隠れ家-かけらの世界-

今日感じたこと、出会った人のこと、好きなこと、忘れたくないこと…。気ままに残していけたらいい。

花火とともに夏が終わった~ロックロックこんにちは in 大阪(泉大津) その2

2006年09月10日 13時51分34秒 | ライブリポート(スピッツ)
 後半をまとめます。ここからご覧になる方、よかったら前半の「無駄な力作」(恥)も読んでいただけたら、ハイ。

★ナビゲーター越前屋俵太~3年ぶりのお仕事とか(笑)
 ライブレポに入る前に、ちょっと。最初はナビゲーターの話題。
 第5回の「ロックロック」を野外でやったときにナビゲーターをつとめて、スピッツに「あの人、アーティスティックな人だよね」と大いに指示され、打ち上げでも大盛り上がりだったという越前屋俵太だが、タレント業を3年くらい休んで山にこもっていたとか? 本人も「3年ばかり仕事してないので、久しぶりの仕事」と言ってたし。関西の人たちは「おおっ! 生きてたか」みたいな反応だったのかな。私は前回のロックロックで知っただけだけれど、私の連れは彼のレポーターぶりを知っていました。
 前回同様、彼の不思議なナビゲイトぶりには大いに笑わせてもらいました。エリエールのダンボールで作ったチープな海賊船を抱えて登場し、生でレポする様子が大画面に映し出されるのですが、ロックフェスとは違和感おおありの中に、「楽しいことはなんでもやっちゃおう」というこのイベントの真髄があったのかも?
 それから、アーティスト登場の前に流れる大画面の映像は楽しくかっこいい。Zepp仙台でも流れていたが、ここではさらにパワーアップしていました。

★走る走る!~桜井和寿の圧倒的パフォーマンス
 いよいよMr.Children。セットリストは以下のとおり。

1. 未来
2. イノセントワールド
3. ほころび
4. Sign
5. ストレンジカメレオン
6. 終わりなき旅
7. Worlds end
8. 箒星

 KREVAのパフォーマンスが終わったとたん、前方のスタンディングエリアにつめかける人が多い多い。私の斜め前にいた4人組の女性たちはどのアーティストのライブにも全力で大暴れ(笑)してたけど、実は「ミスチルファン」だったんですね。ミスチルグッズ(たぶん)のTシャツに着替えて、貴重品をそれぞれ小さなザックにつめかえて背負って、「やっとミスチルだ~」という喜びを背中で表現しつつ前に移動していきました。隣の若い高校生?の女の子二人は、旬なレミオロメンにも反応しなかったのにミスチルのときにはすっくと立ち上がっていったし。うーん、さすがミスチル!ですな。
 私ももちろんスタンディングエリアを目指します。エリアの後ろの部分の通路はあまり人もいないし、ここならステージも大画面もばっちり。みんながミスチルの登場を今か今かと待っている、その熱気がすごい。それでも夕暮れが迫る会場に吹く風はもっと心地よくなってきて、いい感じです。
 「イノセントワールド」「終わりなき旅」などはファンでなくても懐かしいだろうし、「Sign」そして最近のヒット「箒星」も耳になじんでいるだろう。その中で、この秋一緒にライブハウスツアーをやるというThe Pillowsの「ストレンジカメレオン」をやってくれたのは私にはうれしい驚きでした。ひょっとしてThe Pillowsのトリビュートアルバムで、ミスチルはこれを演奏していたのかも。かっこいい「ストレンジカメレオン」だったし、もう完璧ミスチルの作品って感じだったなあ。
 それにしても桜井さん、走る走る。「パワーあふれる」とか「熱いパフォーマンス」とか、そんな陳腐な言い方では表せない迫力で、感動的でもありました。黒のTシャツの上にはおったショッキングピンクのシャツがよく似合っていて、大画面に映し出される彼の少年のようなやんちゃな笑顔に、私の隣の女性二人は「かわいい~」とため息。うーん、その気持ちもわかります。ステージの袖のすれすれまで走って、熱唱! 熱唱!
 サポートギタリストがいるからこそのパフォーマンスなんだろうけど、でも桜井さんの良さを引き出すにはこれが最上なんだろうな。全身で歌うときはマイクだけ。それだからこそ、センターマイクの前でギターを抱えてじっくり歌うときのかっこよさも際立つし。
 私がミスチルのライブをみたのはブレイク直後くらいのときで、まだブレイク前だったスピッツも出演していたイベントだったと思う。その前は何度か見ているけど、それ以後はチケットも簡単にはとれなくなっちゃったし。あの頃から、桜井さんは自分の魅力、ファンが自分に求めているものをわかっている人だな、それを表現できる賢いプロなんだなと感心してはいたんだけど、あれから10年あまりを経て、そういう部分をもっと際立たせて、今を代表するビックバンドになっていったんだなあ。
 一時活動を休止していたこともあるが、あの頃はこんな晴れやかな笑顔をステージで見ることはできなかったのでしょうか。「ねえ、ほら、夕日がきれいだよ」そう客席に語りかえる彼の笑顔が大画面に映し出されたとき、振り返って夕日を見るまでもなく、彼のうれしそうな表情を見るだけで夕日の美しさが伝わってきました。熱いけれど、熱いだけじゃなく、しっとりと伝わってくるものが確かにある、そういうミスチルのステージでした。

