四月三十日(土) 「ナイル五月号」掲載歌
2006-04-29 18:41:05
① 「ナイル五月号」掲載作品
甲村秀雄氏撰
病辺瑣事
*身のうちに湧き来る放恣捨てがたく仰ぐ春空走るうす雲
*春の夜の夢に顕つひと蝋梅のかぼそき香りあふらしめつつ
(顕つ=たつ)
*いたつきに苛まれゆく身にしあらばあと何たびの逢ひぞ残れる
(苛まれ=さいなまれ)
*忘れ得ぬかの白き脚影おとし雪に映ゆるを眩しみて居る
*一定の死を諾ひつなほひとのなつかしき香を尋めて止めまざり
(一定=いちぢやう) (諾ひ=うべなひ)(尋め=とめ)
*亡母の棲む異界か知らず遠山にいまを名残りの冬雲の見ゆ
(亡母=はは)
*さらば友よなつかしき日よふるさとの紫雲映畠に降れる日差しよ
(紫雲映=れんげ)
*つねに敗者たりしおごりを此処に来てひとり哀しむ死の近き夕
②今日の歌
2006-04-30 06:57:50
やがて・・死
*一語すら発するのなき時をおくり休日の夜のだるきひとり居
*目覚むればまたひとつ年老いたると朝の日差しはしぶく囁く
*庭に顕つ春のゆらぎやかげろふのたゆたひ匂ふ近き死が香が
*とことはの闇ぞ死とはとはしなくも悟達のひとの謂の確かさ
2006-04-29 18:41:05
① 「ナイル五月号」掲載作品
甲村秀雄氏撰
病辺瑣事
*身のうちに湧き来る放恣捨てがたく仰ぐ春空走るうす雲
*春の夜の夢に顕つひと蝋梅のかぼそき香りあふらしめつつ
(顕つ=たつ)
*いたつきに苛まれゆく身にしあらばあと何たびの逢ひぞ残れる
(苛まれ=さいなまれ)
*忘れ得ぬかの白き脚影おとし雪に映ゆるを眩しみて居る
*一定の死を諾ひつなほひとのなつかしき香を尋めて止めまざり
(一定=いちぢやう) (諾ひ=うべなひ)(尋め=とめ)
*亡母の棲む異界か知らず遠山にいまを名残りの冬雲の見ゆ
(亡母=はは)
*さらば友よなつかしき日よふるさとの紫雲映畠に降れる日差しよ
(紫雲映=れんげ)
*つねに敗者たりしおごりを此処に来てひとり哀しむ死の近き夕
②今日の歌
2006-04-30 06:57:50
やがて・・死
*一語すら発するのなき時をおくり休日の夜のだるきひとり居
*目覚むればまたひとつ年老いたると朝の日差しはしぶく囁く
*庭に顕つ春のゆらぎやかげろふのたゆたひ匂ふ近き死が香が
*とことはの闇ぞ死とはとはしなくも悟達のひとの謂の確かさ