神奈川絵美の「えみごのみ」

納涼能へ

お能は、たぶん一年振り。


今年で40回を数える、納涼能。

私の“伝芸の師”KKさんと、イラストレーター岡田知子さん(Tomokoさん)
3人で楽しいひとときを過ごしました。

KKさんとツーショット。

私のこの附下は、着物友からのいただきもの。
帯は先日、「きもの 青木」で縁のあった絽綴れ。


帯締めは濃い紫の三分。
帯留めは、(まだトンボは早いかな)と思い
流水柄に合わせ、シルバートーンの笹船を。
帯揚げは薄めの水色。

お太鼓はこんな感じです。


千駄ヶ谷駅から能楽堂まで

陽射しが強く暑かったのですが、
苦痛というほどではありませんでした。
にわか雨が降らなくて、良かった!

KKさんとTomokoさんのお太鼓

この日は3人とも絽綴れでした。

帯周りコレクション

TomokoさんもKKさんも
帯留めがとても夏らしいツヤ感で綺麗。
お二人のぴしっとした着姿を拝見し、
私ももっときちんと着なくては…と反省です。

---------------

さて、今回私は初めて「脇正面」の席に。

赤い印をつけたところです。
橋掛かりが目の前で
「安宅」(勧進帳)の富樫役、宝生欣哉さんとずいぶん長い間
目が合ってしまいました。

番組はまず「枕慈童」(喜多流)から。
他の流派では「菊慈童」と言うそうです。
私にはお能の知識は大してないので、浅い(かつミーハーな)感想に
とどまりますが、

友枝昭世さん(一番上の写真の方)
素晴らしかったです。
現れた瞬間から、本当に700年生きている人間ではない何か、に見えました。
幻世、という言葉が脳裏に浮かびます。
ぼんやりしていると、現世ではないどこかにふーっと
連れて行かれそうになるような
危うい、でも心地よい、不思議な気分になりました。

さらに、ワキの殿田謙吉さんのお声がとても響きよく、
いつまでも聞いていたいと思うほど。


続いて野村万作さんがシテの狂言「文荷(ふみにない)」(和泉流)。
主から、手紙を届けるよう命じられた太郎冠者と次郎冠者。
でもその手紙、主が想いを寄せる少年宛で、
両者とも(奥方に叱られると)気が進まず押し付け合い、挙句の果てに…
という話。万作さんの表情といい仕草といい、
緩急があってとてもコミカルでした。


休憩後に仕舞が3番組続き、
(金春流の山井綱雄さんが地謡で出ていらして嬉しかったです)
最後に「安宅(勧進帳)」(観世流)。

私、3年くらい前に梅若玄祥さんが弁慶役の同番組を
観たことがあるのですが、
それとはかなり趣の違う、夏バージョンな安宅でした。

まず、山伏の衣装がみな羅のような透ける羽織もので
色も白みが強く涼しそう。

そして弁慶役が、観世宗家当代の観世清和さん。


私……弁慶は梅若玄祥さんのイメージが強くて、
観世さんはどちらかといえば
どこかの国のお殿様に見えてしかたありませんでした。
とてもきりっとしたシャープな威厳のある弁慶でした。

演出(といっていいのかな)も
梅若さんのときは山伏たちのボリューム感がすごくて、
舞台の床が抜けるのでは、と思わせるほどの圧を感じたのですが、
今回の山伏陣は、違った意味での迫力-緊迫感のような-
あまり温度を感じさせないスマートな動きのように思いました。
それもまた、夏らしいような。

梅若さんは今回、地謡の後列にいらして、
最近、お体がすぐれないと聞いていたので、
どうも気になり何度も見てしまいました。

大鼓は亀井パパこと亀井忠雄さん。
私、始まるまで息子さんと勘違いしていましたが、
(お名前は広忠さんでした)
お父様の丸い音、深い響きもとても好きです。


お能は今までに5、6回程度しか
観ていないのですが
それでも回を重ねるほどに、自分なりの感じ方、楽しみ方が
できてきたかな。
たゆたうのもよし、衣裳に注目するもよし。
また足を運びたいです。

コメント一覧

神奈川絵美
Tomokoさんへ
こちらこそ素敵なお召し物、眼福でした
美しい世界…本当にそうですよね。
研ぎ澄まされた、でもふわりふわりとした、
形容しがたい空間ですが、
お能ならではの美意識にあふれていますよね。

GSIXにも能楽堂できましたので(移動なのかな)
行ってみたいなーと思います
Tomoko
先日は楽しませていただきました。お召し物も、お能も、、、。
暑いのは言うまでもないのに、夏の暑さをいっとき忘れるようないい時間でしたね。
私もお能はビギナーの域を出ないまんまです。笑
でも、能狂言ならではの美しい世界をただただ鑑賞するのが好きであります。
ほんと、たゆとう心持ち、よいものですねえ。
年に一度でも、またいつかご縁があったらなって思います。
神奈川絵美
風子さんへ
こんにちは
お能が一般的すぎるなんて、羨ましい環境です~。
柔らか物の方、少な目なのですか? もったいない
ような・・・。

私みたいなお能ビギナーが、友枝さん観ちゃって
スミマセン!な感じなのですが、
ともあれ圧倒されました。
お声ももう、この世の人ではないような不思議な…。
他の流派の菊慈童も、観てみたいです
風子
あの 帯 もう登場ですね。
おきものに とても映えています。
皆様のやわかきもので 能楽堂 すてき~。

こちら お能が一般的すぎるのか 能楽堂であまり きれいなおきもの姿 みかけません。織 が多いでしょうか。

友枝さんの 枕慈童 行きたかったのですう~。
あの演目 観世では 菊慈童ですけど 好きなんですう。
ん~~ うらやまし~~~。
神奈川絵美
香子さんへ
先日はありがとうございました
お能、一度行くと立て続けに足を運びたくなります
いや私、本当に、友枝さん、感動しました。
菊の花を携えた舞も素敵~

9月…私、オペラが2本と文楽が2本予定されていて、
歌舞伎すらも入れられず…10月以降に何か
あれば行きたいなあ…。
神奈川絵美
朋百香さんへ
こんにちは
能衣裳、すべての番組で季節ごとの工夫がこらされるのかは
私、ビギナーなのでよくわからないのですが、
今回の「安宅」は清々しいいでたちでした。
もし最初にご覧になるなら、歌舞伎でもよくかかるような
番組がおススメです。
この「安宅」とか「知盛(碇ぐるぐるの 笑)」、あと、
私は未見ですが、お能の「俊寛」もいいみたいです
いつかご一緒したいですね
香子
先日はありがとうございました。
楽しかってですねえ♪
友枝さんは(も)大好きです。
以前どちらかでも書いたのですが
友枝さんの「隅田川」がもうもう泣けましたのよ〜。

いただいたフライヤーに「日本能楽会」のがありましたね。
他流共演が楽しみで食指が動きますが9月は文楽もあるし…
悩みます〜
朋百香
http://www.tomoko-358.com
絵美さま
お能はね、まだ未経験なんですよ〜。
お能というとあの衣装、重〜い感じですが、夏のお能は透ける羽織りものなんかで涼やかなんですね。そりゃそうですよね(笑) お能のこと、何にも知らない私、いつか挑戦したいですー。
皆様の涼やかな盛装も素敵!
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