■ 一人綴り

イロイロやってますが、停滞中。(モノが出来たらアップする感じですから...。)更新はしますが数が減るかも。

■ 【 オモイデノイロ 】

2010年08月14日 | へたっぴな小説もどき


 先日が相当ネガティブだったので、今日は趣向を変えてみました。

ちなみに、フィクションです。

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 【 オモイデノイロ 】
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 子供の頃、夜と言うと黒いクレヨンを持ち出して真っ黒に塗っていた。


  【 夜は暗くて怖いンだ...。 】


そんな怖がりなボクが無意識に選んでいた色なのかも知れない。空は青いクレヨン。

太陽は赤いクレヨン。色彩ではなく感覚塗っていたのかも知れない。

 夜空。コレを黒く感じていたのは、思春期までだった。多分、家庭環境に依存する

モノなんだろう...。荒廃している訳ではないが、何か自分が抱えるコンプレックスが

この色彩を自分の心の中の色で染めていたのかもしれない。

 初めての恋は、思春期の終わり、中学生の頃だった。同じ地域で生まれ、同じよう

に育った誰かと一緒に居て9年も同じ時間を費やせば、どんな人間かは解ってくる。

 意識もしていなかった存在が急に気になり始めるあの感覚は、成長に伴う身体の変

化に心が追従していないからなのか?それとも、本当にピュアな自分が居て、自分の

時間軸に居て欲しいと思ったからなのかは解らない...。

 強制的に入らざるを得ない部活動。大抵は運動部を選択する事になるのだが、運動

と言うモノを知らなかった人間にとっては結構過酷な時間となる。

 ただ、人間の順応性がその苛酷な環境も耐えうる身体にしていくのだからヒトの身

体と個人の可能性というのは第三者の曇った瞳で測りうるモノではないというのは理解し

ている。

 子供の我が出て、意識はするが素直ではない年頃...。相当ひねくれていたボクは、

好きな人間にスキと伝える事も出来ずにいた。

 ただ、それまでの時間の系譜の中に誰かを見つめるだけの心の余裕はなく、ボクのコ

コロの中は、上映前の映画館のように暗幕で閉ざされた。

 光の届かない場所。まるで新月の夜の曇り空のように小さな光さえも見えず、雨の降り

しきる夜空のように、ただ、表には出ない涙に濡れていた...。

 不安定な感情と不安定な心。ずっと黒く見える夜空。この現実は変わらなかった。

 三年生になったある日、学校に一人の転校生が来た...。少し大人びた感じのするその

子は、少し落ち着いていて、同じ年なのに、なぜか年上に感じた。

 誰とも会話しない人間ではなかったが、それ程ココロを開いた覚えもなく、ボクと言う

個人の上にペルソナを宿しそのペルソナが誰かと会話している状況しかなかった。


 ボク : (多分、この子もペルソナが会話する一人の存在になるんだろうな。)


そう思っていた。自分が居る現実がなくなると、ヒトは仮面を被る。ある意味、ヒトは

悲しみや苦しみから自分を守る為に、自分ではない仮面を持って生きていくのかも知れ

ない。ある意味、ペルソナというもう一人の自分は暗く塗りつぶされた暗黒宇宙のよう

に見える今からボクを守る為に生み出した一つの防御壁だったのかも知れない...。


 ボク : (転校したばかりだけど上手くやっていけるんだろうか??)


