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映画【21グラム (21g)】

2005-01-26 02:13:05 | 映画
21グラム (21g)
2003
アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ Alejandro Gonzalez Inarritu


重い。
「デカローグ」をまとめて観させられた気分です。

巧妙すぎる絡め方のおかげで、最初の1時間はストーリーが殆ど追えていませんでした。
接点が分かるとズズズッと引き込まれラストまで。

全ての登場人物の自分勝手なこと。リアルなのかどうかも分からない極限状態なのでこの本が合っているのか間違っているのか分かりません。
女たちはちょっと過剰すぎるかな、と。感情の切り替えが早すぎます。映画を観ているものとしては追いつけません。
しかし、演技だけで説明。台詞で説明しようとしない。編集でまた難解に。
クルクルパーな私には一発では理解できませんでした。
でも、イメージというか「多分こういうことなんだろうな」ということとの鱗片だけ読めたのではないかと。
「死」というキーワードで巻き起こる感情の渦のようなもの、それを表現したかったのでは。
「死ぬ」という結果ではなくて、「死にそう」とか「死ぬかもしれない」「殺す」「生む」というそれらにまつわる「死」という言葉。
生きている者にとって対極にあって、結果としては生きている者にとっては受け入れるしかないこと。
それで人はどう動くか。それを極端な縮図みたいなもので描いてみたのではないのでしょうか。
ラストシーンのナレーションでそう思いました。
21gの命にフォーカスしているわけではなく、その21gに対してごく親しい人々が感じる重さを伴わないであろう感情なのでは。

時系列をまぜこぜにして、わざとストーリーを追わなかった理由は、多分1人の人間の死ということでそのイメージを固められたくなくて、もっと「死」というものを広い意味で感じさせる為であったのではないかと思います。

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