ンデンデキ外伝

僕の話をしよう。

最期の授業

2006年01月22日 14時52分03秒 | Weblog
自分は何かのゼミに所属していて、その先生が社会学か何かの教員で、とにかくかなり右寄りな思想を持った人物なのです。
ゼミ室は普通のタイル貼りの小教室なのですが、テーブルやパイプ椅子などは一切置いてなく、その代わりに先生が主賓席になるように座布団が敷いてあるのです。
そして壁には「報国」と力強く書かれた紙が額に入れられて掛けられていました。

先生は学生たちに和紙か何かで巻いた短刀を配り、
「若い君たちにこんなことを言うのは酷かもしれないが、若いからこそ国に報いるために自分に何が出来るか真剣に考えて欲しい」と静かに語ったのです。

俺は渡された短刀の刃を慎重に指でなぞってみた。
血は出なかったが、明らかに包丁やカッターよりも滑らかでするどい。
そして何よりその刀身は肉厚で、大きさに似合わない重みを携えていた。
刀身のほとんどが和紙で巻かれていて、わずかに先端に鈍い光が覗くだけであったが、
これが肉や野菜ではなく、人を切るために作られた刃物なのだなと理解するにはそれだけで十分であった。

周りを見ると10人かそこらの学生が皆神妙な顔をしている。
良く知った仲の奴もいれば、ほとんど一言も話したことのない奴もいる。
しかしどいつも落ちこぼれの自分とは違いそれぞれ「予習」してきていたのだろう。
各々恐怖や緊張している様子は見て取れるが、
皆一様にいつか来ると分かっていたものと遂に対峙しているという面持ちであった。

それに比べて自分は狼狽しきっていた。予習も何もない。
回されてきたのは課題用のプリントではなく、丁寧に紙で巻かれたドスだったなんて誰が想像だにするだろう。
俺の視線はドスと周囲を何度も行き来した。
何か考えなくては。何か言い訳を考えて、彼らのやる気をそがなくては。
そう思索をめぐらせ始めた頃、瞬間、俺はもう何も考えなくていいのだと分かった。
「いざ」という先生の声が響いたがいなや、皆手に持った短刀を深々とわき腹に突き立てたのだ。
いつの間にか皆シャツを脱ぐなり、上にたくし上げるなりしていた。隣の女子はシャツのすそをたくし上げそれをギリギリと噛みしめ、痛みに対峙しようとしていた。
女の歯がきしむ音なのか腹筋が裂かれる音なのか
はっきりとギリギリミリミリと聞こえてきた。
ギリギリミリミリ・・・
ギリギリミリミリ・・・・・・



これが今日見た俺の初夢です。最悪です。
あと、実際に俺が所属しているゼミは究極のまったりゼミです。
もう少し緊張感があってもいいと思います。