無意識だったが、他人事を気にするボクが居た。これがペルソナとして存在する良心の

仮面としてのボクのココロだったのか、暗く閉塞感のある場所にココロの奥底に幽閉さ

れ光すら知らない場所でやつれているボクのココロだったのかはこの時には解らなかっ

た。ただ、そんな心配は全くなかった。大人びた彼女は嫌われる事もなく誰からも好かれ

ていた。花で言うと、百合やバラというよりもキンモクセイの花だろうか...。

 目でソノ存在を感じるのではなく、辺りを幸せにする香りを漂わせ、


  【 この花は何だろうか? 】
  【 どこにあるんだろう? 】


と探したくなるような存在。その彼女の周囲の空気が誰かを幸せにして、その存在が追い

求めたくなるようなモノだった...。

 何時も通りに振舞いペルソナが、日常のフリをしていた時、彼女が僕の前に来た。


彼女 : 【 ねぇ、名前何て言うの?? 】


極自然な会話でしかなかったが、近くでこの言葉を聞いた時、心が震えた...。


ボク : 【 何だ?!コノ感覚は...。 】


 なぜか、ココロが震えた。こんな感覚は初めてだった...。すると、周囲の女子から


 女子 : 【 あっ、泣かした...。 】


と意味不明な言葉がが飛び交っていた...。


ボク : 【 泣く??泣くって、誰が?? 】

一同 : 【 オマエだよ!!! 】

ボク : 【 えっ?? 】


 彼女の声を聴いた瞬間、何か他の誰かにはない何かを感じたのかもしれない。だから、

涙が出てしまったのかも知れない...。


ボク : ( あっ、マズイ...。このままではこの子が悪者になる...。 )


とっさにそう思い、訳の解らん事を言ってしまっていた。


 ボク : 【 今日見てあなたが好きになりました。結婚してください!! 】


一瞬にして静まり返る教室...。そう、寒い...。寒すぎる...。寒すぎるぞ自分...。


その後、女子から


女子: 【バカじゃないの?!】


という言葉と笑いが起きた。とっさのアドリブだったが矛先を彼女から外す事が出来た。

 しかし、このあと少し面倒な事になる。


男子1 : 【 待て、何一人でオモシロいだけじゃなく、初恋のヒト持ってこうとし
        てるんだ?? 】

男子1 : 【 お前がダブルで美味しい状態は気に入らん!!その人は俺と結ばれる
        事は、今日来た瞬間から決まってた事なんだ...。】


               :
               :
               :


 中学生と言うのは自意識過剰だから何でもありと言う部分はあったが、この輩は、自意

識過剰と言うより、むしろ病的だった...。ただ、売り言葉に買い言葉で、思わず言って

しまった...。


 ボク : 【 お前は、所詮、今日見てそう思ったんだろうが!!俺は心で来る事まで
        知っていた。運命の糸の太さが違うんだ!! 】

 男子1 : 【 糸だと、俺のはワイヤーだ!! 】

 ボク : 【 そんな相手を傷付けるようなので縛るような発想自体、無理がある。お
        前はワイヤーかも知れないが、こっちは絶対に切れない最新鋭のシルク
        だ!!】

 男子1 : 【 そんなモンあるか!! 】

 ボク : 【 あるさ!!日本の技術ナメんなよ!! 】


               :
               :
               :

まるで、小学生のケンカだった...。もう既に、技術革新の話なのか、その人の思いの

重さの話なのか解ったもんじゃない..。

 そうこうしてると、生徒会長の女子が来た..。


生徒会長 : 【 ハイハイ、コンビ漫才はその辺にしておきなさい! 】

生徒会長 : 【 彼女困ってるじゃない!!そんなのも解んないオトコは恋愛対象と
         して失格なの!! 】

生徒会長 : 【 ほら、彼女に謝んなさいッ!! 】


ボク : 【 いや、こいつのテクノロジーの古さが許せん!! 】

男子1 : 【 いや、こいつの妄想的な非現実が許せん!! 】


               :
               :
               :

        既に何の話だか解らなくなっていた...。

               :
               :
               :


生徒会長 : 【 ふ~ん、口答えするの...。このワタシに...。 】

二人 : 【 あっ...。 】

生徒会長 : 【 いい度胸よね。 】

生徒会長 : 【 小学校の時泣かされてたのはドコの誰だったかな? 】


               :
               :
               :


