人生ブンダバー

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筒井清忠編『昭和史講義』

2016-08-06 05:00:00 | 近現代史

本書の編者筒井清忠さんは、「1948年生まれ。帝京大学文学部長・
大学院文学研究科長。東京財団上席研究員。専門は日本近現代史」
(本書より)。私とほぼ同世代。戦後生まれの歴史家だ。

以前読んだ『二・二六事件とその時代』はよかった(→こちら)。

その筒井さんが編者となった『昭和史講義--最新研究で見る戦争
への道』(2015)、『昭和史講義2--専門研究者が見る戦争への
道』(2016)がおもしろい。

昭和史については、<実証的研究>が進んでいる。C型肝炎の治
療ではないが、日進月歩と言ってもいいのかもしれない。オーバー
に言えば、単行本などが文庫化される頃には、さらに、その研究が
進んでいるのかも・・・・・・。

本書は、戦前昭和史の専門研究者がそれぞれのテーマごとにまとめ
た「最新研究」だ。
通史とは違い、テーマごとなので(--ほぼ時系列順に並んでいる)
どこからでも読める。

例えば、『昭和史講義2』の第4講には「世界恐慌下の日本」が小島
庸平東大大学院経済学研究科講師によってまとめられているが、私
はこれを読んで初めて(今までは何回読んでもピンと来なかった。)、
昭和5年の「金解禁」問題(--高橋亀吉や石橋湛山が反対の論陣
は張った。)が理解できた(遅ればせながらではあるけれど[笑])。

また、同じく「2」では、第3講として「中ソ戦争と日本」が取り上げられ
ている(筆者は等松春夫防衛大学校教授)。これは『昭和史講義』
(2015)の「第5講 満州事変から国際連盟脱退へ」で言及された「中
ソ戦争」を満州事変との関連で、詳しく説明したもので、興味深い。

各講の最後には、「さらに詳しく知るための参考文献 基本的史料」
も列挙されている。


筒井清忠編『昭和史講義』(ちくま新書)

参考;<目次>
『昭和史講義』(2015)
1.ワシントン条約体制と幣原外交
2.普通選挙法成立と大衆デモクラシーの開始
3.北伐から張作霖爆殺事件へ
4.ロンドン海軍軍縮条約と宮中・政党・海軍
5.満州事変から国際連盟脱退へ
6.天皇機関説事件
7.二・二六事件と昭和超国家主義運動
8.盧溝橋事件
9.日中戦争の泥沼化と東亜新秩序声明
10.ノモンハン事件・日ソ中立条約
11.日独伊三国同盟への道
12.近衛新体制と革新官僚
13.日米交渉から開戦へ
14.「聖断」と「終戦」の政治過程
15.日本占領

『昭和史講義2』(2016)
1.軍縮と軍人の社会的地位
2.治安維持法
3.中ソ戦争と日本
4.世界恐慌下の日本
5.血盟団事件と五・一五事件
6.満州事変後の政局と政党政治の終焉
7.帝人事件から国体明徴声明まで
8.厚生省設置と人口政策
9.日中戦争における和平工作--日本側から見た
10.日中戦争にいける和平工作--中国側から見た
11.天津租界事件から日米通商航海条約廃棄通告へ
12.天皇指名制陸相の登場
13.南部仏印進駐と関東軍特種演習
14.日米開戦と海軍
15.ゾルゲ事件
16.大東亜会議の意味
17.大西洋憲章からポツダム宣言まで
18.原爆投下とソ連参戦
19.終戦から占領改革へ
20.昭和期における平準化の進展


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