がんの情報収集

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Rexin-G の背景と周辺

2007-05-15 12:34:29 | Weblog
CPMC I医師のホームページ「がん患者のあきらめない診療室」5月3日付けにて「レキシン-Gに関するエピウス社の見解」が出ています。現場を知っている者として相も変らぬウソと、不明解な言い訳と、ごまかしにも取れる文章と、程度の低い和訳文は見る人達に誤解を与えるだけだと思います。

まずはこのホームページの開設者に人間の心、人への誠意、正義感というものがあるのでしょうか。「エピウス社の見解」に続く開設者の所見を見ると、「上記はエピウス社の公式見解であり、当サイトが事実を確認したものではない。真偽については各自で判断せよ。もしくは直接エピウス社に問い合わせ下さい」なる文章を記載。これは暗に責任を逃げている許すまじき文章ではないでしょうか。このサイトの開設者は現にエピウス社より学術的な裏付けのない「レキシン-G」を仕入れ、すい臓がん患者を治療目的に募集し、週3回の点滴投与を1クールとして1回の投与量約40mgの3回で高額な98万円から100万円以上の治療費(勿論自費治療)を取っている本人であり、とすれば「レキシン-G」の有効性も確かめずに商業的センスのみで取り扱っているという事になりませんか。この開設者は「レキシン-G」の研究会まで起ち上げ、他のクリニックにも呼び掛けをしたのではないですか。この研究会は他のクリニックに使用を斡旋し、I医師を経由して供給する計画でもあったのでは。これは明らかに薬事法違反となります。I医師はとかく何かと話題の多い人である事は医療業界ではよく知られています。

ところで様々な想像による色々な文章が2チャンネルや他サイトで見られます。皆さんはエピウス社「レキシン-G」とI医師のなれそめをご存知ないと思います。それをお話ししましょう。「エピウス社」を起ち上げたパトリック・ホール、エリンダ・ゴードンの関係から話しましょう。

パトリック・ホールは一見50歳前後の米国人(白)、自称バイオサイエンスを専攻、Dr.(ドクター)ではなく、PhD.を得たと言う、口から先に生まれてきたそこらに居る程度(米国で)の技術屋のはしくれとでも言えばいいでしょうか。人の話を聞くより自分で話す事が好きで話し出すと止まらない、夢と現実を何時も頭の中で交錯させている様な米語のスラングで言うビッグ・マウス。昔日本ではこの様なのを大ボラ吹きと言いました。エリンダ・ゴードン(フィリピン生まれの50歳前後の女性)本人曰く、フィリピンと米国で医学を専攻、両国の医師免許を持っているとの事。但し米国の医師免許を一度も見せた事はありません。治療医の経験は話しを聞いていると無い様に思います。医師免許には臨床研究医の免許というのも米国には存在、それを取得しているのではないかと見受けます。この両名が2000年に会合し話しがはずんでその内に遺伝子を使ったがん治療薬を作れば一儲け出来るとの話しにでもなったのでしょう。両名で製品の開発をグランデール市という小さな町の小さな所で始めたとの事。2003年に製品が完成(但し遺伝子を使ったがん治療薬が3年足らずで完成とは信じられない程早期なものです)ただ次世代のがん治療薬は遺伝子を使ったものになるとは数年前から学術畑ではいわれている事でかなりの研究は米国、フランス、イギリス、ドイツ、イスラエル、インド、日本等で進められています。研究内容は既に一般公表されているものもあり、ホール、ゴードン御両人はそれらの研究をノリとハサミでつなぎ合わせて「レキシン-G」を製品にしたのかも知れません。とりあえずは製品が出来上がったという事からFDAに臨床試験の許可申請を出した様です。これは医薬品としてFDAの承認を受けるためにやらなければいけない基本の第一歩という事ですから。FDAは臨床試験研究には非常に積極的であり、臨床試験研究にかかる費用の極一部ですが費用の負担も行います。当然御両人はその事を知っていたでしょう。
 すい臓がんのみの特定治療薬(オーファン・ドラッグ)の臨床試験の開始についてFDAは2004年に許可を出しています。『この許可イコール医薬品としての承認という事ではありません。』 聞くところによれば臨床試験はエピウス社から依頼したほとんどの医療機関(大学系及び私立系病院)で実行されていない様です。ちなみにUSCがんセンターでは安全性テストのみで打ち切り。がん治療の専門病院としてのM.D.アンダーソン(テキサス州、フロリダ州)では1回のみ実行後打ち切り。エピウス社がホームページ上に記載しているその他4つの病院の2つは一度も実行していない故、今後も臨床試験を行う意向は無いとの事。他の2つの病院名は米国中を調査しても見つからない病院名です。
 米国FDAによる医薬品としての承認を行うには第1フェーズから第5フェーズまであります。その第1フェーズを始める資料として臨床試験によるデータ論文、分析資料等々が必要であり、そう簡単なものではありません。承認までに3年~5年かかります。日本は米国の倍の期間が必要と言いますが・・・