 中学では、生徒会長となっているが、この子は結構活発な子で、男子と混ざって遊んで

いた。

 ただ、その時の強さがハンパではなく、ケンカになると男子複数をなぎ倒すデタラメな

強さをしていた。付いたアダ名が


  【 マス・オーヤマ... 】 


だった。意味が解ってなくて


 生徒会長 : 【 マスって何?ミスじゃないの?? 】


と言っていたが、もうこの言葉はさらにサイキョ~となってしまった今は、天変地異を招

くモノとして封印されている...。


               :
               :
               :


 二人 : 【 ゴメンなさい...。もうしません...。 】

 生徒会長 : 【 解ればいいのよ...。 】

 生徒会長 : 【 ゴメンね。コイツらバカだから...。 】

 生徒会長 : 【 でも、悪気はないから許してあげてね。 】

 彼女 : 【 えぇ。でも...。 】

 生徒会長 : 【 どうしたの?? 】

 彼女 : 【 あの人の名前聞いたのに、好きです。結婚してくださいって言われて。
        名前知らないんですけど...。 】

男子1 : 【 オレは覚えてもらったぞ!!お前はやはり勝てない運命にあるんだ! 】

ボク : 【 フザけるな!!ココロの中はオレ名前で埋まってるに決まってるだろ。
       お前と一緒にするな!!】

男子1 : 【 何だと、この無名が!! 】

ボク : 【 やかましい!!この意味不明が!! 】

男子1 : 【 意味不明はお前の発想だ!! 】

ボク : 【 古めかしいおまえはジィでもやってろ!! 】

 生徒会長 : 【 って、まだヤルか!! 】

 生徒会長 : 【 本気で張り倒そうか?! 】

 二人 : 【 ゴメンなさい...。二度としません...。だからお許しを...。 】


               :
               :
               :


 転校そうそう、ドタバタして困惑させてしまったかと思ったが、彼女は笑顔で居た。

と言うか、なぜ、こんなにムキになるんだ??テクノロジーは別として、アイツに彼女を

自分のモノと言われた時、なんだか 【 過去から因縁のある敵 】 であるかのように

ムカッと来た...。

 こんな感情は初めてだった。と言うか、こんな意味不明な事をしている自分ははじめて

晒した気がするし...。不思議なヒトだ...。休み時間が終わり授業になった。

 ただ、ひたすらに彼女を見つめているボクが居た...。


 教員 : 【 この答えを○○答えてみろ...。 】

 ボク : 【 ハ?? 】

 教員 : 【 ハ、じゃないだろ...。問題書いてあるだろ...。 】

 ボク : 【 ハァ...。 】

 教員 : 【 ハァ、じゃない!!ハイだ...。 】

 ボク : 【 ハイ 】


 塾で予習した内容だったので楽勝だった。と言うか、誰もが似たように塾行ってるから

フツーに出来るんだが、恥はかかずに済んだ...。

 そして、彼女が問題の答えを書く。後姿が綺麗だ...。って何考えてるんだ??

