『星界の戦旗 5 ―宿命の調べ―』 森岡浩之 (ハヤカワ文庫 JA)
遂に《星界シリーズ》が再開。星界の戦旗第一部が完結。
星界シリーズはあんまり思い入れがなくって、アーヴ語もまったく話せないのだけれど(普通はあたりまえ)、これは喜ばしいニュース。このシリーズは赤井孝美の表紙で勘違いされているけれど、結構本格的な宇宙SFなのですよ。
『星界の戦旗4』からは数年ぶりなので、その世界についていけるかどうか不安だったが、尊大で有能で心優しいアーヴの世界にすんなり入っていくことができた。
しかし、4巻はそんな終わり方だったっけという大展開。いきなり帝国軍の最終決戦である。特攻していく帝国軍。そして、崩壊していく帝都。華々しく散っていく、まさしくアーヴらしいアーヴたち。
なんというか、ザンボット3というか、さらば宇宙戦艦ヤマトというか。
そのさなか、アーヴたちがどうしても守りたかったものとは何か。というのがまた泣かせる。ラフィールとジントは“それ”を輸送するために、戦線を離脱。そんなわけで、彼らはあんまり活躍しない。きっと、帝国の捲土重来のカギとなるのだろうと思ったら、その通り。
第一部完とはいえ、まったく何も終わっていない。時間が空いたせいもあって、この巻から第二部開始と言ってもいいくらい。このあとどうなってしまうのか、ちゃんと続くのかも含めて、興味深いところである。
ところで、あとがきによると、著者の森岡浩之は大病を患って入院していたみたいで。『地獄で見る夢』とか普通に出版されてたから、ぜんぜん知らなかった。もしかして、こういう死後の世界の話を書いたっていうのは、入院の件と関係あるのかね。いや、読んでないけど……。