高沢一基(かずもと)の陣中日記

板橋区議会議員・「高沢一基(かずもと)」のオフィシャル日記です。

27年度決算の討論を行いました!

2016-10-28 12:40:03 | Weblog
本日、板橋区議会本会議場で、平成27年度決算の討論を行いました。会議録や動画が公開されるのはしばらく先になりますので、私が書いた原稿をそのまま掲載します。長文ですが、お読み下されば幸いです。

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まず始めに、昨日十月二十七日、三笠宮崇仁親王殿下が薨去されました。ここに謹んで哀悼の誠を捧げます。

 それでは、ただいまより、民進党板橋区議会議員団を代表して、平成二十七年度東京都板橋区一般会計、同じく国民健康保険事業特別会計、同じく介護保険事業特別会計、同じく後期高齢者医療事業特別会計の各歳入歳出決算につきまして、いずれも認定の立場から討論を行います。

 平成二十七年度の一般会計決算は、歳入が二千三十九億九千百万円あまりとなり、初めて二千億円を超えました。また、歳出は一千九百九十八億二千五百万円あまりで、歳入歳出ともに前年度より増加しましたが、翌年度への繰越し財源を除いた実質収支額は四十億八千二百万円あまりで、前年度比六億二千百万あまりの減となりました。
尚、収入率は予算現額に対する調定額が九十七・四パーセント、執行率は九十七・九パーセントであり、予算執行はおおむね適正になされたと考えます。
 尚、「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」に基づく健全化判断比率についても、実質赤字比率・連結実質赤字比率・実質公債費比率・将来負担比率ともに、早期健全化基準を下回っており、当面の大きな問題はないと考えます。
また、財政の弾力性を表す経常収支比率については、八十三・二パーセントであり、いまだに適正水準である八十パーセントを超えています。近年この比率は減少傾向にありますが、財政の硬直化を解消するために、一層の改善を求めます。

 歳入について主要な財源を見ますと、特別区税は前年度比五億三千三百万円あまりの増、地方消費税交付金は五十三億七千六百万円あまりの増、特別区交付金は六億五千六百万円あまりの増であり、主に消費税率増額の影響で増収となっています。これらの増収は、増税や景気動向等の外的要因に基いています。
昨年十二月に閣議決定された「平成二十八年度税制改正の大綱」では、法人実効税率を二十パーセント台に引き下げることが示されています。、資本金一億円以上の外形標準課税適用法人の場合、二十七年度で三十二・一一パーセントであったものが、二十八年度は二十九・九七パーセント、三十年度には二十九・七四パーセントに引き下げられます。また、英国のEU離脱や新興国の成長減退等による経済への影響も懸念され、今後も歳入が安定するとは限りません。

こうした外的要因から健全な財政を確立していくためにはどうしたら良いか、家計に例えて考えてみたいと思います。家計に於いても、失業や休業等により収入が減ったり、疾病や事故等により支出が増える場合があります。これらのことから家計を守ろうと、貯金を行ったり保険に加入したりします。また、家や車のように高額な物はローンを組んで購入し、手許に現金を残します。
こうした家計のやりくりを区財政に当てはめますと、貯金は基金、ローンは特別区債に当り、財政の健全化の為には、適切な基金の積み立てと計画的な特別区債の起債が必要であることが理解出来ます。
二十七年度決算では、基金を新たに約八十一億一千三百万円積み立てるとともに、各種基金からの取り崩しである繰入金を前年度比で三十五億四千二百七十六万円・九十五パーセント減らしたことにより、年度末の基金残高を四百九十八億六百万円あまりとすることが出来ました。将来の財政需要や不安定な歳入を考えた時、こうした着実な基金積み立ては必要なことであると言えましょう。
また、特別区債については、前年度に較べて約九億六千八百万円、二十パーセント減の起債に抑制され、起債残高は三百三十七億二千七百万円となり、前年度より二十六億八千九百万円を減らすことが出来ました。
 これら基金と特別区債の数値を見れば、おおむね財政の健全化が図られていると言えます。しかし、財政の健全化とは、こうした数値の適正化を目指すだけのものなのでしょうか。財政健全化の本来の目的は、区民の幸せを向上させる為に区の発展を期することにあると考えます。