 黒板に書かれた文字は綺麗な文字で、間違いもない...。


 【 このヒト絶対に賢いぞ...。 】


来た時に存在感が凄かったんだが、完璧だ...。

 そして、昼休みになった。弁当ではなく給食制度なのでそれを運ぶ...。運命はボクを

選んでいるのか...。彼女と一緒に運ぶことになった。なぜだろう、彼女が来て僕のペル

ソナはなりを潜め、ボクが前面に出ていた。やっぱり不思議なヒトだ...。

 同じモノを二人で運ぶ...。距離が近くになると鼓動が高鳴る...。こんなの始めてだ。

運命はボクを選んだ...。と思いたかったが...。ヤツも一緒だった...。


 男子1 : 【 オレのマイスィート・ハニーと何近づいてるんだ!! 】

 ボク : 【 誰がマイスィート・ハニーだ!! 】

 男子1 : 【 そのヒトに決まってるだろ!! 】

 ボク : 【 お前はストーカーか?! 】

 男子1 : 【 お前も似たようなもんだろ!! 】

 ボク : 【 一緒にするな!! 】


 彼女は苦笑いしていた...。ココロの広いヒトだ...。


そうこうしながらイガミ合いながら教室に帰ると、やはり生徒会長のカミナリが落ちる


 生徒会長 : 【 アンタらねぇ、いい加減にしなさいよ。 】

 生徒会長 : 【 来た初日から転校生困らせてどうすんの?! 】

 生徒会長 : 【 フザけてると、二度とフザけれなくするわよ。 】

 二人 : 【 いえ、神に誓ってもうしません。 】

 男子1 : 【 オレ達親友だよな。 】

 ボク : 【 あぁ、そうだ、今日からそうだ...。 】

 生徒会長 : 【 あんたらだけじゃなく一番困ってる彼女に謝んなさい!! 】

 二人 : 【 ごめんなさい!! 】

 生徒会長 : 【 はい、それでいいの...。 】

 生徒会長 : 【 初日からゴメンね。でも変な学校だと思わないでね。こんな
          バカに満ち溢れたバカの巣窟じゃないから...。 】

  二人 : (いや、待てバカの巣窟は言いすぎだろ...。)

 彼女 : 【 生徒会長さんお強いんですね。 】

 生徒会長 : 【 当然でしょ!!なんてったって学校の頂点立ってるん
          ですもの!! 】

 男子1 : 【 オレは、校長だと思うぞ...。 】

 ボク : 【 いや、多分、文部科学省の大臣だと思うぞ...。 】

 生徒会長 : 【 ソコ、何か言った!! 】

  二人 : 【 いえ、アナタ様がおっしゃる通りです!! 】

彼女はこの状況を笑みを浮かべて見ていた。

 彼女 : 【 お二人とは一緒にいらっしゃったんですか。 】

 生徒会長 : 【 地元がいっしょだからね。だから一杯遊んだの。 】

 彼女 : 【 だから仲がいいんですね。 】

 生徒会長 : 【 ただの幼馴染だけどね。 】

 男子1 : 【 絶対違うだろ...。アレは絶対王政の権力者だ...。 】

 ボク : 【 いや、むしろファシズムだろ...。 】

 生徒会長 : 【 張り倒そうか??ニコリ 】

  二人 : 【 いえ、遠慮しておきます...。 】

 そんなこんなで話していると彼女から爆弾発言が飛び出す。

 彼女 : 【 私、思ったんですけど...。 】

 生徒会長 : 【 なぁに?? 】

 彼女 : 【 生徒会長さんってこの二人のどちらかと結婚される気がします。 】


 二人+生徒会長 : (な、何ですと....。)


 生徒会長 : 【 ちょ、ちょっと冗談でしょ...。なんでこんなバカの巣窟の大首領
          ワールドチャンピオンの1-2みたいなのと結婚するわけ??】

  二人 : (酷い...。酷すぎる...。)

 生徒会長 : 【 絶対にないから...。 】

 彼女 : 【 ちなみに、どんな方が理想なんですか?? 】

 生徒会長 : 【 そうねぇ...。 】

 生徒会長 : 【 やっぱり、女の子だから、白馬の王子様かな...。そしてお姫様だ
          っこされて、優しくしてもらうの!! 】

 生徒会長 : 【 そんなヒトだったらずっと待ってもいいな...。 】

 男子1 : 【 王子様って、肩に紋章のアザがあって、エクスカリバー抜くって
         アレの事か??ヒソヒソ 】

 ボク : 【 多分、そうだろ。お姫様と言うよりもナイツ・オブ・アラウンドだよ
        なソノ状態って...。ヒソヒソ】

 男子1 : 【 王子様守ってそうだよな...。一人で...。ヒソヒソ 】

 ボク : 【 円卓が一人で完成しちゃう感じで...。ヒソヒソ】

 生徒会長 : 【 ソコ、聴こえてるワよ!! 】

 二人 : 【 ハァ~ッ!!! すみません大王様!!】

 生徒会長 : 【 だ、誰が大王様なの!!本ッ気でブッ飛ばそうか?? 】

 二人 : 【 それだけは勘弁を...。】

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