さっきの続きです。
2008年12月3日の研究会HPのブログに私はこう書きました。
先週の土曜(11月29日)、ヒモトタロウ(阪本誠一)さんから2冊の本が届いた。『第二次世界大戦の劇画図鑑! ! 潜水艦』と『第二次世界大戦の劇画図鑑! ! 戦艦大和』である。
版元は「土屋書店」(貸本マンガの曙出版を経営していた土屋豪造氏が現在営まれている出版社)である。2冊ともB5判180ページほど。画像は『第二次世界大戦の劇画図鑑! ! 戦艦大和』である。
『第二次世界大戦の劇画図鑑! ! 戦艦大和』の奥付には、
本書は昭和53年刊行の「あけぼの少年文庫」劇画図鑑の中から「第二次世界大戦の劇画図鑑!! 戦艦大和」阪本誠一著を復刻出版したものです。出版当時の劇画を忠実に復刻するとともに、巻頭には新たに「戦艦大和」の史料・写真を加えました。
と記載されている。昭和53(1978)年といえば、純粋な意味での貸本マンガはもはや存在しなかった。しかし、貸本マンガの老舗であった「曙出版」はまだ苦闘を続けていたのである。『貸本マンガ史研究』18号から連載が始まった、宮川義道氏(曙出版でマンガを描かれ、編集もされていた)の今後の記述によって、貸本マンガ出版社の末期のありようが、あきらかにされるだろう。(H)
さきほどお伝えしたように、そのヒモトタロウさんが亡くなられた。
戦記マンガを語るのは難しい。しかし、貸本マンガの重要な一画を占めていたのは間違いないのだから、「戦後」を語るうえでも避けてとおるわけにはいかない。しかし、難しいのである。
ここでヒモトタロウさんを偲んで、お会いしたときのエピソードを記したい。もちろん作品論、作家論などではない。
7、8年、いやもう少し前だっただろうか。
宮川義道さんから、「ヒモトさんの絵画グループが上野の美術館で展示会を開くようです。会いに行きますか」という連絡をもらった。
研究会からは、ちだ・きよしと私が行き、展示会会場でお話しをうかがった。堂々とした体格の人であった。絵画グループのメンバーとのおつきあいがあるのだろう、短い立ち話で終わってしまったのが残念だった。
問題はそのあとである。これは、ちだ、宮川氏、そして私だけの秘密なのだ。他の会員は知らない。こんなことを梶井に聞かれたら、私たちは研究会を即刻除名処分だっただろう(そのころは梶井もそのくらいの体力は残っていた)。
ヒモトさんは1万円札を財布から出し、「これで飲んでいってください」と言われたのである。
もちろん固辞しましたよ。しかし、出されたものを受取らないのは失礼ではありませんか。収めどころがないでしょう。その1万円札を誰が受取ったのか記憶にないのですが、多分私だったようです。
私たち3人は、いただいた1万円で、アメ横の安酒場で昼過ぎから飲んだのでした。(H)