★1対2万人の「民生ワールド」
  あたりがすっかり暗くなって、奥田民生の登場です。セットリストはこんな感じ。

1. 愛のために
2. 渚にまつわるエトセトラ
3. MANY
4. 雪が降る町
5. CUSTOM
6. 働く男
7. さすらい
8. イージュー★ライダー

 最近の私の民生ライブは、府中の森芸術劇場~Zepp仙台、そしてここ、ということになり、ホール、ライブハウス、2万人の野外と三種のシチュエーションを体験できたわけで、これはファンとしてはまことにもったいない状況。そして、ライブハウスでの「ひとり股旅」と巨大野外イベントでの「ひとり股旅」を両方見られたってことも、ねえ、ぜいたくですよねえ。
 スタンディングエリアはやめて、後ろのゆったりスペースでの参戦です。だって、このスペースは最高なんだもの。民生さんを味わうにはここがいいと判断しました。
民生さんを好きだという人はホントに多い。年齢層も幅広いし、男率もメチャクチャ高い。周囲でも、ゆる~い空気が流れます。
 でものっけから「愛のために」ですから。彼の場合、イントロだけで大半の人が「おおっ!」とか「うわーっ」と反応するのがすごいな。
 民生さんの野太い声が響き渡り、ガチッとしたアコギがかき鳴らされる。周知のことだけど、改めて歌のうまさとギターのかっこよさに酔う。かたわらのリズムボックスを自身で操りながら、アルコールをたしなみながら(仙台ではテキーラだったそうですが)、「フッ」と一人笑いしながらの不思議な時間が流れる。
 「渚にまつわるエトセトラ」のあとのMCでは、「これがいちばん盛り上がる曲ですから。あとはもう…」なんて言ってみたり、また「今日はすごいメンツで。スターばっかりで。バックステージはすごいですよ。火花が散って。もういられない」とも言ってたな(笑)。それから、「こんなすごいメンツなのに、おれがここ(トリの前)でやるのは、ミスチルとスピッツの機材の入れ替えが大変だからで。そういうことであれば、次回もまた呼んでいただけたら来ますから」なんてことも。こういうMCのたびに会場からほっとするような笑い声があがる。
 広島球場での「ひとり股旅」でも、こんなMC、こんな脱力感なパフォーマンスだったのでしょうか。それはそれで本当にすごいことです。たった一人で、全然煽ることなく、でも2万人を自分の世界につれていってしまうんだから。
 演奏はもう圧倒的な迫力。新曲「MANY」の披露もあり、ユニコーン時代の「働く男」もあり(喜んでいたファンがおおぜいいました)、そしていつ聴いても心が震える「雪が降る街」(今回、レミオロメンもこの炎天下で「粉雪」をやってたなあ、笑)。
 そして、今回思いがけずよかったのが「CUSTAM」。とくに好きな曲ではなかったのですが、聞き惚れました。感動的ですらあった。これはひとえに彼の歌唱のすばらしさによると思われます。「CUSTOM」のPVを覚えていらっしゃる方いますか。最後、街を抜け国を抜け、地球を抜け、そして宇宙へ、というシーンがあるのですが、まさにその雰囲気で私は脳内トリップしていました。
 そして、名曲「さすらい」から最後の「イージュー★ライダー」へと続きます。「イージュー★ライダー」の歌詞はきっと、聴く人それぞれの青春という心のカテゴリーを、軽く心地よく、時にせつなく悔いも感じさせつつ、刺激してくれるんじゃないかな。肩を張らず、意固地にならず、でも大事なものは多少必死で守りつつ、賢く、でもたまには愚かに、優しく、でも優しすぎなく…、そんなふうに生きていけたらいいし、こんな自分だけどひょっとしたらそんなふうに生きていた時代もあったのかな、と思わせてくれる。
 ミスチルとは対極にいながら、一人で自分の世界に染めてしまう、それも強引にではなくいつのまにか染めてしまう、民生さんのステージはいつもそんなふうに私を納得させて終わります。