 我が国の人口は、平成二十年に一億二千八百八万人に達して以降、毎年減少しています。「国立社会保障・人口問題研究所」の将来推計人口によれば、現在の合計特殊出生率のまま五十年が経過した場合、総人口は約八千万人となります。東京圏の人口では、現在の約三千五百万人から五十年後には約二千七百万人となり、その内、六十五歳以上の高齢者は一千万人を超えると言われています。高齢者の比率は約三十七パーセントです。その時、我が板橋区は、どのような街になっているのでしょうか。
 交通の便も良く医療機関も多数存在する板橋区に高齢者が集中し、人口減で不動産価格が下がった都心部に働き盛りの若い世代が流出する可能性も想定されます。
 五十年後の板橋を豊かで活力ある街にする為には、お年寄りから子供まで、多様な世代がともに暮らせる社会を築いて行く必要があると考えます。
 その為には、現在から五十年後を見据えて、健全な財政に裏打ちされた積極的な政策遂行により、若い世代を呼び寄せることが不可欠であると考えます。
こうした観点から、二十七年度の施策を振り返りつつ、来年度予算編成及び今後の区政に対する意見を款別に整理して申し上げます。

まづは総務費についてです。
昨年四月より本庁舎がグランドオープンし、区民総合窓口が拡充され、来庁者の利便性が向上したことは評価致します。しかし、平日の日中に働いている多くの方にとっては平日夜間や土曜日曜の窓口開庁が望まれます。現在は、毎週火曜日が十九時まで、第二日曜日は九時から十七時まで窓口が開いていますが、働く世代の利便性向上の為に、平日夜間と土曜日曜の窓口開庁の更なる拡充を求めます。
防災対策につきましては、災害対策本部運営訓練等への外部評価員の導入、避難所開設訓練の全校実施の促進等、訓練の充実を求めます。更に、帰宅困難者支援等に於ける区内大規模事業者との連携や学生ボランティアの協力に関する区内大学との連携等、民間と力を合わせた防災対策の推進を要望致します。
また、「公共施設等の整備に関するマスタープラン」に基づく個別整備計画については、税金のムダ使いとさせない為に清水町集会所の廃止を延期すること、周辺に代替施設がない新河岸公園内集会所を廃止しないことを求め、費用対効果や地理的特性、全区一律ではない個別の事情を斟酌した現実的な対応を要望致します。

次は福祉費について述べます。
生活保護については、扶助ばかりに目を向けるのではなく、自立支援に力を入れるべきであると考えます。自立支援プログラムの一層の活用と働ける心と体を取り戻す為の健康支援を強化して、生活保護受給者の幸せを追求することを求めます。
高齢者福祉については、公有地や民有地を問わず特別養護老人ホームを増設することを求めます。
保育については、待機児童の解消の為に、板橋区が認可保育園の増設や小規模保育所・事業所内保育の増設等により保育所定数を来年度に向けて千人あまり増やすことは評価致します。しかし、待機児童の年齢の偏在と地域の偏在に合わせたものになるように更なる努力を求めます。また、家庭的雰囲気で保育が出来る家庭福祉員の待遇改善、休日に働く人が増加している現代社会に合わせた休日保育の実施も強く求めます。

続いては衛生費についてです。
お年寄りに元気で長生きして頂く社会を築き、国民皆保険制度を守り伝えて行くためにも、お年寄りの健康支援は重視しなければならないと考えます。介護予防事業の拡充、お年寄りの社会参加促進、健康なお年寄りを表彰する制度の創設を求めます。
更に、近年多発する熱中症に関して、特に一人暮らしのお年寄りに対する注意喚起や見守りの充実を要望致します。
また、誰もが自殺に追い込まれることのない社会を実現するために、庁内に専門の部署を設置するとともに、民間の知恵や力を活用した総合的な自殺対策の推進を求めます。

