読書日記と読書ノート (2011年1月~2013年6月)   吉野三郎

退職してから読書中心の生活をしています。その日に読んだ本の感想を日記に記し、要点をノートに書いています。その紹介です。

331、NHKスペシャル取材班「マネー資本主義」(新潮文庫)

2014-11-24 05:37:01 | 読書記録
(1)日記から
・2013年6月2日(日)
「マネー資本主義」を読了。外から何の規制もなされなければ、個々人の能力には差があるので、能力の差と運の差によってマネー獲得競争の結果に差が生じるのは当然。資本主義は結果としての不平等をもたらす。これを自然的正義とみるか、不公平とみるか。不公平として正義に反すると評価するには、富者と貧者を括る共通項が必要。つまり、同じ国民なのに、同じ人間なのに、という。同じ国民なのに富のアンバランスがあるのはおかしい、という声が強くなれば、国家が富の再配分を強制する。しかし、同じ人間なのに、という評価基準から格差を是正する場合には、その外部的規制権力は何になるのだろう。人間を基準にすると、国内の格差・不平等だけでなく、グローバル規模での格差を問題としなければならない。地球は一つといっても、それは自然環境の保全等について言っているだけだ。地球大での一人一人の生存を保障すべきグローバル規模の公的主体は存在しない。また、このようなマンモスは別の災厄をもたらすだろう。とすれば、国家の境界線を緩やかにしつつ、国連を通じた各国の富の分配の調整が、これからの方向となるだろう。マネー資本主義を放置すれば、弱肉強食と、バブルをバブルでつなぐ連鎖しかないだろう。

(2)ノートから
①市場にはもともと所得や富を平等に分配するというメカニズムはない。市場は、たとえ不平等な状況が生まれても、自らそれを是正することはしない。
②音楽が続く限り、踊りをやめようとしない。(←バブル景気)
③リスク商品のリスク。「売り手は買い手より、はるかに情報を持っている。」
④『バブルは、破裂した後に、それと初めて認識できる』(グリーンスパン)
⑤「資本主義の本質とは、一番良いアイデアを一番うまく実行した人に富が行くということです。ですから、資本主義が富を均等に配分するということは決してありえません。…人間は誰もが違う能力を持っています。平等な配分という考え方は、人間の本性に反しているのです。」(ジム・チャノス) 

(了)

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