★大丈夫でした(笑)、われらがスピッツ!
 そしてトリは主催者スピッツ。セットリストは、こんな感じ。

1. 俺のすべて
2. けもの道
3. 青い車
4. 魔法のコトバ
5. 正夢
6. インディゴ地平線
7. 恋のうた
8. みそか
9. 8823
10.スターゲイザー
アンコール 空も飛べるはず

 もちろんスタンディングエリアに向かいます(笑)。人があふれています。でも、警備の人の「もっと前につめてください。空いているところがあったらそこを埋めていってくださ~い。あとから来る人が入れないのでつめてくださ~い」の声に押されて、はからずもエリアの中央付近まで進出。あたりの熱気はすごいけど、でも海からの夜風がスタンディングエリアにもときたま涼しい空気を運んでくれる。周囲の若い男の子の集団がすでにノリまくっているのが印象的。
 スピッツ登場の前に、越前屋俵太さん自身がステージに登場し、「10年前、ちまたのロックイベントはメジャーアーティストばかりを集めたものばかりでつまらない、そうではなく自分たちが出てほしいとおもっている人を集めてやってみよう、ということで、ある4人のアーティストがこの『ロックロックこんにちは』を始めました。第1回のときは700人が集まりました。その小さなイベントが10年たって2万人の人を集める大きなイベントに成長しました。では、第1回からずっと参加している唯一のバンドを紹介します」と、ちょっと感動的なMCでスピッツを紹介してくれました。そういえばミスチルファンらしき人たちが行きのバスの中で「ミスチル、トリだよね」と当然のように話していましたが(もちろん、それが当然なんですが。笑)、これを聞いて、「スピッツがトリ」という事実に納得してくれたのでは??
 テツヤのギターソロで、スローな始まりで「俺のすべて」。草野の声がきれいに響き、いつもの「俺すべ」に移行していく。タンバリンを持った草野はステージの脇につくられた袖の端までやってくるが、ミスチル桜井のように「落っこちるよ」というところまではやってこない(笑)。走ってはいるが、ミスチル桜井のように全力疾走ではない(いちいち比べてどうするんだ)。それでも、白いTシャツに紺のシャツをはおった草野は力強い。大画面の表情を見て「かわいい~」「髪の長さ、ちょうどいいね~」とため息をつく女性ファンはいるけど、でもやっぱり力強い。
 テツヤ君のダービーハットがすごくシック?でステキだ。田村君は2曲目の「けもの道」ですでに全力ジャンプを何回も。大画面に映る崎ちゃんは口を真一文字に結んで、でも目は優しく、迫力のドラミングを聴かせてくれる(Zepp大阪での「嵐を呼ぶ男ども」、すごかったそうですね)。スピッツはやっぱり4人の力で成り立ってるんだな、とライブを見るたびに思い知らされる。
 「魔法のコトバ」はみんな喜んでたな。そして「正夢」。記憶に新しいヒット曲のあとは「インディゴ地平線」、そして「スピッツの古いラブソング」というMCのあとは「恋のうた」。夜の空を見上げつつ聴く「インディゴ地平線」は心に染み渡りました。そして「恋のうた」。これを聴くたびに、インディーズの頃、「え、これ?」と少し違和感をもったことを鮮明に思い出す。彼らが常日頃「自分たちの転機になった曲」と説明するけど、きっとこれがなかったら、スピッツは少し違う方向にいってたか、あるいはスピッツというバンドを見極めるのにもっと時間がかかったのかもしれない。そういう大事な曲ということです。
 そのあと、ゲストのPUFFY登場で、いっせいに「かわいい~」の声。ホントにかわいい。仙台のときと同じように、彼女たちの新曲「Tokyo I'm On My Way」の楽しいパフォーマンスはアメリカツアーで培われてきたものなんだろうなと納得。バックバンドのスピッツが楽しそう。田村の笑顔、草野の必死な表情がほほえましく笑える。それからスピッツバージョンの「愛のしるし」に歓声があがっていました。お祭りだー!
 PUFFYとのトークは仙台同様グダグダで、またしても客にお尻を向けそうなマサムネ。おいこら、噂によると、「かわいいPUFFYに見とれてこっちにお尻を向けるなんて、もう失望!」という書き込みがとびかったサイトもあったらしいぞ(意味わからんけど)。また、なんか言われるぞ~と忠告したくなるようなパニックぶりでしたねえ。以下は由美ちゃんとの会話。