次は資源環境費についてです。
小型家電の拠点回収の実施等、資源リサイクルの充実を図っていることは評価致します。今後もリサイクル品目を増加させること、家庭ゴミの無料回収を続けること、再生可能エネルギー及び省エネルギー機器導入補助の周知を積極的に行うことを求めます。

続いては産業経済費についてです。
昨年も提案しましたが、区内消費喚起と子育て世代応援の為に「子育て応援プレミアム商品券」を発行することを改めて主張致します。また、区内ものづくり産業への支援を強化するため、「板橋産業技術支援センター」の周知徹底や「板橋区ものづくり企業活性化専門員」の拡充、新製品や既存製品に対する専門家によるデザイン支援、町工場や中小零細企業の後継者を育てる人材育成事業の拡充を図り、「産業の板橋」のブランド回復を求めます。更に、活力ある街づくりのためにも商店街を発展させなければなりません。各種イベントの支援だけでなく、個店支援の充実も求めます。

続いては土木費についてです。
「板橋区の悲願」と何度も叫ばれている東武東上線立体化については、我々議会は超党派の協議会を設置し強く働きかけています。板橋区に於いても、区長が率先して行動することにより、鉄道事業者・東京都・国を動かす気概を示して頂きたいと考えます。また、板橋区は現在、空き家だけでなく居住する建物も含めた老朽建築物対策の条例を検討中ですが、より実効性のある条例化を求めます。更に、全国に先駆けて自転車安全利用条例を制定した板橋区として、自転車安全利用指導員の活用や自転車損害賠償保険の加入促進を図ることを求めます。また、木造住宅の耐震助成は依然その活用が進んでいません。使いやすい制度にする為に不断の改善を行い、安全な街づくりを進めることを要望致します。

次は、教育費についてです。
電子黒板の小中学校全校への配備や公務支援システムの導入等、学校のICT化が進むことは歓迎します。しかし、機器だけが揃っても現場で活用されなければ宝の持ち腐れです。教職員の研修強化や相談体制の拡充を求めます。また、教員が児童・生徒と向き合い指導出来る時間を確保する為に、事務負担の軽減を図ることは重要です。現在、区費負担の事務職員を学校運営員として配置していますが、更なる拡充を求めます。給食については、子供達の心を育てる為に、米飯給食の拡充・区内産野菜や被災地食材の活用、子供が自ら作る「弁当の日」の導入等、教育的効果の高い給食の実施を求めます。
更に、本年度中に基本計画が策定されます新たな中央図書館については、平和公園との調和を図り、子供からお年寄りまでが共に過ごせる滞在型図書館とし、板橋区のシンボル的建物となるよう求めます。

 最後は、公債費について述べます。
二十七年度の公債費は前年度より約二億五千四百万円増加し、六十億五千百万円あまりの支出となりました。公債費負担比率は五・二パーセントとなり、前年度より〇・六ポイント上昇しましたが、冒頭にも触れました通り、年度末起債残高は三百三十七億二千七百万円に減少させることが出来ました。今後も、計画的な起債と起債残高の管理により、財政運営の健全化と積極的な政策遂行の両立を求めます。

 以上、平成二十七年度一般会計決算について款別に意見を述べて来ましたが、国民健康保険事業・介護保険事業・後期高齢者医療事業の三特別会計についても、それぞれの決算において、収入率は調定額に対して九十二・八、九十八・一、九十八・八パーセント、執行率は九十八・零、九十八・四、九十九・零パーセントであり、おおむね適正に予算執行がなされたと考えます。

 よって、平成二十七年度東京都板橋区一般会計ほか三特別会計について、いずれも認定することに賛意を表しまして、討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。