本題に入りましょう。日本に特殊法人の様な存在で「ジェトロ JETRO」正式名日本貿易振興機構という団体があります。これは米日戦争終了後にできた日本復興のため日本製商品を海外に売り込む事を目的として設立された機関で当然上部の人員は通産省(現経済産業省)、大蔵省(現財務省)からの天下り達。この団体ジェトロは現存中。1972年ニクソン・ショック後、日本政府は米国の機嫌を取るため、ジェトロを使って米国製品の輸入促進に方向を転換しました。現在も細々とそれを続けているダサい団体です。この最近ではプロジェクト名を「グローバル・ベンチャー・フォーラム」と名称を変え、年に数回米国製品の日本への紹介を行っています。米国内数ヶ所にジェトロ事務所を置いており、日本から駐在で出している職員と現地職員で米国の中小企業(企業とはいえない様なもの)を対象に日本への紹介を持ちかけています。チラシを送ったり、インターネットや地方新聞に広告を出したりしています。ちなみに過去20年余り、日本でヒットした商品は無い様です。ゾロ品というよりガセ品という様なものばかりの様です。
 昨年2006年、ジェトロは大阪で「グローバル・ベンチャー・フォーラム」を企画しました。それに出展を申し入れて来たのがエピウス社です。商品は「レキシン-G」です。ジェトロには商品知識を持った職員は皆無です。勿論化学品、医薬品の知識もなく、見本市の企画すらまともに出来る職員はおりません。その様な人達がやっている事ですから申し込みがあれば不良品の判断も出来ずに全てを受け入れるだけです。相手に求めるのは商品を紹介するパンフ位なものでしょう。相手の会社を判断する会社内容、その会社の能力、資本力、売り上げ、製品の品質、有効性、安全データ、研究論文、分析データ、公的機関の承認を必要とする場合のその承認の有無、等々それらはほとんど相手に提出要求もしていない様です。相手から提供受けたものを土台に外部の有識者と称する人達、専門家と自認している人達の意見を参考のために聞いている位だと思います。ジェトロの職員は又、ジェトロの理事長は米国製品を日本に導入するコーディネーターだと思っているでしょうが、実体は無責任なただの橋渡し程度ではないでしょうか。余談はさておき・・・

昨年2006年9月23日より2日間大阪に於いてジェトロ後援、大阪商工会議所共催によるグローバル・ベンチャー・フォーラムが開催されました。それに参加したのがエピウス社。スピーチしたのがパトリック・ホールで、『21世紀のプラチナ・ダイヤモンドにも等しい 世紀のがん治療薬「レキシン-G」 』という売り込みで紹介。レクチャーしたのがエリンダ・ゴードン。それに参加していたのがI医師。これが3者の出逢いであり、研究論文らしきものも臨床試験(クリニカル・トライアル)のデータらしきものもなく、成分分析も無い様なものに飛びついたのがI医師であった様です。エピウス社の話しによるとI医師は大変積極的なアプローチであった由。そのはずです。同年10月下旬には「レキシン-G」100バッグ(点滴、-70℃の保管)が日本に持ち込まれている訳ですから。
 エピウス社の提示条件は購入単位は100バッグで1バッグ2,000ドル、単位がそれ以下の場合は1バッグ5,000ドル、しかも発注時に前払い金50%(2,000ドル×50%=100,000ドル)、「レキシン-G」を出荷する前に残りの50%(2,000ドル×50%=100,000ドル)を決済する。だいたい製薬会社はあこぎな商売をやるところですが、それにしてもこの条件は通常ではありません。ノーマルでない条件を受ける人もノーマルではないですよね。「レキシン-G」が届いてから活発な活動がスタートした様です。「レキシン-G研究会」の開設、投与を受けたい患者の募集、これも期限を切った第一回の募集、間を空けての第二回募集と中々よく患者の心理を利用したやり方に見えます。
 この後に環境庁の野生生物課と厚生労働省 厚生科学課の共同による作業で、遺伝子を使用した医薬品は使用許可申請を必要とするカルタヘナ条約があることから「レキシン-G」は未承認のため輸入及び使用不可の通達をCPMC I医師に行っている事や、2006年12月27日に「レキシン-G」承認申請の事や、カルタヘナ法第四条の罰則の事や、まだまだ皆さんにお話ししたい事がありますが、これについては現在米国FDAの調査状況等を含めて一緒にお話しましょう。10日間程時間を下さい。

 「医は仁術」と言います。昔は赤ひげが多かったのが、近頃は青ひげが増えているのですかね。

                              正義のかみ様


1 コメント

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Unknown (正義のほとけ様)
2007-05-16 18:32:02
詳細な調査報告に感服しています。藁をも縋るガン患者の気持ちを弄び、金儲けを企むインチキ医療の追放のためにも続報を期待しています。
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