明るい化け猫計画

~猫又育成のための自然療法研究ノート~

【猫の過剰グルーミング】具体的な対処法と注意点

2009年06月12日 | 神経性皮膚炎/過剰グルーミング/脱毛
だいぶ前に、米国タフツ大学獣医学校のサイトで公開されている、強迫行動の記事を半分だけまとめてそのままになっていました。
前回分では、強迫行動の概要と原因、種類などについてまとめていますが(過剰グルーミング含む)、今日は対応と対策の部分です。どうやら、この記事は一般飼い主ではなく、飼い主に指導をする立場の人たちに対して書かれたもののようです。言葉を補ったり、はしょったり適当に意訳しながらまとめているので、原文と対になる翻訳ではありません。前回分はコチラ

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FELINE COMPULSIVE BEHAVIORAlice Moon-Fanelli, PhD, CAAB
Tufts University School of Veterinary Medicine

【原因を特定する】
強迫行動の原因となっている不安や心の葛藤を特定し、その原因を取り除く。
強迫行動を誘発する要因になりやすいもの

●分離不安(飼い主の不在、同居していた他の動物が亡くなったなど)
●新しい動物や人間が同居するようになった
●新しい環境での生活
●外に出してもらえない
●社会的刺激や環境刺激(おそらく、社会的刺激=恐怖や悲しみ不安など,環境刺激=音や室温など環境からの刺激 *じゃぐち*)
●離乳が早かった
●治療済みの病気(病気は治っていても、強迫行動の習慣が残ってしまったというようなケースだと思います*じゃぐち*)
●猫の背中を背骨に沿って上から下に撫でる、背中や腰をポンポンたたく(感覚過敏の猫の場合)
●大きな音や、高い音

原因を取り除くことが難しい場合は、脱感作や逆条件付けなどの行動療法も選択肢として考える。(脱感作と逆条件付けについては、それなりの専門技術が要ると思われます。*じゃぐち*)
特定のモノをウールサッキングする猫の場合は、布に苦い味のものを塗っておくなどの対策もあるが、これをする場合は必ず代わりになるおもちゃなどを与えること。感覚過敏の猫は、背中をさすると発作的な行動が誘発されることがあるので、背中を撫でたりポンポンしないこと。

【環境を整える】
①登れる場所をつくる
 =>木登りが擬似体験できる場所(キャットタワーなど)

②窓の近くに鳥の餌箱や巣箱を置いたり、水槽を置く
 =>人間がテレビを楽しむような感じ

③ハンティングを疑似体験できるような、ヒモ、鳥のはねなどのおもちゃで遊ばせる
 =>飽きないように、おもちゃは幾つか用意して日替わりにするとよい

④無農薬の猫草 
 => 猫によってはレタスやサヤマメを好んで食べる。草に興味のない場合は、薄い生皮にフィッシュオイルやペースト状のチーズを塗ったものを噛んで楽しむ猫もいるが、飲み込んで事故を起こさないように必ず近くで誰かが見ていること。(革製品用の皮は薬品が塗ってあったりするのでNGだと思います。犬用のおもちゃに使えるものがあるかもしれません。*じゃぐち*)

⑤食事の場所を複数箇所に変える 
 =>食事を探す作業で頭や五感を使うため刺激になり、退屈な時間を減らすことができる。おもちゃの中におやつを入れて、転がすとおやつが出てくるようなフードパズルもよい。(猫のおもちゃ売り場では、あまり見かけませんが小型犬用などでいいと思います。*じゃぐち*)サランラップの芯に不規則な穴をあけて両端を閉じ、芯をころがすと中からおやつが出てくるといった手作りおもちゃでもOK。(うちは全く興味持ちませんでした。くいしん坊さんにはいいかも。*じゃぐち*)

【運動】
10~15分の有酸素運動を、おもちゃなど使って1日2回おこなう。
トリの羽やおやつを付けたヒモでハンティングごっこをすると、楽しみながらアクロバティックな運動ができるので◎
外が好きな猫は、外で遊ばせたりハーネス付きでお散歩するのもよい。

【食事】
食事の時間を長くする。
食物繊維の豊富なドライフードなどは食べるのに時間がかかるため、その分興味の対象をウールサッキングや過剰グルーミングから食事に向けることができる。(ドライフードでクチャクチャするのが多少欲求のはけ口になっても、市販のドライフードは膀胱炎など他の病気を誘発することがあるので、やるならピトケアンの本にあるような手作りドライ食をたまに試すぐらいがいいかも*じゃぐち*)

【生活のリズム】
食事、遊び、イチャイチャなど、決まった時間に行う。
予定が決まっていたほうが猫は安心する。

【“かまってほしい”が原因の場合】
猫がかまってほしくて好ましくない行動を繰り返している場合は、かまわないで無視する。
かまうことが褒美となり、行動を強化してしまうため。
一時は行動が悪化するが、かまってもらえないことを学習すれば徐々に改善される。
ただし、これは行動の原因が「かまってほしい」という気持ちの場合に限る。
(でも、かまって欲しいということは何かが満たされてないんですよね。ただ無視するだけではダメですね。その分、他のところで遊ぶ時間を増やしたり娯楽を与えてあげないと・・・*じゃぐち*)

【物理的制限を与えない】
物理的に過剰グルーミングを防ぐようなエリザベスカラーは推奨できない。
体を傷つけることは防げても、行動の根底にある不安が解決されるわけではない。

【叱らない】
絶対に罰は与えないこと。
罰を与えられると心の葛藤が加速し、更に不安になり症状は悪化する。

【薬物療法】
強迫行動が習慣化してしまうと、当初の原因が取り除かれても強迫行動が改善されないことがある。この段階になると、通常の行動療法や対処方法だけで改善することは難しい。原因の特定と除去が難しい場合は、薬物療法、行動療法、上に挙げた日常生活の注意点を全て同時に行う。

不安を感じやすい猫は強迫行動を起こしやすく、強迫行動にはSSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)が効くことから、セロトニンの働きが関連していると考えられている。

環境から受けるストレスの影響を緩和し、猫の気持ちを落ち着けることで強迫行動が改善されると思われるが、具体的な関連性やメカニズムはよくわかっていない。
代表的な薬としては、フルオキセチン(SSRIの一種で日本では未認可。US商品名プロザック)やクロミプラジン(第一世代の三環系抗ウツ剤。日本での商品名:アナフラニール)

感覚過敏では、フェノバルビタールなどの抗ケイレン剤を処方する。
(薬物療法については、副作用や薬を止めてからのぶり返しなど、疑問視する声もあるようです。*じゃぐち*)

上記の療法や注意点を守ることで、強迫行動を完全に無くすことはできなくても、ある程度の改善は見込める。
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それでは、また(ΦωΦ)ノ

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