ちょっと待って!という感じです。彼女は何故衰えないんだろう~。老いを知らない感じがしましたが、これは日々の鍛錬で何とかナルモノなんでしょうか??ラブロフスキー版ロミジュリ、そんなに超絶技巧だの凝ったジャンプなどはありませんが、やはりアラベスクの美しさやリフトの技など凄いと思いました。私は20代の彼女は知らないんですよね~。でも、映像で見る限りは全然変わっていないように見えます。不思議です…。最初の場面なんか、やっぱりちゃんと14才に見えるんですよ。なんか凄すぎます。。
彼女の演技、彼女のダンスは情感豊かで暖かい感じがします。それがウヴァーロフにも伝わるんだろうなぁ…きっと。
岩田さん、アンドレイ・ウヴァーロフの隣に立ったら子供のように見えました(笑)マキューシオ、ちょっとやんちゃでいたずらで、愛すべき若者を好演してくれていたと思います。くるくるとよく回り、きびきびとした動きで軽やかに跳んでくれました。彼もきっと、このステージにいることを楽しんでいたんだろうな。。ソード・ファイトも楽しんでみられました。ラブロフスキー版はみんなああなのかな~、デス・シーンは随分引っ張ってましたね。刺された!からが結構長かった…。ちょっとはらはらしました(笑)
他のダンサーの方々、私は初めて見た人ばかりだったのですが、きっちりまとまったステージだったと思います。それにしても、みんな大きい…ので、ステージが何だか狭い(笑)
吟遊詩人と道化を演じたヤサウイ・メルガリーエフ、決して小柄なわけではないのですがジャンプも軽くキリリとした踊りで良かったなぁ…。彼は一見、日本人に見えます。ジャパン・アーツの
バレエ・舞踊ブログを読んでいなかったら、きっと私も「あの日本人は誰?」と思ったことでしょう。ちなみにカザフスタン出身とのこと。
このタイミングでこの作品を見られて良かったなと思います。ニーナも次は全幕主役じゃなくなっちゃうかもしれないし。ニーナと組んだアンドレイ・ウヴァーロフを見られたのも良かったな~。もちろん岩田さんも。
カーテン・コールは客席総立ちのスタンディング・オベーションでした。ニーナって本当にみんなに愛されているんだな。最後、エレーナちゃんがママ~とばかりに小さな花束を持って駆け寄っていきました。その時はジュリエットじゃなくてママの表情になっていました。。