「東大寺でライブをやられるとか。俺、(東大寺には)行ったことないんですよ」
「いらっしゃればいいじゃないですか」
「え、ライブに出るの?」
「ライブ以外にも、いろいろあるじゃないですか」
「え、えー」
と由美ちゃんに翻弄(笑)されてマジでドギマギする草野。すかざす優しいテツヤ君が、「ほらほら、今会場中が、そのマサムネの動向に注目してるぞ。そういう男は絶対に合コンでもてないね」と助け舟を出すと、「わかってるよ」と草野(なんだ、わかってるのか。笑)。そんなゆるゆるな雰囲気で、ゲストコーナーは終了です。
 後半は、「みそか」「8823」で興奮はピークへ。わがスピッツはこんなにも激しかったのか?と思ってしまうほどの熱気。実はここで告白するけど、ミスチルのライブパフォーマンスを見ているとき、あれれ、スピッツ大丈夫かな、完璧に負けちゃうんじゃない?と一瞬不安になったんですよね。でも、そういうことじゃなかったんだな。スピッツ草野は、ミスチル桜井のように全身で表さなくても、がっしりギターを抱えてマイクスタンドの前から動かなくても、客を煽ることをしなくても、あの他の追随を許さない独特の楽曲と、バンドの存在と、誰とも比較できない声で、私たちの胸にガツンと迫ってくるんだ、ということです。
 私にとっては、「なんだかとらえどころがないけど、でも不思議と気になって心につきささる」という程度のバンドだったスピッツが、こんなところでおおぜいの人の心を突き動かすような存在になってしまったのね、ということかな。浮気はしたけど、いつも必ず戻ってきてよかったです(笑)。
 いみじくも彼自身が「さっきミスチルを見てて、俺もちょっとは動いたほうがいかなと思って『俺のすべて』のときに袖まで走ってみたけど、息がきれた。そのあと民生さんを見て、動かなくてもいいのかな、と相反する気持ちが…」と言っていましたが、もうそんなことではないそれぞれの個性がちゃんと築かれていたということなんだな。吉井和哉、Mr.Children、奥田民生、スピッツというほぼ同世代のアーティストのパフォーマンスを同じイベントで体験する機会をもらって、そんなことを今さらながらに感じた私なのです。頭ではわかっていたけど、ちゃんと実感したということだろうか。
 最後は「スターゲイザー」。このシチュエーションで「とお~く とお~く」と美しいハイトーンボイスで始まる曲なんて、もうルール違反です(なんのルールなんだ!)。アンコールは誰でも知っている「空も飛べるはず」。会場にいるスピッツファン以外の人も、この曲ならこのイベントのラストを飾る一曲として、きっと納得してくれたでしょう。
 「ありがとう、また会いましょう」という余韻を残して、メンバーはピックやスティックを投げて退場。草野がいつものようにマイクを通さずに客席に向かって叫んでいるのが見えました。私からも「ありがとう!」

 大画面に最後の映像が流れ、最後の大砲の画面で終わると、ステージから大量の七色のテープが客席に向けて発射され、それが終わると、斜め後ろで「花火」。それは見事な長時間続く花火。ステキにデザインされた花火で、2万人がみとれたと思います。
 そして終焉。すべて終わりです。
 きっとこの日を境に、夏が終わり、本物の秋へと私たちは追いやられていくんだろう。そういうことを思いながら、充実感と寂寥感と汗と夜風を引き連れて、梅田行きのバスまでの道をコトバ少なに歩いた私でした。

 バカみたいに長くなってしまいました。読んでくださったほんのわずかなみなさん、ありがとう。疲れたでしょ?
 あのあと、京都の大原~嵯峨野~高雄を二日がかりで歩いて、本当に私の夏は終わりました。来年も元気に夏のロックフェスに行きたいけど、きっと少しずつさまざまな状況が変わっていくんだろうな。そういうことをちゃんと受け止めて暮らしていきたいです。

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