キートンの四方山話

大学で産学連携や知財をやっています。海洋・深海や船舶関係が多め。発言はあくまで個人的見解で所属の組織とは関係ありません

日本初の本格的な有人潜水調査船「しんかい2000」(JAMSTEC、新江ノ島水族館、機械遺産)

2020-06-07 23:05:58 | 保存船・復元船・海事遺産
 「しんかい2000」は深度2000mまで潜航可能な有人潜水調査船。母船は「なつしま」。日本初の本格的な有人潜水調査船「しんかい2000」(機械遺産)。2004年3月に退役となり、2012年7月より新江ノ島水族館(神奈川県藤沢市)にて常設展示中。
 
 日本が有人潜水艇を建造・保有するにあたり、いきなり大深度を目指すのは難易度が高いとして、まずは深度2000mの潜水艇を建造・運用し、ノウハウを得る目的がありました。1981年に三菱重工神戸造船所で竣工、1983年就役。
 「しんかい2000」は、深海での技術開発や有人潜水艇の運用ノウハウのみならず、日本周辺を中心に様々な海域に潜航し、地球科学や深海生物研究の発展に大きく貢献しました。特に相模湾・初島沖で化学合成を行うシロウリガイのコロニーを発見、沖縄トラフでは熱水噴出現象を発見するなどの実績を誇っています。2002年11月11日に1,411回の潜航を無事終えた後活動を休止、2004年3月に退役となりました。
 その後、「しんかい2000」は、2012年に新江ノ島水族館で常設展示されることになり、多くのJAMSTEC職員など関係者に見送られ、JAMSTEC横須賀本部を後にした。
 現在、新江ノ島水族館の「深海II」コーナーで常設展示されている。なお、年2回(夏休みと冬休み)、時のパイロットや整備士が公開で整備を行ったり、トークイベントを実施していますので、ぜひ見に行ってください。
 なお、「しんかい2000」は、2017年に一般社団法人日本機械学会より「機械遺産第87号」に認定されました。
 ちなみに、「しんかい2000」に乗船した有名人としては、「ゆらり海遊記」(朝日放送)という番組で、俳優の近藤正臣が乗船し、相模湾1170mに潜航しています。
 
「しんかい2000」概要
 
全長 9.3m
3.0m
高さ 2.9m
空中重量 約24トン
最大潜航深度 2,000m
乗員数 3名(パイロット2名、研究者1名)
耐圧殻内径 2.2m
通常潜航時間 7時間
ペイロード 100kg(空中重量)
水中速力 最大3.0ノット
主な搭載機器 CCDカラーTVカメラ(1台)
スーパーハープカラーTVカメラ(1台)
ステレオスチルカメラ(1台)
マニピュレータ(6自由度1台)
流向流速計
CTD(電気伝導度、温度、水深)/DO(容存酸素)

その他航海装置等

 
在りし日の「しんかい2000」と「しんかい6500」(JAMSTEC横須賀本部有人潜水調査船整備場にて)
 
ここからは新江ノ島水族館「深海II」コーナーに常設展示されている「しんかい2000」を紹介
実機である「しんかい2000」、「しんかい2000」の成果の紹介、水圧の紹介など。
 

「しんかい2000」の耐圧殻(コクピット)。シミュレーターとして使われていたものを展示。
子供の会員向けに本物の中に入れるイベントもやっていましたが、最近はどうなっているのでしょうか。
 
江ノ島水族館では、夏休みと冬休みの時期に「公開整備」を実施し、当時のパイロットや整備士が公開で整備を行ったり、トークイベントを実施しています(新型コロナの影響で今年度の開催は中止になるかもしれません)。
 
【展示情報】
新江ノ島水族館 「深海II」コーナー
 
住所:〒251-0035 神奈川県藤沢市片瀬海岸2-19-1
 
 小田急江ノ島線・片瀬江ノ島駅から徒歩3分
 江ノ島電鉄・江ノ島駅から徒歩10分
 湘南モノレール・湘南江の島駅から徒歩10分
 
 
次は、「しんかい2000」の新江ノ島水族館移送の様子などを紹介できればと思っています。
 
参考:
・JAMSTEC「しんかい2000」
 http://www.jamstec.go.jp/j/about/equipment/ships/shinkai2000.html
・新江ノ島水族館「深海II」
 https://www.enosui.com/exhibition_deepsea2.php
・「しんかい2000」500潜航記念誌、1000回潜航記念誌
 
写真はいずれも著者撮影。
 
 
 


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