神なる冬

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[SF] スワロウテイル/幼形成熟の終わり

2012-01-29 20:34:18 | SF
『スワロウテイル/幼形成熟の終わり』 籘真千歳 (ハヤカワ文庫 JA)





読んだ本の感想はできるだけブログに書こうと思っている。しかし、どういうわけか、なかなか感想が書けずに放置されたままになっている本もある。これもそのひとつだった。

読書メーターの履歴によると、この本を読んだのは10月だから、もう3か月放ったらかし。それ以来、感想記録待ちでずっと枕元に置いてある。

おもしろくなかったわけではなく、なんというか、感想が書きずらい。あらすじの紹介をせずに感想を書く難しさというのは、特にSFとかファンタジーとか突飛な物語の場合だと珍しくもないのだが。

SFネタも時事ネタも萌えネタもカオスなくらいにてんこ盛りで、なおかつ反則級のどんでん返しが待っている。なんだかすごいものを読んだなと思う割に、何がすごかったのかということとまとめようとすると、なかなか言語化できない。ひとつひとつのネタを取り上げるとネタばれになるし、分量が多くなりすぎる。

100人の村。オメラスから歩み去る人々。
揚羽が追う“動く死体”(リビング・デッド)事件。
陽平が追う“顔剥ぎ”(フェイス・オフ)事件。
楓子の元を訪れた“旅の犬”。
鏡子の過去、陽平の過去。
帰ってきた男。帰還したAI。

それらが複雑に絡み合いながら、ひとつの悲しい結末へと収束していく。

そこここに時事ネタやネットでよく見るような議論が織り込まれ、近未来を描きながらも現在の写し鏡として舞台装置が機能している。種のアポトーシスですら、現在を描く延長線上に感じられる。

しかし、これらの議論が非常に青臭い。おじさんが読むには眩しいくらいに青臭い。ちょっと中二病気味で萌えで燃えな濃いキャラクターたちと共に、この青臭さがこの物語の魅力になっている。

内容についてはあまり突っ込むところも無いのだが、ライトノベルを主戦場とする作家がハヤカワ文庫に書くことについてもいろいろ考えさせられた。

まとまった感想というよりはキーワードの羅列で終わってしまうが、もう記憶も薄れつつあるので、こんなところで。



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